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2017/07/27

THE HELLACOPTERS『GRANDE ROCK』(1999)

THE HELLACOPTERSが1999年春に発表した通算3作目のスタジオアルバム。2ndアルバム『PAYIN' THE DUES』(1997年)まで参加したドレゲン(G)が自身のメインバンドBACKYARD BABIESが本格的に忙しくなったことから、同年をもって脱退。その後しばらくはサポートギタリストを迎えてライブを続行しますが、本作『GRANDE ROCK』のレコーディングではニッケ(Vo, G)とボバ・フェット(Key)の2人がギターを担当しています。

ドレゲンが抜けた影響でしょうか、本作はデビュー作『SUPERSHITTY TO THE MAX!』(1996年)や次作『PAYIN' THE DUES』にあったパンキッシュなガレージロック色が後退。軽快さはそのままに、テンポ感も若干落としてじっくり聴かせる方向へと移行しつつあります。また、曲調にブラックミュージック(ソウルやR&B、ブルースなど)のカラーが濃くなり始めるなど、続く4thアルバム『HIGH VISIBILITY』(2000年)への片鱗が見え隠れします。そういう意味では、後期HELLACOPTERSへ向けた過渡期的1枚と言えなくもありません。

が、過渡期と呼んでしまうには勿体ないぐらいに完成度は高く、「Action De Grace」「Renvoyer」と2つの兄弟作的ショートチューンがオープニングとエンディングに並ぶことでアルバムに1本芯が通ったような強固なイメージを与えています。もちろんその間には、いかにも彼ららしい疾走感を伴う爆走ロケンローがたっぷり収録されているわけですが、そんな中に次作への布石となるミディアムテンポのソウルフルロック「Welcome To Hell」、アップテンポながらもどこか“黒っぽさ”が感じられる「Venus In Force」、タイトルからして完全お遊びっぽいけどしっかりKISSカラーで埋め尽くされた「Paul Stanley」など、興味深い楽曲がたくさん収められています。

サウンド的にも、歪みまくりで生々しかった過去2作からかなり整理され、純粋にロックアルバムとして優れた、聴きやすい作風に。ギターのディストーションもかなりナチュラルなもので、バンドとしてより一段高いステージを目指していく強い意思が感じられます。そりゃあ次に『HIGH VISIBILITY』みたいな力作が生まれるのも、納得するってもんです。

本作発表後、正式メンバーとしてロバート・ストリング(G)が加入。こうして解散まで不動のラインナップが完成することになります。

攻撃的な初期2作と、ソウルテイストを強めていく4作目以降の間に挟まれた、非常に不安定な時期に制作された作品かもしれませんが、個人的にはかなり聞く頻度の高い1枚。ぶっちゃけ今は初期2作よりも気に入っています。



▼THE HELLACOPTERS『GRANDE ROCK』
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投稿: 2017 07 27 12:00 午前 [1999年の作品, Hellacopters, The] | 固定リンク