FREE『FIRE AND WATER』(1970)
FREEのスタジオアルバムでもっともヒットしがのが、1970年6月に発売された通算3枚目のスタジオアルバム『FIRE AND WATER』です。実は彼ら、我々が思っている以上に実働期間が短く、1969年にデビューして1971年には一度解散。1972年に再結成するものの、翌1973年には再度解散しているのです。
1969年に発表された2枚のスタジオ作『TONS OF SOBS』『FREE』も決して悪くはないのですが、やはり『FIRE AND WATER』には「All Right Now」という大ヒットシングル(全英2位、全米4位)が含まれていることもあり、アルバム自体も全英2位、全米17位という出世作につながったと言えます。
考えてみたら、たった7曲しか入っていない35分程度のアルバムなのですが、その中身はかなり濃密。ポール・ロジャース(Vo)の歌声も脂が乗った状態で艶やかだし、ポール・コゾフ(G)のギターソロも非常にセクシー。アンディ・フレイザー(B)のベースラインは無駄に動き回るし、サイモン・カーク(Dr)のドラミングは大きな特徴があるわけじゃないけど妙にしっくりくるし。4人の個性は本当にバラバラなのですが、そのすべてが良い方向に噛み合った奇跡的な1枚ではないでしょうか。
前半4曲(アナログA面)の気だるさは若い頃に聴いたときは退屈に聴こえたのに、今はなぜかグッとくるものがある。で、B面(5曲目以降)のその気だるさは引き続きなんですが、「Mr. Big」後半のインタープレイはいつ聴いてもカッコ良いし、最後はポップでキャッチーな(本作中唯一陽気な)「All Right Now」で締めくくる。最後だけ取って付けた感がなきにしもあらずですが、まぁこの時代のアルバムってこういうものなんじゃないの?という一言でここは済ませたいと思います。
個人的ベストソングは、オープニングからどっしり構えた「Fire And Water」と、ピアノとポール・ロジャースのセクシーな歌声の相性抜群な「Heavy Load」、そして(バンドのほうの)MR. BIGのカバーよりやっぱり原曲のほうが最高でしょ!ってことで「Mr. Big」。もちろんそれ以外の楽曲もすべて良し。「Oh I Wept」も「Remember」も良いしね。
人によっては「FREEはライブ盤『FREE LIVE!』とベスト盤を聴いておけばOK!」と言うかもしれませんが、ここはあえて本作を真っ先にオススメしておきたいと思います。
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