SLAYER『REPENTLESS』(2015)
2015年9月にリリースされた、SLAYER通算12作目のスタジオアルバム(パンク/ハードコアのカバー曲中心の『UNDISPUTED ATTITUDE』を除けば、オリジナルアルバムとしては11作目)。2013年のジェフ・ハンネマン(G)の死去、オリジナルドラマーのデイヴ・ロンバード何度目かの脱退を経て、EXODUSのゲイリー・ホルト(G)の加入、そしてポール・ボスタフ(Dr)が再参加する形で制作された、「Nuclear Blast Records」移籍第1弾アルバムとなります。
PANTERAなどで知られるテリー・デイトをプロデューサーに迎えた本作は、過去20年の作品中もっとも“聴きやすい”1枚かもしれません。それは“ヤワになった/ソフトになった”という意味ではなく、ヘヴィさ/ハードコアさはそのままに、歌メロや楽曲の構成が非常に“わかりやすく”整理されているということ。6thアルバム『DIVINE INTERVENTION』(1994年)以降、どこか“考えすぎ”ってほどに演奏/アレンジ面が複雑化し、それにあわせて歌メロもそれと呼べるほど歌メロっぽくなく、ただガナっているイメージが強まっていましたが、本作ではその歌メロもキャッチーさが少し復活している気がします。
とはいえ、そこはSLAYERのこと。誰もが歌えるようなポップなメロディではなく、あくまでヘヴィで激しいバンド演奏に寄り添ったメロディにとどまっているのですが、聴いていてなんとなく口ずさめるという点においてはここ数作とは異なる印象があるのも事実。実質オープニングチューン「Repentless」のようなスラッシュナンバーであっても、なんとなく一緒に歌えてしまうのは、ボーカルがハイテンション一辺倒ではなくある程度計算された流れを持っているからだと思うのです。
そういった意味では、彼らのアルバムでもっともヒットした5thアルバム『SEASONS IN ABYSS』(1990年)に近い印象を受けます。もちろん、単なる焼き直しという意味ではありませんよ。SLAYERのアルバムにはどれ1枚として、同じようなものはありませんから(ファン以外にはその微妙な違いはわからないかもしれないけど)。
メインソングライターのひとりであったジェフがいなくなり(本作には1曲のみジェフ作曲による「Piano Wire」を収録)、ケリー・キング(G)とトム・アラヤ(Vo, B)が作曲を担当していますが、正直そこに不安を感じない仕上がりです。次作からはゲイリーもソングライティングに加わるなんていうケリーのコメントもありましたが、そういった点においても「ここから先」が非常に楽しみになる1枚。このバンドはまだまだこんなもんじゃ終わらない。50代になろうが体力が以前よりも落ちようが、限界ギリギリのところまで突き進むんだろうなと。そう実感させてくれる、頼もしいアルバムです。
ちなみに、本作から制作された3本のMVですが(上記リンク)……ホラーやスプラッターが苦手な人は観ないほうがよいかと。かなり振り切った作品で、SLAYER史上もっとも残虐な連作となっております。上記は発表順に並べていますが、ストーリー的には「You Against You」(暴動の1週間前)→「Repentless」(暴動当日)→「Pride In Prejudice」(暴動から2ヶ月後)となっているので、この流れで観るのもありかと。

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