NIRVANA『BLEACH』(1989)
1989年初夏に発表された、NIRVANAの記念すべきデビューアルバム。バンドの結成が1987年なので、約2年後には本作をリリースしているんですね。もっとも彼らが今のような知名度を獲得するのは、そこからさらに2年以上要するわけですが(それにより、本作に対する評価も激変します)。
米・シアトルを拠点とするインディーレーベル「Sub Pop」から発表された本作は、当時ほとんど話題になることなく、当然日本盤が発売されるのも次作『NEVERMIND』(1991年)の大ヒット以降ですし、自分が記憶してる限りでは1990年夏時点では輸入盤すら都内でもほとんど見かけることはなかったはずです(だって、当時彼らのことを知ってアルバムを探し回ったんですから)。
1989年当時はまだグランジなんて言葉すら耳にすることはなかったし、かのSOUNDGARDENがようやくメジャーから『LOUDER THAN LOVE』を発表した程度。MUDHONEYやMELVINSといったバンドはすでに活動していましたが、ここ日本では“知る人ぞ知る”な存在でした。
しかし、ここで聴けるサウンドは初期グランジムーブメントにおいて非常に重要なもの。確かに『NEVERMIND』以降ですべてが変わってしまいましたが、それでも多くのリスナーが「グランジと聞いてイメージするもの」は『NEVERMIND』よりもこの『BLEACH』に詰まっているのではないか……あのムーブメントから25年も経った今だからこそ、余計にそう思うわけです。
決して録音状態が良いとは言えない、インディーズならではのチープな音質にラフな演奏。楽曲もニューウェーブを通過したようなものから、当時のマニアックなインディーロック、どことなくハードロックの色合いもあったりなかったり……と一筋縄でいかない印象が強いですが、歌メロはこの時点で非常にポップなものが多いのも事実。1曲目「Blew」からしてそうですし、きわめつけは「About A Girl」。このあたりのカラーを強めていくことで、のちの『NEVERMIND』へと続いていくんだなと実感させられます。
それと、久しぶりに本作を聴いて思ったのは……カート・コバーン(Vo, G)という人は本当にMELVINSが好きだった(リスペクトしていた)んだな、と。たまたま初期MELVINSの作品を聴いていた流れで本作を聴いたからか、余計にそう感じたのでした。そういえば本作にはそのMELVINSのデイル・クローヴァー(Dr)も参加してますしね。当時、短期間でも一緒に活動できたことは嬉しかったんじゃないか……なんて、本作を聴いて勝手に想像するわけです(まぁ実際、MELVINSと出会って自分の人生は変わった、なんてこと言ってましたしね、カート)。全体的にヒリヒリとした作風なのに、今となってはそういう微笑ましさも感じられる奇跡の1枚。何周も回って、彼らの作品の中で今一番気に入っているのが本作だったりします。
NIRVANAをこれから聴くなら、「もちろん最初は『BLEACH』から」……とは言いませんよ。素直に『NEVERMIND』から聴けばいいと思います。そこから『BLEACH』にさかのぼるか、『IN UTERO』(1993年)に進むかはあなたの自由。どちらを選んだとしても、きっと驚くことでしょうから(苦笑)。

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