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2017/05/14

MOTLEY CRUE『THEATRE OF PAIN』(1985)

MOTLEY CRUEが1985年6月に発表した、通算3作目のオリジナルアルバム。前作でのメタリックなサウンド&ファッションから一変、本作ではメタル色を引き継ぎながらもブギーやピアノバラードも取り入れたライト路線へとシフトチェンジ。ファッションもレザー一辺倒からスパンコールが散りばめられたグラマラスなものへと変化して、往年のAEROSMITHを彷彿とさせるスタイルで見る者を驚かせました。個人的にもこのアルバムから彼らに入っていったこともあり、思い入れが強い1枚でもあります。

前年12月にヴィンス・ニール(Vo)が飲酒運転で事故を起こし、同乗していたHANOI ROCKSのラズル(Dr)を死なせてしまうという悲しい出来事がありました。これによりヴィンスが1985年初頭、アルコールのリハビリセンターに1ヶ月間入所。1986年にも有罪となって入獄するなどのトラブルがありましたが、そういった負の要素はこのアルバムには感じられず、非常にパーティ感の強いアメリカンハードロックを楽しむことができます。

特に本作からは「Smokin' In The Boys Room」(全米16位)、「Home Sweet Home」(全米89位)という2枚のヒットシングルが生まれており、前者はBROWNSVILLE STATIONのカバー曲でヴィンスのハーモニカをフィーチャーした軽やかなブギー、後者はトミー・リー(Dr)が弾くピアノが印象的なパワーバラードという、過去の彼らからは考えられない新境地を見せています。この大胆なシフトチェンジが功を奏し、アルバムは全米6位まで上昇し、400万枚ものセールスを記録しました。

ただ、個人的な思い入れはあるものの、作品としては80年代の彼らの作品の中でも中途半端な仕上がりと言わざるをえません。ヴィンスの逮捕やニッキー・シックス(B)やトミー・リーのドラッグ&アルコール癖が制作に及ぼした悪影響もあり、前作『SHOUT AT THE DEVIL』(1983年)制作時のアウトテイク(「Louder Than Hell」など)を流用するなど、決して純粋な新作とは言い難いのです。

確かに「Smokin' In The Boys Room」や「Home Sweet Home」は出色の出来ですが、それ以外に「これ!」という曲があるかというと……オープニングの「City Boy Blues」も他のアルバムのオープニングトラックと比較すれば弱いのは否めないし、「Save Our Souls」なんて前作に入っていても不思議じゃない平凡な楽曲だし、そこに能天気なアメリカンロック「Raise Your Hands To Rock」
が続くのも違和感があるし。「Tonight (We Need A Love)」も悪くないけど、アレンジが今ひとつだし、「Use It Or Lose It」も同じく。実はこのへんのモヤモヤ感は続く『GIRLS, GIRLS, GIRLS』(1987年)にも言えることなんですけどね。ああ、ドラッグって怖いなぁ……。

とはいえ、同時代に発表された他のL.A.メタル勢と比べてもその出来ははるかに良かったりするので、プラマイゼロというところなんですが。思い入れはあるけど、今では聴く頻度は低いという不思議な1枚なのでした。

で、久しぶりに引っ張り出して聴いてみましたが……大まかな印象は上に述べた通りで変わりありませんが、それでも1曲1曲の出来はさすがだなと思わされてしまう悲しきファン心理。やっぱり好きという気持ちには敵いません(苦笑)。



▼MOTLEY CRUE『THEATRE OF PAIN』
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投稿: 2017 05 14 12:00 午前 [1985年の作品, Motley Crue] | 固定リンク