« NIGHT RANGER『DON'T LET UP』(2017) | トップページ | DAVID LEE ROTH『EAT 'EM AND SMILE』(1986) »

2017/04/02

PRETTY MAIDS『SIN-DECADE』(1992)

活動歴35年を超え、今や母国デンマークの人気HMバンドにまで上り詰めたPRETTY MAIDSが、1992年3月にリリースしたのが本作『SIN-DECADE』。僕は前作『JUMP THE GUN』からこのバンドの音に触れたのですが、DEEP PURPLEのロジャー・グローヴァーがプロデュースした同作は、疾走感あるファストチューン含め当時のパープル諸作品に通ずる“野暮ったさ”が感じられ、なんとなく素直に好きと言えない1枚だったことをよく覚えています。「Attention」とか男臭いバラード「Savage Heart」とか、良い曲も多かったんだけどね。

その後、ツインギター&キーボードを含む6人編成だったバンドからメンバーが次々に脱退。気づけばロニー・アトキンス(Vo)、ケン・ハマー(G)の2人だけになってしまい、そこにケン・ジャクソン(B)、マイケル・ファスト(Dr)が加入し、新たに4人編成でバンドを立て直して本作を完成させたわけです。

プロデューサーはMETALLICAの初期作品を手がけたフレミング・ラスムッセン。分厚いドラムビートから始まる「Running Out」を筆頭に、本作はパワフルなファストチューンとヘヴィなビートが気持ち良く響くミドルチューンをバランス良く配置した聴き応えのある1枚に仕上がっています。タイトルトラック「Sin-Decade」のドラマチックさも素晴らしいし、「Nightmare In The Neighbourhood」や「Come On Tough, Come On Nasty」のキャッチーさ、「Know It Ain't Easy」でのアコースティックギターを取り入れたアメリカンロック的な爽やかさなど、実は楽曲のバラエティ豊かさも絶妙で硬軟のバランスが非常に良いんですよね。そこにしっかり「Raise Your Flag」「In The Flesh」みたいな疾走パワーメタルチューンが加わることで、“メタルバンドのメタルアルバム”としてしっかり成立している。

そんなアルバムのラストを飾るのが、ジョン・サイクスが過去にヒットさせた楽曲「Please Don't Leave Me」のカバー。この仕上がりがまた最高でして……ここまでアルバムの締めくくりにふさわしい曲が他にあるのか?と問いただしたくなるくらい、完璧な選曲だと思います。また、原曲を知らない世代にもこの曲の素晴らしさをアピールすることに成功し、結果として当時BLUE MURDERとして活動していたジョン・サイクスも自身のライブでこの曲を取り上げ始めることになるわけです。

ただし、このカバーの成功がひとり歩きしてしまったのも事実。こんなにも硬派なアルバムを完成させ、かつ成功させたにも関わらず、「Please Don't Leave Me」のカバー1曲だけで片付けられることも多かったと記憶しています。事実、バンドはこのカバーのヒットにより、次作のミニアルバム『OFFSIDE』(1992年)、5thフルアルバム『STRIPPED』では「Please Don't Leave Me」のアコースティックカバーを制作することになってしまうのです(当時はアンプラグドブームでしたしね)。このへんはバンドの意思というよりも、二匹目のドジョウを狙ったレコード会社からの指示だったんでしょうね。

と、良くも悪くもバンドのその後を左右させてしまった、歴史にも記憶にも残る1枚。それがこの『SIN-DECADE』でした。内容は間違いなく最高なので、ぜひ一度聴いてみてほしいです。



▼PRETTY MAIDS『SIN-DECADE』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 04 02 12:00 午前 [1992年の作品, Pretty Maids] | 固定リンク