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2017/07/28

AEROSMITH『NIGHT IN THE RUTS』(1979)

1979年晩秋に発表された、AEROSMITH通算6作目のスタジオアルバム。前作『DRAW THE LINE』(1977年)から2年ぶりの新作となりますが、その間には初の2枚組ライブアルバム『LIVE! BOOTLEG』(1978年)のリリースもあったので、意外と久しぶりという感じはないかもしれませんが、この2年というのはこのバンドにとって生死を分ける重大なタイミングでした。

ご存知のとおり、この頃のAEROSMITHはメンバーの多数がドラッグまみれ。これによりメンバーの人間関係も悪化していくわけです。また、ドラッグの悪影響により、レコーディングも思うようには進まない状況に。スティーヴン・タイラー(Vo)が思うように歌えなかったり歌詞が書けなかったりで、レコーディングは長期化。ジョー・ペリー(G, Vo)もスティーヴンとの関係悪化のため、スティーヴンがスタジオにいない間にギターをレコーディングし、自分の仕事が終わればすぐにスタジオを後にするという、バンドとしての機能がほぼ停止した状態の中無理やり制作が続けられました。

また、前作までの黄金期を支えたジャック・ダグラスと決別し、新たにゲイリー・ライオンズをプロデューサーに迎えて制作。心機一転を狙ったのでしょうが、アルバムはこれも思うように機能していないように感じる仕上がりです。

1曲1曲はなかなかの出来だと思うのですが、全9曲中3曲がカバーというのはいただけない。間違いなくスティーヴンが歌詞を書けなかった、あるいはタイラー/ペリーのソングライティングチームが破綻したことが大きく影響していると思われます。

本作から唯一シングルカットされたのが、THE SHANGRI-LASのカバー「Remember (Walking In The Sand)」。原曲まんまですが、これはこれで悪くない。「Reefer Head Woman」は1940年代にTHE BUSTER BENNETT TRIOが発表したブルースソング、「Think About It」はジミー・ペイジ在籍時のTHE YARDBIRDSのカバーとなります。

で、気になるオリジナル曲ですが、前作『DRAW THE LINE』や前々作『ROCKS』(1976年)にあったような“ヒリヒリした緊張感”が若干弱いかなと。タイラー/ペリー名義による「Chiquita」「Three Mile Smile」「Bone To Bone (Coney Island White Fish Boy)」あたりには前作までの片鱗を感じますが、今でもライブで披露される機会が多めの「No Surprize」はこれまでだったらアルバムのオープニングを飾るような1曲ではないよなと。このあたりにも、当時の彼らのちぐはぐさ/混乱ぶりが感じられます。結局、曲順があんまり良くないのかな。

結局本作制作途中でジョーがバンドを脱退。ソングライティングの共作者としておなじみのリッチー・スパや後に正式加入するジミー・クレスポが穴埋めをして完成までたどり着くのでした。ちなみに、先の「Three Mile Smile」でリードギターを手がけたのがジミー・クレスポ。なんだ、ジョーじゃないのかよ、と。

本作は全米14位、100万枚を売り上げますが、スティーヴンのドラッグ癖は治ることなく、『DRAW THE LINE』までギリギリのバランスを保っていたバンドはジョー脱退を機に、崩壊のスピードを速めていくのです。



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投稿: 2017 07 28 12:00 午前 [1979年の作品, Aerosmith] | 固定リンク