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2017/06/26

LITTLE CAESAR『LITTLE CAESAR』(1990)

以前THE QUIREBOYSTHE BLACK CROWESのレビューで、1990年はHR/HMシーンにおいてひとつの変わり目だったということを書いたと思います。その数年前にGUNS N' ROSESが大ブレイクしたことで、シーンの主流が派手なスタイルからよりナチュラルで土着的なスタイルに移行していき、サウンド自体はよりシンプルでアーシーなものが好まれるようになります(極論ですが、それがのちにNIRVANAやPEARL JAMがブレイクした一因にもなっているのではないかと)。

で、その流れに乗って、当のGUNS N' ROSESを生み出したGeffen Recordsが1990年に送り出した新人が、このLITTLE CAESARです。ツインギターの5人組という編成は、初期のGN'Rと一緒。ソウルフルでしゃがれた声の持ち主ロン・ヤング(Vo)のボーカルスタイルや、ブルースやR&B、ソウルからの影響が色濃いハードなロックンロールという点も、先のTHE QUIREBOYSやTHE BLACK CROWESに通ずるものがあります。しかも、デビューシングルはアレサ・フランクリンの名曲「Chain Of Fools」カバー。うん、間違ってないよ。

ところが、本作をプロデュースしたのが、ボブ・ロック。当時はMOTLEY CRUE『DR. FEELGOOD』(1989年)BLUE MURDER『BLUE MURDER』(1989年)、THE CULT『SONIC TEMPLE』(1989年)といったヒット作を連発していた時期で、この流れは必然かと。がしかし、そのセレクトは間違っているよ……少なくとも、シンプルでナチュラルでアーシーにはならないってば。

実際、完成したアルバムはTHE CULT『SONIC TEMPLE』にも通ずる「ブルージーなフィーリングを持つ楽曲を、派手なサウンドプロダクションでビルドアップした80年代末らしい」作品集に仕上げられています。実際、素晴らしいハードロックアルバムだし、これはこれで間違ってないんだけど……うん、時代が悪かったよね。

とにかくボーカルの男臭さが最高。どっしり腰を据えたヘヴィなビートの上を、HR/HMというよりはR&Rの歪みにちかいギター2本がのたうちまわり、さらにその上で器用じゃないけど色気があるボーカルが乗る。楽曲もGN'RというよりはAEROSMITHに近いし、THE BLACK CROWESというよりは同時期にイギリスでデビューしたてのTHUNDER寄りかな。THE QUIREBOYSも2ndアルバムの路線には近いかも(同じボブ・ロックが携わってるしね)。ヘヴィに生まれ変わった「Chain Of Fools」も悪くないし、ソウルバラード「In Your Arms」「Midtown」「I Wish It Would Rain」、ブルースハープが絡む「Rock - N - Roll State Of Mind」など良曲多し。今挙げたようなアーティストが好きな人なら間違いなく気に入る1枚だと思います。

にしても、当時Geffenの名物A&Rだったジョン・カロドナーは、ROCK CITY ANGELSとLITTLE CAESARをデビューさせるタイミング、逆だったんじゃないかなと思うんですよね。もちろん、その時代にそのバンドがいたからそのタイミングにデビューさせたわけだけどさ。

ちなみに本作、全米チャートで最高139位止まり。シングル「Chain Of Fools」は88位、「In Your Arms」は79位と小ヒットを記録しています。確かに「Chain Of Fools」は当時、よくラジオで耳にしたしね。バンドは続く2ndアルバム『INFLUENCE』(1992年)リリース後に解散(本作にはかのアール・スリックが参加)。ロン・ヤングは映画『ターミネーター2』にちょい役で出演したり、エイドリアン・ヴァンデンバーグ(G)とMANIC EDENというバンドを組んだりしてちょっとだけ話題になりました。そして、2000年以降にLITTLE CAESARは再結成。現在までにアルバムを数作発表しているようです。



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投稿: 2017 06 26 12:00 午前 [1990年の作品, Little Caesar] | 固定リンク