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2017/04/04

VAN HALEN『A DIFFERENT KIND OF TRUTH』(2012)

(前回のデヴィッド・リー・ロス『EAT 'EM AND SMILE』からの続き)で、その後デイヴとVAN HALENは一度、レコーディングで再集結を果たします。それが1996年に発表したベストアルバム『BEST OF –VOLUME 1』収録の新曲「Me Wise Magic」と「Can't Get This Stuff No More」でのこと。本来なら本格的な再結成になるはずが、結局ソリが合わずに再分裂。結局デイヴが本格的にバンドに復帰するのは、それからさらに10年後の2007年のことでした。ただし、その頃にはオリジナルベーシスト、マイケル・アンソニーの姿はなく、代わりにエディ・ヴァン・ヘイレンの息子ウルフギャング・ヴァン・ヘイレンがベーシストの座に。オリジナル編成のようで新編成のVAN HALENはツアーを中心に活動を続けていきます。

そこからさらに5年を経て、ついに完成したのが今回紹介するアルバム『A DIFFERENT KIND OF TRUTH』。オリジナル作品としては、ゲイリー・シェローン(EXTREME)が参加した1998年の11thアルバム『VAN HALEN III』以来14年ぶり、デイヴ参加アルバムとなると1984年の『1984』以来28年ぶりとなります。時空が歪むね。

『VAN HALEN III』がVAN HALENとしては並の出来だったこと、その前のオリジナルアルバムはサミー・ヘイガー時代だったことを考えると、デイヴ時代を再現したかのような今作をリリース当時聴いたときは非常に新鮮な内容だなと思った記憶があります。オープニングの「Tattoo」はシンセこそ取り入れているものの、そのメロディやコーラスワーク、楽曲のスタイルは初期VAN HALENそのもの。続く「She's The Woman」も80年代前半までのVAN HALENを踏襲した作風だと言えますし、ちゃんと初期を彷彿とさせるファストチューン「China Town」や「Bullethead」「As Is」もある。マイケル・アンソニーがいないのに、それっぽいコーラスが聞こえるのは非常に不思議というか違和感が残りますが……。

正直、サミー・ヘイガーの加入によりその音楽性に幅が加わったVAN HALENが再びデイヴと組むことで、その音楽性の幅が再び狭まるのではないかと不安視していたのですが……確かに初期VAN HALENサウンドに回帰したそのスタイルは一本芯の通ったものですが、そこまで“幅が狭い”とは感じなかったのも事実。カラフルさよりも原色、あるいはモノトーンの強みとでも言いましょうか、そういう強い個性が感じられる1枚に仕上がっていると思います。実際、各曲のメロディも非常にしっかりしていて、かなりキャッチーですし、それを歌うデイヴの歌も思っていた以上に器用だし。ぶっちゃけ文句のつけようがないのが事実です。

ただ、『5150』(1986年)から『BALANCE』(1995年)までの“VAN HAGER”期に慣れ親しんでしまった耳には、どこか物足りなさを感じてしまうのも正直なところ。これ、15年遅かったよな……と思ってしまうのです。待たされたわりに“当たり前の内容”だったから、余計にね。だからといって悪い内容ではなく、むしろ良作だと思っているので、だからより複雑な感情を抱いてしまう。そんな1枚なのです。

どうせなら、これに続くオリジナルアルバムをもう1枚作ってくれたら、きっと本作に対する印象も多少は変わるんじゃないかなと。現時点ではそういうポジションの、とてもかわいそうなアルバムがこの『A DIFFERENT KIND OF TRUTH』なのでした。



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投稿: 2017 04 04 12:00 午前 [2012年の作品, Van Halen] | 固定リンク