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2017/04/19

THE WiLDHEARTS『NEVER OUTDRUNK, NEVER OUTSUNG: PHUQ LIVE』(2016)

本作はTHE WiLDHEARTSが1995年に発表した通算2作目のオリジナルアルバム『P.H.U.Q.』のリリース20周年を記念して、2015年9月に行われた再現ツアーからイギリス国内での複数公演からの音源をコンパイルした2枚組ライブアルバムです。近年はこういったアニバーサリーツアーで年に1回ツアーを行うのみの活動にとどまっているTHE WiLDHEARTSですが、それでもひと昔前や90年代を考えれば「新曲は出さないけどツアーはやってくれる」だけありがたいのかも……と、最近はこちら側も歳をとったせいで(苦笑)、彼らに対して優しく接することができるようになりました。あははは。

ま、冗談はさておき。このツアーの一環でここ日本にも2015年11月に来日しましたが、私自身チケットを取っておきながら体調不良(耳の病気で大音量を禁じられてました)のため行くことができず。彼らのアルバム中、もっとも好きな作品を完全再現するライブだけに足を運びたかったんですけどね。そういう意味ではこのアルバムのリリースは非常にありがたかったです。

お聴きいただけばわかるように、本作はディスク1(14曲)がアルバム『P.H.U.Q.』を頭の「I Wanna Go Where The People Go」からラスト(日本盤ボーナストラック除く)「Getting It」までを完全収録。ディスク2(6曲)はボーナスディスクという扱いで、ライブ当日にアンコールとして披露された5曲(トラック1はディスク1エンディングから続く「Don't Worry About Me」大合唱なので、実質5曲となります)が収められています。アンコールは『P.H.U.Q.』時期に限定されることなく、再結成後の「Stormy In The North, Karma In The South」といった近年のライブ定番曲、「Weekend」「29 X The Pain」といった懐かしのカップリング曲も含まれており、ファンには嬉しいセットリストとなっております。

また、ディスク1には「Jonesing For Jones」の後に、続くアップチューン「Woah Shit, You Got Through」のイントロ的な小楽曲「Up Your Arse You Fucking Cunt」も追加。ライブの流れを途切らせることなく挿入された遊び心といったところでしょうか、単なる完全再現で終わらせないあたりも彼らなりのこだわりというかジンジャー(Vo, G)のひねくれっぷりが伝わってきます。

さて、改めて『P.H.U.Q.』というアルバムをこういう形で聴くと、初期のメタル+パワーポップ感とその後『ENDLESS, NAMELESS』(1997年)で見せたノイジーでラウド、ハードコアな路線との中間に位置する橋渡し的作品だったんだなと気づかされます。もちろんその前後には不幸なアルバム『FISHING FOR LUCKIES』(1994年)の存在があるわけで、そこを含めての『P.H.U.Q.』というのは非常に理解できるのですが、前半のパワーポップ感と後半で見せるシリアスさとの落差には改めて驚かされます。まぁこのへんはジンジャー自身の当時置かれた状況や精神状態(ドラッグや心の病など含め)が大きく影響していたことは理解できるわけですが、それにしてもこのバランス感は本当に絶妙だったなと。あの時期でなければ作れなかった1枚だったんだなと実感させられました。

曲単位では再結成後も演奏される機会のある楽曲がいくつかあるものの、このタイミングで20年ぶりに披露された曲、あるいは当時ライブでも演奏されることのなかった楽曲などもあり、こういったアルバム再現ライブならではの魅力もあるこの作品。バンドのファンのみならず、これからTHE WiLDHEARTSを聴いてみようと思っている初心者にもぜひ聴いてほしいライブアルバムです。そう、もし聴くならあわせてスタジオ盤の『P.H.U.Q.』もチェックすると、なお一層楽しめると思いますよ。



▼THE WiLDHEARTS『NEVER OUTDRUNK, NEVER OUTSUNG: PHUQ LIVE』
(amazon:海外盤2CD

投稿: 2017 04 19 12:00 午前 [2016年の作品, Ginger Wildheart, Wildhearts, The] | 固定リンク