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2017/05/06

LINKIN PARK『THE HUNTING PARTY』(2014)

前作『LIVING THINGS』(2012年)はその前の『A THOUSAND SUNS』(2000年)から1年9ヶ月という最短期間で届けられたにも関わらず、過去4作を総括しつつも非常にコンパクトな作品を提示したLINKIN PARK。いわゆる“ニューメタル”時代(初期2作)を第1期とするならば、作品のたびに大きな変化を繰り返した3nd『MINUTES TO MIDNIGHT』(2007年)から前作までの3作は第2期ということになるのでしょう。

では、続く第3期では何を聴かせてくれるのか。そんなワクワクと不安を抱えるファンのもとに、またもや2年という短いサイクルで届けられたのが通算6枚目のオリジナルアルバム『THE HUNTING PARTY』でした。

プロデューサーを手がけたのは、過去3作に携わったリック・ルービンではなく、メンバーのブラッド・デルソンとマイク・シノダ。いわゆるセルフプロデュースというやつですね。バンドがやろうとすることを客観視する人間がいなくなったことで、どんな独善的な作品が完成するのだろうと思ったら、なんとラウドロックに回帰したバンドサウンドが中心。見方によっては原点回帰と解釈することもできますが、ここで繰り広げられているのは初期のニューメタル、ラップメタルとは一線を画するもの。現代的なラウドロックではあるものの、メタルというよりはパンクに近いテイストが強まっています。

正直、『LIVING THINGS』発表後にスティーヴ・アオキとのコラボ曲「A Light That Never Comes」やリミックスアルバム『RECHARGED』(ともに2013年発売)でEDMやダンスミュージックへの急接近を図ったことから、続く6thアルバムはよりその色合いが強くなるのでは?と予想していたのですが、ここまで生々しくて“やりっぱなし”なロックアルバムを作るとは想像もできませんでした。

“やりっぱなし”の意ですが……過去の楽曲がどれも非常にコントロールされた、かなり作り込まれたものだったのに対して、今作で聴ける楽曲はどれも「スタジオでセッションしたものを、そのまま出した」ような印象が強いから。良く解釈すればバンドとしての躍動感をそのまま収めたと受け取れるし、悪く解釈すれば上記の“やりっぱなし”感を受け取ってしまう。これは聴き手が彼らに何を求めているかで二分すると思います。

つまり、僕は直近の2作をとても気に入っていたため、このタイミングでの変化に対して最初は好意的に受け取ることができなかった。リリースから3年近くたった今聴き返してもその印象は変わることなく、まもなく発表される7thアルバム『ONE MORE LIGHT』でのさらなる変化を考えると今作での中途半端な原点回帰は過渡期そのものだったんだなと思うわけです。バンドを次の10年につなげるために必要なアク抜きだったと。

そう解釈すると、本作に多数のゲストアーティストが参加していることも頷けるというか。ペイジ・ハミルトン(HELMET)、ラキム、ダロン・マラキアン(SYSTEM OF A DOWN)、トム・モレロ(RAGE AGAINST THE MACHINE)というLINKIN PARKよりも前に一時代を築いた人たちとのコラボで、次の一歩を導き出そうとしたのかもしれませんね。

聴く人が聴けば決して悪くない作品集だけど、過去にこだわるLINKIN PARKファンには中途半端なアルバムだった。今はそういうネガティブな感情を拭いきれませんが、『ONE MORE LIGHT』を経てさらに数作発表した後にこそ、この『THE HUNTING PARTY』は評価されるのではないか……むしろそうなってほしいと、ちょっとだけ希望を残して終わりたいと思います。



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投稿: 2017 05 06 12:00 午前 [2014年の作品, Linkin Park] | 固定リンク