AEROSMITH『TOYS IN THE ATTIC』(1975)
Geffen Records移籍以降の全スタジオ作品は紹介しておきながら、70年代のアルバムは2nd『GET YOUR WINGS』(1974年)止まりだったことに改めて気づいた今日この頃。スティーヴン・タイラーのソロ来日公演も近づいておりますし、ここらでひとつAEROSMITHの全アルバムレビューを完成させたほうがいいのではないかという気がしております。
ということで、手始めに1975年の出世作『TOYS IN THE ATTIC』から取り上げていきましょう。本作はAEROSMITH通算3作目のオリジナルアルバムで、「Sweet Emotion」(全米36位)、「Walk This Way」(全米10位)というヒットシングルを生み出しています。また、本作のヒットに導かれるように、1stアルバムからのシングル「Dream On」も再発されて全米6位というヒット曲になりました。
ミディアムテンポのヘヴィでサイケなロックンロールが中心だった前作『GET YOUR WINGS』から一変、本作では非常に軽やかかつハードなロックンロールを聞かせてくれます。オープニングのアップチューン「Toys In The Attic」の時点で、その違いは一聴瞭然。続く「Uncle Salty」は前作の流れにあるサイケデリックな香りのするロックナンバーですが、前作までとは違って“もったり”感が消え、より軽やかさが増している。それは3曲目「Adam's Apple」にも言えることで、この2曲は前作に入っていても不思議じゃないのにどこか違う次元に思えてしまう。プロデューサーも前作から引き続きジャック・ダグラスが務めているのに、どこか違って聞こえるのだから不思議なものです。
そして、本作がこれまでとは大きく違っていることを決定付けるのが「Walk This Way」「Sweet Emotion」、さらに「You See Me Crying」といった楽曲群です。「Walk This Way」でのファンキーなプレイ&サウンドは、のちのエアロにとって重要な要素になり、80年代にはヒップホップとの邂逅へと導く礎となります。「Sweet Emotion」でのサイケデリックな味付けは前作とはまた違ったものがあり、サイケさの中にも重心の低いゴリゴリしたサウンドが存在しており、バンドの体質がここまで変化したかと驚かされます。さらに「You See Me Crying」のような美しいピアノバラードが加わったことは、このバンドの楽曲の幅を一気に広げていくひとつのきっかけになるわけです。とはいえ、この曲を作った頃にはその20数年後に他人が書いたバラードで全米1位を獲得するとは、夢にも思ってないでしょうけどね。
この他にも軽快なブギー「Big Ten Inch Records」、イントロのアルペジオが印象的なポップロック「No More No More」、次作への片鱗を感じさせるヘヴィな「Round And Round」と楽曲のバラエティさが一気に加速していることが伺えます。完全に確変したことが伺えるし、そりゃヒットするわなと思わずにはいられない傑作。ここからエアロにとって最初の快進撃がスタートするわけです。
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