« SABATON『THE LAST STAND』(2016) | トップページ | ROLLING STONES『DIRTY WORK』(1986) »

2017/08/02

IRON MAIDEN『THE BOOK OF SOULS』(2015)

IRON MAIDENが2015年9月にリリースした、通算16枚目のスタジオアルバム。ブルース・ディッキンソン(Vo)復帰後5作目にあたるだけでなく、現在の6人編成(デイヴ・マーレイ、やニック・ガース、エイドリアン・スミスのトリプルギター編成)になってから5枚目ということにもなるわけで、気づけばこの編成が過去最長という事実にも驚かされます。

前作『THE FINAL FRONTIER』(2010年)から5年ぶりの新作にあたるわけですが、そのブランクを埋めるかのように本作はバンド史上初の2枚組スタジオアルバムとなっております。それだけたくさんの曲が入っているのかと思いきや、そこはこのバンドのこと。全11曲で92分という過去最長のスタジオアルバムをを完成させたわけです。

2006年の14thアルバム『A MATTER OF LIFE AND DEATH』以降、それまで以上に大作主義に移行し始めたメイデンですが、本作では6分台2曲、7分台1曲、8分台1曲、そして10分超3曲(うち1曲は18分超!)と、もはややりすぎ!と突っ込みたくなるほどの内容です。こうなると、シングルカットできる曲も限られてきますし、宣伝的にも困るんじゃないかと思うんですが、そもそも本気でバカ売れさせる気だったら、もうちょっと短い曲を増やすなどコマーシャルな方向に走っても不思議じゃない(それでも「Speed Of Light」みたいに“いかにも”なシングル向け楽曲も用意されてますが)。けど、もはやこのバンドにとってそういう必要がないレベルにまで到達しているわけで(CDが売れなくてもツアーでカバーできるし、そもそも過去のカタログセールスである程度補完できるでしょうし)。

彼らもすでに60歳前後。ニコ・マクブレイン(Dr)に関しては現在65歳だし、最年少のブルースですら現在58歳(8月7日で59歳)なわけでして。ヘヴィメタルアーティストとして彼らに“残された時間”は限られているわけです。場合によっては、今作がラストと言われても別におかしくない状況なわけですよ。だって、本作後にブルースの舌癌が発覚して、リリースが半年近く遅れたわけですからね。昨今の音楽界を考えれば、いつ誰が同じような状況に陥っても不思議じゃない。

そんなですもん、そりゃあやりたい方向性で好き放題やるわけですよね。それが10年くらい前の前々作『A MATTER OF LIFE AND DEATH』から顕著になりだした、と個人的には認識しております。

プログレッシブロック的で何度か聴くにはちょっとキツかった『A MATTER OF LIFE AND DEATH』、新しさも感じられた『THE FINAL FRONTIER』に続く本作ですが、本作はどちらかというと『A MATTER OF LIFE AND DEATH』寄りの作風なのかな。しかも1曲目「If Eternity Should Fail」からいきなり8分半の大作が登場するのですが……これが意外と良い。この曲、ブルースが書いたものなんですよね(他にもブルースはラストの超大作「Empire Of The Clouds」も制作)。てっきりスティーヴ・ハリス(B)かと思ってましたが、違った。つまり、スティーヴ以外のメンバーのクリエイティビティがそれだけ増している時期だった、だったらみんなに好き放題させようと。その結果がこれですよ。

世間的には「長すぎる」「長い曲がダラダラしすぎ」「これが最高傑作とは言い難い」という声をよく耳にします。ほぼ同意です。ただ、ダラダラは言い過ぎでしょ。そこまでダラダラはしてないよ。ただ、最初にアルバムを通して聴いたときは、ちょっと厳しいなとは思いました。だけど、しばらく経ってから聴き返すと、意外と悪くない。さらに何度か聴き込んでいくと、かなり計算されているなと気づかされる。ねえ、これ良いアルバムですよ?

確かに、ここから2〜3曲間引けば全体的に締まりのある作品集になったし、最高傑作に近い内容になったのではないかとも思う。だけど、あえてそれをしないのがIRON MAIDENだって、みんな知ってるんじゃないかな。そんなバンドだから、幾多の困難を乗り越えて40年以上も続いているわけですし。

昨年の来日公演は残念ながら行くことができませんでしたが、ぜひ再び本作を携えたツアーで戻ってきてほしい……いや、本作を携えてなくてもいいので、もう一度日本でその勇姿を見せてください。お願いします。



▼SABATON『THE LAST STAND』
(amazon:国内盤2CD / 国内盤2CDブック仕様 / 海外盤2CD / 海外盤2CDブック仕様 / MP3

投稿: 2017 08 02 12:00 午前 [2015年の作品, Iron Maiden] | 固定リンク