VAN HALEN『FOR UNLAWFUL CARNAL KNOWLEDGE』(1991)
1991年初夏に発表された、VAN HALEN通算9枚目のオリジナルアルバム。
『5150』(1986年)からバンドに加わったサミー・ヘイガー(Vo)にとっては、『OU812』(1988年)に続く3枚目の参加アルバムとなります。この時期から米Billboardチャートの集計方法が変わったことで、SKID ROWの2ndアルバム『SLAVE TO THE GLIND』がアルバムチャート初登場1位を獲得しましたが、翌週に発売されたこの『FOR UNLAWFUL CARNAL KNOWLEDGE』も続いて初登場1位を記録。「Top Of The World」(全米27位)、「Right Now」(全米55位)と過去2作と比べたら大きなヒット曲は誕生しなかったものの、現在までに300万枚を売り上げる好成績を残しています。
『5150』で“VAN HAGER”と揶揄されるほど、サミー色に染まったVAN HALENでしたが、続く『OU812』はデヴィッド・リー・ロス時代のテイストも復活。一部で「リリースする順番が逆だったらそこまで批判されなかったのに」という声まで上がりましたが、今作ではリスナー側もすでにサミーのカラーに慣れたこともあり、“VAN HAGAR 2作品+初期テイスト+α”という独自の路線を貫いています。
ピックアップに電動ドリルを近づけることによって生じるあのサウンドから始まる「Poundcake」を最初に聴いたときは、時期的に(その数ヶ月前に発売された)MR. BIGの『LEAN INTO IT』を思い浮かべたものですが、このダイナミックでひたすらカッコいいアリーナロックを聴けばそんなことどうでもよくなくなるという。そして続くストレートなアップチューン「Judgement Day」のカッコよさたるや。このオープニング2曲の掴みだけで、本作が名作なのは間違いない!と聴き始めた当初確信したのを今でも覚えています。
ダークな「Spanked」な「Pleasure Dome」は過去になかったタイプだし、「Runaround」もいかにも初期VAN HALENにありそうな親しみやすいロックチューン。イントロのギター&ベースのユニゾンからしてクールな「Man On A Mission」、これぞ“VAN HAGAR”な「The Dream Is Over」、本作中唯一キーボード(ピアノ)を用いたシリアス調のミドルチューン「Right Now」、メロウな王道ナンバー「Top Of The World」と、とにかく捨て曲なし。従来のVAN HALENらしさを引き継ぎつつも、これまでになかったタイプの楽曲も登場していて、新鮮な気持ちで接することができる。音の質感もこの“適度にヘヴィかつメロディはポップ”という楽曲に合っているから、トータルで50分を超えているのにスルスルと聴き進めることができるんです。
個人的にはVAN HALENの全作品中で一番好きなアルバムが本作。もちろんデイヴ時代の諸作品も捨てがたいし、『5150』もお気に入りなんですが、自分が理想とするロックアルバムはこれかなと思うのです。
バンドは本作を携えたワールドツアーの模様を収めた初のライブアルバム『LIVE: RIGHT HERE, RIGHT NOW』を1993年にリリース(同名の映像作品も発表)。この音源を聴いて、改めて『FOR UNLAWFUL CARNAL KNOWLEDGE』での来日公演が実現しなかったことを何度悔やんだことか……。
▼VAN HALEN『FOR UNLAWFUL CARNAL KNOWLEDGE』
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