✝✝✝ (CROSSES)『✝✝✝』(2014)
DEFTONESのチノ・モレノ(Vo)が幼少期からの友人であるFARのショーン・ロペス(G)、そしてチャック・ドゥーム(B)の3人で2011年からスタートさせたサイドプロジェクト・✝✝✝(“CROSSES”と読む)。2枚のEPを経て2014年に完成させたのが、このセルフタイトルのフルアルバムです。
DEFTONESでトライしているダークでゴシックな作風はそのままに、サウンド面をそのままエレクトロに置き換えて表現したのがこの✝✝✝と言えるでしょう。ヘヴィロック的な激しさを伴う楽曲もあるにはあるし、曲によってはスクリームも取り入れられていますが、それはほんの味付け程度。基本的にはダウナーでメロウな世界観が展開されています。
過去に発表された2枚のEP収録曲をそのまますべて収録したほか、新たに録り下ろされた新曲5曲を加えた全15曲から構成されているという点においては、結成から2014年時点での集大成と呼べるでしょう。トラックリストも非常に考えられているように見えますが、実は1曲目から1st EP収録曲、2nd EP収録曲、新曲のサイクルを繰り返して収められているという不思議な構成。それでも単なる寄せ集めには感じられないのは、1曲1曲が独立した世界観を持っているからでしょうか。
もともとチノのルーツにはDEPECHE MODEあたりからの影響が見え隠れしていたし、実際DEFTONESでDEPECHE MODEのカバーにも挑戦していましたが、こうやって打ち込み主体のサウンドにトライすると、やはりそういう方向性になってしまうのですね。もちろん、単なるDEPECHE MODEオマージュでは終わっておらず、そこにはシューゲイザーやドリームポップ、あるいはトリップホップあたりからの影響も色濃く表れている。DEFTONESではテイストとして取り入れていた要素を、ここではサウンドの軸として全面に打ち出しているのは大きない違いと言えます。
同じシンガー、違うバンドメンバーではあるものの、DEFTONESと✝✝✝がまったくの別モノと思えないのも事実。それは“スタート地点は同じなのに、そこから枝分かれした道、進んだ道が異なることでゴールが違った”だけの話なんでしょうね。そしてチノが✝✝✝というプロジェクトを経て、DEFTONESで『GONE』(2016年)という力作を完成させたという点も、非常に興味深いのではないでしょうか。

▼✝✝✝ (CROSSES)『✝✝✝』
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