KEITH RICHARDS『TALK IS CHEAP』(1988)
1988年秋にリリースされた、キース・リチャーズ初のソロアルバム。ミックの初ソロアルバム『SHE'S THE BOSS』(1985年)に遅れること3年半、ついにキースまでもがソロアルバムを制作したということで、正直このときには「ああ、ストーンズ復活はもうないかもない」と、当時はまだライトなファンだった自分ですら思ったのですから、さらにコアな古参ファンにとって本作は“最後通告”みたいな作品だったんじゃないかな……なんて、今になって思うわけです。
ちょうどこのアルバムを作ることになる前、キースはチャック・ベリーのドキュメンタリー映画『ヘイル!ヘイル!ロックンロール』制作を手伝っており、これが後押しする形で“自分のソロバンドを作る”という考えに至るわけです。キースはスティーヴ・ジョーダンをパートナーに迎え、THE X-PENSIVE WINOSという自身のバンドを結成。そのまま本作『TALK IS CHEAP』を制作し、アルバム発表後にはソロツアーまで敢行するのでした。
全体の作風としては、“いかにもキースらしい”ロックンロールとソウルへの愛がぎっしり詰まった、オールドスタイルな1枚。そのへんがミックのソロと正反対なのが面白いし、そういう2人が揃うことでストーンズが成立しているんだなということにも気づかされるわけです。
この時点でのROLLING STONESの最新作『DIRTY WORK』(1986年)で聴けるストレートなロックンロール路線を、よりブラッシュアップさせた楽曲群はどれも「それ、ストーンズでやってくれよ!」と言いたくなるようなものばかり。ただ、ここにあるのはミック成分ゼロなので、ストーンズに持ち込んだらまた違った感じになるんでしょうけどね。
とはいえ、1曲目「Big Enough」にはいきなり驚かされるというか。ブーツィー・コリンズがベースで参加したファンキーなこの曲は、ストーンズでは絶対に再現できないものですし(だって、ビル・ワイマンがベースですからね)、その後続くシンプルなロックンロール&ソウルの数々は、キースだからこそ表現できるものばかり。
セールス的にはそれほど大ヒットには至らなかったし(全米24位、全英37位)シングルヒットも生まれなかったけど、あの時点でキースがこれを吐き出さなかったら、翌年のストーンズ再合流はなかったのかも……なんて考えるのは、都合よすぎでしょうか?
キースは現在までにソロアルバムを3枚(本作と1992年の『MAIN OFFENDER』、2015年の『CROSSEYED HEART』)制作していますが、初心者には本作が一番聴きやすいかもしれませんね。
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