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2017/05/03

LINKIN PARK『MINUTES TO MIDNIGHT』(2007)

『HYBRID THEORY』(2000年)、『METEORA』(2003年)の2枚でゼロ年代前半のラウドロックシーントップの座を手中に収めたLINKIN PARK。しかし、2000年代半ばに入るとラップメタルやニューメタルといった一過性のブームは過去のものとなり、ラウドロックシーンはさらなる変革を迎えていきます。

そんな中でLINKIN PARKが新たに取った手法は、音楽的に大胆なシフトチェンジを図ること。2007年春に発表され4年ぶりのオリジナルアルバム『MINUTES TO MIDNIGHT』では、プロデューサーを過去2作手がけたドン・ギルモアから大御所リック・ルービンに交代。約14ヶ月かけ、100曲の中から厳選された全13曲が収められています。

重心の低いミドルテンポのヘヴィロックが中心だった過去2作から一変。本作では前時代的なハードロックやメロディアスなロックが軸となっており、彼らが単なるラウドロックバンド、ラップメタルバンドではないことを証明しています。だって、マイク・シノダによるラップがフィーチャーされた楽曲は全13曲中たったの2曲(「Bleed It Out」「Hands Held High」)で、「In Between」においてはマイクがリードボーカルを担当しているのですから。

もう一方のシンガー、チェスター・ベニントンもスクリームを極力抑え、丁寧に歌うことに専念。ギタリストのブラッド・デルソンもメタル調ディストーションを控え、曲によっては大胆にギターソロを取り入れるなどして各曲に彩りを与えています。「What I've Done」のMVでブラッドが普通にストラトキャスターを弾いている姿を目にしたときは、そりゃあ驚いたものです。

そういえば、その「What I've Done」のMVはカリフォルニアの砂漠で撮影されたもので、歌詞同様に環境汚染・破壊などの社会問題を提示するものでした。LINKIN PARKがそういった問題と積極的に向き合い始めたのも、この前後だったと記憶しています。人によってはそのへんに姿勢に対して不信感を持ち始め、バンドと距離を置き始めたり離れ出したりしたのもこの頃だったように思います。

特に日本人にとってはこのへんの問題があまりに身近なものではないため、どうしても完全に理解できないかもしれません。が、それも「3.11」におけるバンドの働きによって、より深く理解することができたのではないでしょうか。バンドがどんどん大きくなり、視野や意識がどんどん広まることによって生まれる弊害……と言ったら語弊があるかもしれませんが、これってビッグネームになればなるほどぶつかる“壁”なのかもしれませんね。

と、ちょっと話題が脱線しましたが。アッパーな「Given Up」「Bleed It Out」「In Pieces」、ヘヴィな「No More Sorrow」、ヒップホップと賛美歌を融合させたかのような「Hands Held High」、メロウなバラード「Shadow Of The Day」、そしてアンセミックなハードロック「What I've Done」と楽曲のバラエティは過去2作以上。曲によってはエレクトロの要素も散りばめられていき、次作でのさらなる大変化を予感させる内容となっています。僕のように初期のニューメタル的作風が苦手という方は、もしかしたらこのアルバムからLINKIN PARKに入ると案外イケるかもしれません。



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投稿: 2017 05 03 12:00 午前 [2007年の作品, Linkin Park] | 固定リンク