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2017/04/08

HANOI ROCKS『TWO STEPS FROM THE MOVE』(1984)

HANOI ROCKSが1984年にリリースした、通算4作目のオリジナルアルバムにしてメジャーデビュー作(1983年発売のコンピレーションアルバム『SELF DESTRUCTION BLUES』を含めれば、通算5枚目のスタジオアルバム)。前作『BACK TO MYSTERY CITY』(1983年)まではフィンランドのレーベルからのリリースですが、今作からはCBS(現在のソニー)とワールドワイド契約を結んだことで、いよいよ本国やイギリス、日本以外(主にアメリカですね、この場合)に殴り込み……というタイミングに制作された力作でした。

プロデューサーにはアリス・クーパーやKISS、PINK FLOYDなどで知られるボブ・エズリンを迎え、ニューヨークにてレコーディング。かといってサウンド自体はアメリカナイズされたわけではなく、これまでの彼らの魅力(不思議なメロディ感覚やパンキッシュで前のめりなサウンド)はそのままに、サウンドをより洗練させた印象が強いかな。軽くて軽薄さすら感じられたそれまでの質感と比べたら、今作で聴ける音は太くて重心がより低くなったような気がします。

オープニングを飾るCCRのカバー「Up Around The Bend」にしろ、以前のHANOI ROCKSだったらもっと軽くてサラッと流していたこういうタイプのロックンロールも、タフでパワフルさが加わっている。そこからパンキッシュなアップチューン「High School」へと続き、HANOI ROCKSらしさに満ち溢れた妖艶な「I Can't Get It」「Underwater World」へと続く。1stアルバム『BANGKOK SHOCKS, SAIGON SHAKES, HANOI ROCKS』収録のポップチューン「Don't Never Leave Me」をリメイクした「Don't You Ever Leave Me」は、構成を若干変えてテンポを落としたことで、より親しみやすいバラードへと生まれ変わっている。

アナログ盤でいうB面にあたる6曲目「Million Miles Away」は泣きのバラード長なんだけど、後半でラテン風アレンジに展開していく流れにこのバンドならではの毒を感じるし、単に明るくなりきれない「Boulevard Of Broken Dreams」も魅力的。パブロック風なユルさが前作までの彼ららしい「Boiler (Me Boiler 'n' Me)」、NEW YORK DOLLSにも通ずるグラマラスなアップチューン「Futurama」、そしてワイルドさ全開の「Cutting Corners」で締めくくり……全10曲、約41分があっという間に流れていく1枚です。聴きやすさは過去イチだけど強いクセ、毒、フックなどもしっかり散りばめられている。そういう意味では80年代前半のHANOI ROCKSの集大成であり、ここから何かが始まることを予感させる1枚でもあるように思えます。

が、しかし。ご存知のとおり本作リリースから数ヶ月後にヴィンス・ニール(MOTLEY CRUE)が起こした自動車事故により、同乗していたラズル(Dr)が死亡。HANOI ROCKSは世界的成功を目前に空中分解してしまいます。とはいえ、あの当時はそこから約20年後にマイケル・モンロー(Vo, Sax)とアンディ・マッコイ(G)を中心とした“再生HANOI ROCKS”が活動することになるとは思いもしなかったなぁ……リアルタイムで80年代のHANOI ROCKSを体験できなかった身としては、非常にありがたかったですが。



▼HANOI ROCKS『TWO STEPS FROM THE MOVE』
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投稿: 2017 04 08 12:00 午前 [1984年の作品, Hanoi Rocks] | 固定リンク