HELMET『MEANTIME』(1992)
HELMETが1992年初夏に発表した2ndアルバムにして、メジャーデビュー作。本作でこのバンドはブレイクしたと言っても過言ではありませんが、そのブレイクの裏側には2つの大きな要因が隠されていました。
ひとつは、彼らも以前から属していたインディロック村から飛び出した、グランジシーンの本格ブレイク。NIRVANAを筆頭に、ハードなギターとパンキッシュなバンドアレンジを施したサウンドが一世を風靡し、メディアは“第二のNIRVANA”を見つけようと躍起になっていた時期でした。
そしてもうひとつは、グランジが駆逐したメタル村からの新たな動き。前年の1991年、METALLICAがそれまでのスラッシュメタルサウンドを捨ててスローでヘヴィなサウンドを軸にした5thアルバム『METALLICA』を発表し、翌1992年初頭にPANTERAがそこにグルーヴ感を加えた傑作『VULGAR DISPLAY OF POWER』をリリース。この2作以降、メタル村では同作とグランジを下地に新たな道を模索し始めます。
そんな絶妙なタイミングに発表されたのが、このHELMETのアルバム『MEANTIME』でした。本作には上記2つの要素がすべて含まれており、かつ作為か感じられないナチュラルな作風だった。しかも、全体に漂う知的さも功を奏し、ネクストブレイクが期待されるバンドとして各メディアで紹介されるようになりました。
かのスティーヴ・アルビニが録音し、NIRVANA『NEVERMIND』を手がけたアンディ・ウォレスがミックスしたオープニング曲「In The Meantime」、ザクザクしたギターリフとキャッチーな歌メロが気持ちよい「Unsung」を筆頭に、聴き応えのあるナンバーばかり。のちにBATTLESを結成するジョン・ステニアー(Dr)のカンカン鳴るスネアも特徴的で、ギターやベースとシンクロするプレイはその後の片鱗を感じさせます。
また、ペイジ・ハミルトン(Vo, G)による時にがなり、時にメロウに歌うボーカルスタイルもオルタナロックともハードコアとも受け取れるもので、幅広い層から支持される要因に。ギターにしてもソロを強調するよりもリフに次ぐリフの応酬で、ギターサウンドそのものを音の塊として提供する姿勢が感じられます。そこもPANTERA以降のメタル村から受け入れられた要素だったように思います。
結局チャート的には全米68位、50万枚止まりで大きなヒットにはつながりませんでしたが、HELMETの登場は確実にその後のヘヴィ/ラウドシーンに一石を投じたはず。グランジ側にしろメタル側にしろ、当時を振り返る際に忘れてはならない1枚です。

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