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2017/04/01

NIGHT RANGER『DON'T LET UP』(2017)

NIGHT RANGER通算11枚目(“MOON RANGER”呼ばわりの1995年発売『FEEDING OFF THE MOJO』を含めたら12枚目)のスタジオアルバム『DON'T LET UP』。2011年の『SOMEWHERE IN CALIFORNIA』、2014年の『HIGH ROAD』と同じラインナップ……ジャック・ブレイズ(Vo, B)、ケリー・ケイギー(Vo, Dr)、ブラッド・ギルス(G)、ジョエル・ホークストラ(G)、エリック・レヴィー(Key)の5人で制作し、やっとバンドとしても固まってきたかなという2014年夏、『HIGH ROAD』リリースからしばらくしてジョエルが脱退し、WHITESNAKEに加入というニュースが流れます。バンドは一時期ライブにサポートメンバーとして参加したケリ・ケリー(VINCE NEIL、RATT、WARRANT、L.A.GUNSなど)を加えてライブを続け、ケリはそのまま正式加入。前作から3年の歳月をかけ完成させたのが、本作『DON'T LET UP』となるわけです。

とはいえ、昨年にはケリを含む編成でのライブアルバム&映像作品『35 YEARS AND A NIGHT IN CHICAGO』もリリースされていたので、そちらに触れていた人にはこの編成の移行はすんなり行くものだったのかもしれません。僕もたまたま、今年に入ってからその映像作品を観る機会があり、最初こそ違和感があったものの、見終える頃には不思議とケリの存在に馴染んでしまっていたのをよく覚えています。

さて、気になる新作ですが……『SOMEWHERE IN CALIFORNIA』以降の流れを組む、“これぞNIGHT RANGER”な仕上がり。ハードドライヴィングなロックチューン「Somehow Someway」からスタートするところは、若干の落ち着きを見せた前作『HIGH ROAD』よりも期待度を高めてくれるはず。「Truth」のような『HIGH ROAD』の流れにあるポップチューンもありますが、パワフルなビートとツインリードギターのミックスが気持ち良い「Running Out Of Time」、ギターがのたうちまわるハードロック「Day And Night」、ギターのフレーズやボーカルの泣きメロがNIGHT RANGERとしては新鮮なタイトルトラック「Don't Let Up」、疾走感あふれる「Say What You Want」など、基本的にはハードロック路線の作風です。

しかし、先の「Don't Let Up」のようにメロディはどれも親しみやすくキャッチーなものばかり。その極め付けが、ビートルズを彷彿とさせるハーモニーが心地よい「We Can Work It Out」でしょう。バラートとまではいかないものの、穏やかなテンポ感とアコースティックギターを用いたアレンジがバンドの軸にある“グッド・メロディ”を浮き彫りにし、これもNIGHT RANGERの持ち味のひとつだと再認識させてくれます。こういう曲が再びヒットチャートを賑わせる時代が訪れるといいな……と純粋に思わせてくれる1曲です。

さらに、アルバムラストを飾るのはアコースティック調のバラード「Nothing Left Of Yesterday」。こういったパワーバラードもこのバンドの大きな武器のひとつなのは紛れもない事実で、しばらく新曲としては封印されていたこの要素をアルバムの最後に持ってくるあたりに、今のNIGHT RANGERの好調ぶり、自信の強さが表れているように感じます。

例えば「Don't Tell Me You Love Me」や「(You Can Still) Rock In America」「Sister Christian」「Sentimental Street」などのような“決定的な1曲”はこのアルバムには存在しないかもしれない。しかし、それに匹敵する高レベルの楽曲がずらりと並ぶ、平均点以上のアルバムなのには違いありません。過去にとらわれることなく、本作が正当に評価されることを望みます。



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投稿: 2017 04 01 12:00 午前 [2017年の作品, Night Ranger] | 固定リンク