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2017/08/22

BLUR『BLUR』(1997)

昨日のOASIS『BE HERE NOW』発売に先駆けること半年、1997年2月に発表されたのがBLURの通算5作目となるオリジナルアルバム『BLUR』。セルフタイトルであると同時に“無題アルバム”でもある本作は、過去4作、特に2ndアルバム『MODERN LIFE IS RUBBISH』(1993年)から3作続いた“ブリットポップ3部作”から打って変わり、USオルタナロック寄りに振り切れたローファイサウンド満載の1枚となっています。

前作までにあったイギリス人らしいひねくれたポップ感、ピアノやストリングス、ブラスなどを大々的に導入したゴージャスなサウンドはここには皆無。1曲目「Beetlebum」はシーケンスされるシンプルかつ風変わりなギターリフの上で、デーモン・アルバーン(Vo)の内向的なボーカル&歌詞が乗る、ある種“グランジ以降”のサイケなオルタナロックに仕上げられています。最初に聴いたときの驚き、異物感はハンパなかったけど、よく聴けば間違いなくBLURの楽曲そのもの。そこから強烈な爆発力を持つ「Song 2」へと続く構成には、過去のBLURのイメージは一切感じられない。デーモンが本作の発売をもって「ブリットポップは死んだ」と宣言したのもうなずける内容かもしれません。

その後もユルくてダウナー、時々ラフでアッパーな楽曲が続いていきます。「Country Sad Ballad Man」や「On Your Own」あたりからはPAVEMENTやベックからの影響がところどころに感じられるし、こういった作風は前作『THE GREAT ESCAPE』(1995年)とは完全に別モノだし、同じバンドの作品とは思えないほど。前作では存在感が希薄だったグレアム・コクソン(G)のギタープレイも前面に押し出され、デーモンのセンスとグレアムの90年代後半ならではのセンスが存分に発揮された奇跡的な1枚と言えるでしょう。

とはいえ、完全にブリティッシュテイストを捨ててしまったかといえば、そうでもなく。「M.O.R.」あたりにはデヴィッド・ボウイやブライアン・イーノといった諸先輩方からの影響も見え隠れするし(実際、影響という意味でか、クレジットには2人の名前も)、「Look Inside America」の節回しは“ブリットポップ期”のBLURそのもの。散々“別モノ”と書いてきたものの、実はしっかりつながっていたんですね。冒頭2曲のインパクトが強すぎるがゆえに、そこを見逃してしまいがちなリスナーも実は多かったりするんじゃないでしょうか。

ここでの変化が、のちにデーモンをGORILLAZまで導いた……というのは言い過ぎかもしれませんが、間違いなくその導火線のひとつとなった、デーモン的にも、BLURというバンド的にも、そして90年代後半の音楽シーン的にも非常に重要な作品の1枚と言えるはずです。



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投稿: 2017 08 22 12:00 午前 [1997年の作品, Blur] | 固定リンク