« PRETTY MAIDS『SIN-DECADE』(1992) | トップページ | VAN HALEN『A DIFFERENT KIND OF TRUTH』(2012) »

2017/04/03

DAVID LEE ROTH『EAT 'EM AND SMILE』(1986)

VAN HALENを脱退したデヴィッド・リー・ロスが1986年に発表した、ソロとして初のフルアルバム。バンド在籍中に発表された『CRAZY FROM THE HEAT』(1985年)は4曲入りのEPだったこと、そのすべてがカバー曲だったことから当時は“遊び”と解釈することができましたが、バンドを脱退した後の『EAT 'EM AND SMILE』ではいよいよ本領発揮……といわんばかりのフルスロットルぶりが楽しめます。

アルバムおよび当時のツアーに参加したメンツはスティーヴ・ヴァイ(G)、ビリー・シーン(B)、グレッグ・ビソネット(Dr)という錚々たる面々……というのは、当時は一部のメタルファンの間でのみ。今でこそヴァイもビリーもロックファンなら誰もが知っている名プレイヤーですが、実は2人ともデイヴとの共演により知名度をグンと上げたというのが事実なのです。

アルバムはエイドリアン・ブリュー並みに“しゃべる”ギタープレイを披露する「Yankee Rose」からスタート。ヴァイの縦横無尽に暴れまくるギタープレイと、そのギターをボトムで支えているようで実はフレーズが暴れまくっているベース、その上でひたすら“ダイヤモンド・デイヴ”を演じまくるデイヴ。もちろん的確なビートで土台を支えるグレッグのプレイも欠かせません。同曲は全米16位まで上昇するヒットシングルとなっています。

そして2曲目はビリーが過去に在籍したバンド、TALASの楽曲「Shyboy」のカバー(というかリメイク)。高速ビートの上で披露される、ギターとベースによる超絶ユニゾンプレイに誰もが感嘆のため息をついたはずです。このユニゾンプレイが、のちにビリーが結成するMR.BIGにつながっていくわけですから(しかもMR.BIGでも再びカバーされてるし)、その後のHR/HMシーンにとって非常な重要な1曲と言えるかもしれません。

そして、本作には先のソロEP同様に数々のオールディーズカバーが収録されています。「I'm Easy」「That's Life」といったラウンジミュージックの名曲、60年代のガレージロックナンバー「Tabacco Road」の3曲がそれで、「Shyboy」を含めたら計4曲がカバーというわけです。そこを物足りないと感じるか、原曲を知らないしオリジナルとして聴いてもなんら違和感ないしと感じるかは聴き手次第かなと。ちなみにリリース時中学生だった僕は当然カバーの原曲を知らなかったので、完全に後者でした。

テクニカルで派手なプレイを含みつつも、楽曲時代はポップでブルージーでソウルフル。これって結局、デイヴがVAN HALEN時代にやっていたことと一緒なんですよね。全10曲で30分強というランニングタイムも、初期VAN HALENと一緒。ただ、このバンドにはエディ・ヴァン・ヘイレンが2人いる(ヴァイとビリー)のが大きな違いだったと。この編成が復活することは今や不可能に近いけど(一度だけデイヴ抜きでライブをやったこと、ありましたっけ)、一度は生で観たかったなぁ。この編成での来日は結局実現しなかったしね。

策士デイヴはこのアルバムでVAN HALENというバンドのスタイルをソロでも再現させ、続く2ndアルバム『SKYSCRAPER』(1988年)では「俺にだって『Jump』は作れる」と言わんばかりにポップな「Just Like Paradise」を大ヒットさせる。この2作で彼のVAN HALENに対する復讐は(形としては)完結するわけです。

そういえば、上に貼り付けた「Yankee Rose」含め、当時のデイヴはMVも凝った作品が多かったなぁ。どれもコミカルで、人を食ったかのような内容ばかり。あ……それで『EAT 'EM AND SMILE』なのか!(違います)



▼DAVID LEE ROTH『EAT 'EM AND SMILE』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 04 03 12:00 午前 [1986年の作品, David Lee Roth] | 固定リンク