QUIET RIOT『QR III』(1986)
アメリカのハードロックバンドQUIET RIOTが1986年夏に発表した、メジャー通算3作目のオリジナルアルバム。彼らは70年代にここ日本のみで2枚のアルバムを発表しているので(当時はかのランディ・ローズが在籍していたことでも知られています)、それらを含めるならば通算5作目ということになりますが、まぁここは便宜上3rdアルバムとして扱うことにします。
1983年に発表されたメジャー1作目『METAL HEALTH』が全米No.1を獲得し、600万枚を超えるセールスを記録。また同作からのシングル「Cum On Feel The Noize」(SLADEのカバー)も全米5位まで上昇するなど、まさにその後本格化するL.A.メタルブームの先駆けとなったQUIET RIOT。続く1984年の2ndアルバム『CONDITION CRITICAL』も全米15位、100万枚を超えるセールスとなり、『METAL HEALTH』で得た成功の恩恵を受けることができました。ただ、『CONDITION CRITICAL』でも同じSLADEの「Mama Weer All Crazee Now」(全米51位)をカバーするなど、 “カバー曲で当てた一発屋”的イメージを拭い去れずにいました。
そんなQUIET RIOTが続く3rdアルバムでは、カバー曲に一切頼らないアルバム制作を実施。ハードさとポップさを適度に兼ね備えたバンドの個性を、この『QR III』という作品でより極めようとします。
本作ではルディ・サーゾ(B)が脱退し、新たにチャック・ライトが加入。曲作りも前作でのケヴィン・ダブロウ(Vo)独占体制から、ベースインスト「Bass Case」以外の楽曲すべてにケヴィン、チャック、カルロス・カヴァーゾ(G)、フランキー・バネリ(Dr)が名前を連ねる形にシフトチェンジしています。
オープニングの「Main Attraction」は本作を代表するような1曲で、シンセリフを前面に打ち出した爽やか且つ疾走感の強いナンバー。かと思えば「The Wild And The Young」のようにヘヴィながらもシンガロングできるアンセムもあるし、ヘヴィさにファンキーさを掛け合わせた「Down And Dirty」、哀愁のメロディがグッとくるバラード「Twilight Hotel」「Still Of The Night」、軽やかなHRサウンドに泣きメロを乗せた「Slave To Love」など良曲満載。80年代のカリフォルニアの絵が自然と思い浮かびそうなビッグサウンドとキラキラしたシンセ、カルロス・カヴァーゾの適度に弾きまくるギターソロ、そして大勢での大合唱必須のコーラス。あの時代、僕たちが求めていたアリーナロックそのものがここにあったのです。
しかし、作品ごとにセールスを落としていったQUIET RIOT。本作は全米31位と低調に終わり、ヒットシングルを生み出すこともできませんでした。純粋に作品が評価される以前に、バンドの評価(特にケヴィンのビッグマウスぶり)が悪影響を及ぼし、のちにケヴィンはバンドから追い出されてしまうのでした。
(その後については、続く4thアルバム『QR』のレビューをご覧ください)

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