THE ROLLING STONES『UNDERCOVER』(1983)
ROLLING STONESが1983年末に発表したスタジオアルバム(本国イギリスでは17枚目、アメリカでは19枚目)。全英2位、全米1位を獲得し、アメリカではマルチミリオンを達成した前作『TATTOO YOU』(1981年)からは「Start Me Up」(全英7位、全米2位)、「Waiting On A Friend」(全英50位、全米13位)、「Hang Fire」(全米20位)とシングルヒットも連発させ、同作を携えた大々的なツアーも大成功させました。
そこから約2年後に発表された本作『UNDERCOVER』は、前作『TATTOO YOU』が過去の未発表曲を中心に構成されたことから、久しぶりの“純粋な”オリジナルアルバムとなりました。パンクがニューウェイブが流行した70年代末〜80年代初頭を経て、ストーンズはアメリカで流行り始めていたヒップホップに、ニューウェイブ以降のダブやアフリカンビートを取り混ぜることで、新たなスタイルを確立させようとします。
シングルカットもされたオープニング曲「Undercover Of The Night」(全英11位、全米9位)は、パワフルな電子ドラムをフィーチャーしており、当時のクラブシーンを意識して制作されたのでは?と予想できるナンバー。ビル・ワイマンの印象的なベースライン、そしてキース・リチャーズによるメタリックなギターリフ、すべてがカッコイイとしか言いようのないナンバーです。
他にもレゲエを基盤にしつつも、電子パーカッションを効果的に取り入れた「Feel On Baby」、ダビーなアフロビートとゴージャスなブラスセッションの取り合わせが気持ち良い「Too Much Blood」、ファンキーなサウンド&リズムの「Pretty Beat Up」、従来のストーンズ流R&Rに電子的要素を取り入れた「It Must Be Hell」など、新機軸を感じさせる楽曲多数。特に「Undercover Of The Night」と「Too Much Blood」は12インチシングルとしてダンスミックスも制作されるなど、もともとフロアを意識して制作されたんじゃないかと推測されます。
こういった新機軸はミック・ジャガー主導であろうことは、これまでのストーンズの歴史を振り返れば想像つきますが、となるとキースに「待った!」と言っていたんじゃないかという予想もできるわけで。実際、上記の楽曲以外はこれまでのストーンズの型に沿ったストレートでシンプルなロックンロールなわけで、そのへんに当時のミックとキースのこだわり(ぶつかり合い)が感じられたりもします。
結局本作での試みはこの1作のみで終了(全英3位、全米4位)。というか、同作でのツアーは実現することなく、ミックは初のソロアルバム制作へと向かい、ストーンズとしてはキース主導の次作『DIRTY WORK』(1986年)へと続いていくわけです。
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