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2017/07/13

NINE INCH NAILS『NOT THE ACTUAL EVENTS』(2016)

2016年末に突如デジタル配信&ストリーミングがスタートした、NINE INCH NAILSの最新EP。新録音源としては、2013年8月発売のアルバム『HESITATION MARKS』以来3年4ヶ月ぶり。しかも『HESITATION MARKS』が『YEAR ZERO』(2007年)以来のメジャーレーベルからのリリースだったのに対し、本作では再び自主レーベル(インディーズ)からの発表となっており、そのへんの事情もいろいろを想像させられるわけです。

新曲のみで構成されたEPという点においては、おそらく1992年の名作『BROKEN』以来ということになるのでしょうか。『BROKEN』は長く続いた前レーベルとの裁判の末に完成した、感情をありのままぶつけた小作品集という印象ですが、今作はその攻撃的な感情に加え知的さも存分に感じられる、非常にバランス感の取れた楽曲集という印象が強いです。

とはいえ、そこはトレント・レズナーのこと。『HESITATION MARKS』よりも音数が多く、歪んだ音像で重さを表現しようとするあたりに、これからのNINE INCH NAILSの方向性が見え隠れしたりもしています。

2分に満たないオープニングトラック「Branches / Bones」は、まるでSUICIDE「Ghost Rider」の21世紀版といったスタイル。激しいのに、どこか冷静さ・冷徹さが感じられ、これぞNINE INCH NAILSといったナンバーだと思います。

エレクトロ色が濃い「Dead World.」はどこか異色で、冒頭の囁くような低音ボーカルにドキッとさせられつつ、サビに入ると“いかにも”な歌メロを聞かせてくれる。インダストリアル調のミドルヘヴィナンバー「She's Gone Away」もテイスト的には前曲「Dead World.」の流れにあるもので、後ろで鳴っている激しいギターサウンドやフィードバック音にも強い主張が感じさせつつ、どこか宗教的な雰囲気すら漂わせている。

3拍子でゴリゴリと攻める「The Idea Of You」もボーカルの方向性的には前2曲と同じ流れにありながらも、淡々とシーケンスされるAメロから急に激しさを増すサビへ流れるアレンジが気持ちよい。そして最後の「Burning Bright (Field On Fire)」は、歪みまくった音像の中で歌メロを崩して歌うトレントに新たな可能性を感じます。いろんな音が相まって、ある種カオスを生み出しているのですが、不思議とそれが気持ち良かったりする。実は本作中で一番キャッチーな楽曲かもしれませんね。

この5曲を聴く限りでは、まだ新たなNINE INCH NAILS像を明確に見せていないような気がする。というよりも、EPを連作するスタイルで徐々に次の方向性を明確化させていくんじゃないでしょうか。そういう意味では、この『NOT THE ACTUAL EVENTS』は“『HESITATION MARKS』の次”ではなく、そこへ向けた習作と呼んだほうが正しいのかもしれません。



▼NINE INCH NAILS『NOT THE ACTUAL EVENTS』
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投稿: 2017 07 13 12:00 午前 [2016年の作品, Nine Inch Nails] | 固定リンク