FAITH NO MORE『ANGEL DUST』(1992)
FAITH NO MOREでどのアルバムが一番好きか?と尋ねられたとき、意外と意見が割れるんじゃないかなという気がしていて。どの作品で初めて彼らに触れたかも大きい気がするんですが、僕の場合は大ヒットした『THE REAL THING』(1989年)から入ったものの、実はその次の4thアルバム『ANGEL DUST』が一番気に入っているんですよね。
1992年6月に発表された本作は、シングル「Epic」の大ヒット(全米9位)によってミリオンヒットとなった『THE REAL THING』に続くアルバムで、マイク・パットン(Vo)がバンドに加わってから通算2枚目のスタジオ作品です。プロデューサーマット・ウォレスとバンドという、前作とまったく同じ布陣。前作が予期しなかったヒットを記録しただけに、プレッシャーもかけられたんじゃないかと想像しますが……いざ完成した本作は、その後の“やりたい放題”ぶりを予見させる内容で、非常にバランス感に優れた1枚ではないかと思います。
無駄にメジャー感があってキャッチーな楽曲が多かった『THE REAL THING』と比較すると、そのへんのカラーは若干抑え目。シングルカットされた「Midlife Crisis」や「A Small Victory」、「Everything's Ruined」あたりは確かにメジャー感こそあれど、派手さは皆無。そこに加えてシリアスかつヘヴィな「Land Of Sunshine」や「Caffeine」、どこか間の抜けたイメージの「RV」、複雑怪奇なハードコア「Malpractice」、“オペラ座の怪人+ファンク+キッズコーラス”と支離滅裂ながらもカッコいい「Be Aggressive」など、非常にクセの強い楽曲がずらりと並ぶのですから。ミクスチャーだなんだと新しい音楽に触れて喜んでいた前作のノリを期待して本作に手を出したら、次々に邪悪なキャラクターが飛び出すパンドラの箱を開けてしまった……そんな体験ができるはずです(笑)。
思えばFAITH NO MOREにHR/HMテイストが強く感じられたのは、本作までなんですよね。それは、本作を最後に脱退したギタリスト、ジム・マーティンのプレイによるものが大きいのかなと。その後バンドに加わり、再結成にも参加するジョン・ハドソンと比べると、無駄に派手ですからね(見た目含め)。
ちなみに本作、チャート的にはFAITH NO MOREのキャリアで唯一全米10位内に達したアルバム(最高10位)。実は『THE REAL THING』って、11位止まりなんですよ。ただ、順位的にはそんなに変わらないけど、セールス的には『THE REAL THING』が100万枚、本作『ANGEL DUST』は50万枚とシングルヒットの有無で差が出てしまったようです。
なお、再発盤には追加収録されてますが、本作リリースからしばらくしてバンドはライオネル・リッチーが在籍したCOMMODORESの名曲「Easy」のカバーをシングルリリース。こちらは全米58位という中ヒットを記録しています。前作ではBLACK SABBATH「War Pigs」を取り上げていた彼らが、次作でCOMMODORESをセレクトしたというのも面白いし、こっちのほうが本来の彼らのセンスなんでしょうね(本気とも冗談とも取れる微妙なラインが)。
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