MARILYN MANSON『MECHANICAL ANIMALS』(1998)
1998年初秋にリリースされた、MARILYN MANSON通算3作目のオリジナルフルアルバム。前作『ANTICHRIST SUPERSTAR』(1996年)が全米3位、全世界トータルで700万枚もの売り上げを記録する大ヒット作となりましたが、続く今作ではついに全米No.1を獲得します。
しかし、その内容はというと『ANTICHRIST SUPERSTAR』までの暴力的でメタリックなサウンドから一転、よりメロウでグラマラスでデカダンな世界観を展開。アルバムジャケットからもわかるように、ヴィジュアル面でも変化を遂げており、ここからアルバムごとに趣向の異なるサウンド/ヴィジュアルが提示されていくことになります。それはまるで、全盛期のデヴィッド・ボウイのごとく……。
また本作は、前作のように明確なコンセプトアルバム的作風ではないものの、オープニングの「Great Big White World」からラストの「Coma White」までの流れやストーリーが数珠つなぎのように感じられる構成になっています。ヘヴィな曲はあるにはあるけど、それは決してメタリックではなく、陰鬱さと耽美さを兼ね備えた“重さ”であり、同時にどこか物悲しさも漂わせている。その“哀”の部分が強く提示されているところが、前作との大きな違いでしょうか。
スローテンポ感ながらも不思議とキャッチーさと躍動感が味わえる「The Dope Show」やシャッフルビートが心地よい「Rock Is Dead」(映画『マトリックス』にも使用されたことでおなじみ)、70年代半ばのボウイにも通ずるファンキーな「I Don't Like The Drugs (But The Drugs Like Me)」などのシングル曲に加え、先のオープニング&エンディング曲やアルバムタイトル曲「Mechanical Animals」など強弱を強調したミドルチューン、初期ボウイを彷彿とさせるアコースティックナンバー「The Speed Of Pain」、メタルというよりもインダストリアル色が強いアップチューン「Posthuman」「I Want To Disappear」「New Model, No. 15」、ジャズの香りを漂わせるスローナンバー「Fundamentally Loathsome」、のちに発表されるライブアルバムのタイトルのモチーフ(『THE LAST TOUR ON
EARTH』)にも用いられたニューウェイブ色の強い「The Last Day On Earth」と……とにかく、全曲粒ぞろい。おどろおどろしさで押し通した前作までは異なり、あくまで音楽で押し通そうとするその姿勢に、マリリン・マンソン氏の強い意志が打ち出されているように感じます。
個人的な推し曲はオープニングの「Great Big White World」、タイトルトラック「Mechanical Animals」、そしてアルバムを締めくくる「Coma White」の3曲。特に「Coma White」はマンソン史上ベスト3に入る名曲だと断言したい。MARILYN MANSONというバンドが単なるキワモノやトリックスターではないことを証明した、『ANTICHRIST SUPERSTAR』以上の名作だと確信しております。
« TEAM SLEEP『WOODSTOCK SESSIONS VOL.4』(2015) | トップページ | ORGY『CANDYASS』(1998) »
「Marilyn Manson」カテゴリの記事
- V.A.『SPAWN: THE ALBUM』(1997)(2022.03.19)
- MARILYN MANSON『WE ARE CHAOS』(2020)(2020.09.13)
- MARILYN MANSON『HOLY WOOD (IN THE SHADOW OF THE VALLEY OF DEATH)』(2000)(2020.05.01)
- POWERMAN 5000『TONIGHT THE STARS REVOLT!』(1999)(2019.01.23)
- 「MY BEST OF 1998」(1999.01.15)
「1998年の作品」カテゴリの記事
- ARCH ENEMY『STIGMATA』(1998)(2024.08.13)
- SLY『VULCAN WIND』(1998)(2023.02.01)
- SKID ROW『40 SEASONS: THE BEST OF SKID ROW』(1998)(2022.10.25)
- HARDCORE SUPERSTAR『IT'S ONLY ROCK 'N' ROLL』(1998)(2022.05.05)
- OASIS『THE MASTERPLAN』(1998)(2021.03.29)
