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2017/05/12

HEART『HEART』(1985)

アン(Vo)&ナンシー(G, Vo)のウィルソン姉妹が中心のロックバンド、HEARTが1985年に発表した大ヒット作品。プロデューサーには70年代にTHIN LIZZY、UFOなどを手がけ、80年代に入るとSURVIVORやMICHAEL SCHENKER GROUPの諸作で知られるロン・ネヴィソンを迎えた、バンドの立て直しを図って制作された1枚です。アルバムタイトルにバンド名を冠するところからも、その覚悟が感じ取れますしね。

70年代後半にブレイクするものの、80年代に入ってからは大きなヒットに恵まれず、メンバーも脱退。そんな中訪れたHR/HMブームに便乗……というわけではなかったでしょうが、結果として当時のMTV主流の売り方やHR/HMブームにうまく乗ることができ、結果として初の全米No.1を獲得。現在までに500万枚以上を売り上げており、また本作からは「What About Love」(全米10位)、「Never」(全米4位)、「These Dreams」(全米1位)、「Nothin' At All」(全米10位)、「If Looks Could Kill」(全米54位)と5枚のシングルヒットも生まれています。

ロン・ネヴィソン特有のリヴァーブの効いた質感とアリーナロックを彷彿とさせるドラムサウンド、ハードだけど耳障りの良いギター、適度に採用されたシンセ、そしてあくまでボーカルが軸というミックス。ハードロックを基盤にしながらもポップスとしても通用する作風は、ときに「産業ロック」と揶揄されたりもしますが、リリースから30年以上経った現在聴いても色褪せることのない名作であることは否定しようがありません。

ドライブ感の強いHRナンバー「If Looks Could Kill」から始まり、ヒットシングル3連発(「What About Love」「Never」「These Dreams」)へと続く流れも良いし、そこからまたヘヴィな「The Wolf」へと戻り、後半(アナログB面)もポップさとハードさをミックスしたバランスの良い楽曲が並ぶ。アン・ウィルソンのボーカルも絶好調だし、その合間に登場するナンシー・ウィルソンの癒し度が高い歌声も箸休め的にちょうど良い(その箸休めのはずだった「These Dreams」が初の全米No.1シングルになってしまうわけですが)。楽曲自体もバンドメンバーが軸になって書いたもののみならず、ジム・ヴァランスやホーリー・ナイト、マーティン・ペイジ、バーニー・トーピンなど外部ライターによる楽曲も多数収録。そういった外部ライターによる楽曲がシングルヒットしてしまうというのも、まぁ皮肉っちゃあ皮肉ですけどね。

これだけ素晴らしい作品なのに、いまだにリマスター化されていないのが残念。質感や録音レベルが当時のままということもあって、CDやデジタルで聴いたときに若干の迫力不足は否めません。続く『BAD ANIMALS』(1987年)以降の作品含め、ぜひリマスター盤の発売をお願いしたいところです。



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投稿: 2017 05 12 12:00 午前 [1985年の作品, Heart] | 固定リンク