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2017/08/27

MANSUN『SIX』(1998)

ポール・ドレイパーのソロアルバムが日本でもようやく9月6日にリリースされるということで(すでに聴きましたが、“あの”ポール・ドレイパーでした。後日改めて紹介します)、このへんで改めて彼が在籍したバンド、MANSUNを振り返ってみたいと思います。デビューアルバム『ATTACK OF THE GREY LANTERN』(1997年)については過去に紹介しているので、今回はそれに続く傑作(にして問題作)『SIX』を取り上げてみたいと思います。

ブリットポップ末期の1997年2月に発表されたMANSUNの1stアルバム『ATTACK OF THE GREY LANTERN』は全英1位を獲得。80年代初頭に流行った“ニューロマンティック”の90年代版として“ROMO”なんてレッテルを貼られた彼らでしたが、それも納得というか頷いてしまうようなサウンドだったんですよね。うん、仕方ない。

ところが、彼らは2枚目のアルバムを発表するまでの1年半で急激に“化ける”のです。まず本作1曲目のアルバムタイトルトラック「Six」のイカれっぷりといったら……約8分におよぶこの大作の中には数曲分のアイデアが詰め込まれていて、曲調も起承転結を無視した無理やりな展開を繰り広げる(シングルやMVでは半分の4分にエディットされて魅力半減ですが)。プログレッシヴロック的なんだけど、そこまでの美意識を感じさせないいびつさが気持ち良いような悪いような。けど、間違いなくクセになる。

そこから2曲目「Negative」を筆頭に、ストレートだけどどこかフックが仕込まれた楽曲、本当にジェットコースターみたいに目まぐるしい展開を繰り返す楽曲、具体的に例えようがなくて不思議としかいいようがない楽曲が続くのです。で、気づいたらラストの「Being A Girl」で締めくくられる(この曲も8分もある相当変態チック)。70分もある超大作ですけど、不思議と長く感じない。ただ、情報量だけは通常の70分もあるアルバムの数倍、いや数十倍ですけどね。

全体的に言えるのは、“Very British”。アメリカじゃ絶対にウケないであろう、英国人ならではのヒネクレ加減が最高潮な1枚です。彼ら自身はもともとそういう傾向にあったわけで、それはこれまでに発表してきたシングルやアルバムからもうっすら感じられたのですが、ここで一気に爆発したという。きっと時代がそうさせたんでしょうね。いや、投げやりに言ってるわけじゃなくて、本当にそう思うんです。

ブリットポップ晩年と言われる1997年にはBLURが無題アルバム(『BLUR』)を発表してブリットポップを殺し、RADIOHEADがその後のシーンの指針となる『OK COMPUTER』をドロップし、OASISはラディズムを強めながらも大作志向へと移行した『BE HERE NOW』で格の違いを見せつけた。そうなったとき、若手は何をすればいいのかといったら己の個性を爆発させるしかない。それすらできないバンドはすぐ消え去っていったわけですから、このMANSUNの変貌は間違ってなかったと言えるんじゃないかな。

がしかし、ここでやりすぎてしまったが故に彼らはその後の作品で方向性を見失い、バンド自体が短命に終わってしまった。それだけが残念というか心残りです。

にしても、リリースから19年経った今聴いても本当に無茶苦茶なアルバムだと思いますよ(もちろん褒め言葉)。初期のMUSEが好きで、まだMANSUNを聴いたことがない人がいたら、ぜひ本作を手始めにチェックしてみてほしいな。で、そこからポールのソロ作にも触れてもらえたら嬉しいです。



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投稿: 2017 08 27 12:00 午前 [1998年の作品, Mansun] | 固定リンク