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2017年8月28日 (月)

SUEDE『NIGHT THOUGHTS』(2016)

SUEDEが2016年2月に発表した通算7作目、再始動後2作目となるオリジナルアルバム。前作『BLOODSPORTS』(2013年)は非常に“らしい”アルバムでしたが、そこに少々意図的なものも感じられたりして。力作だけど傑作とは言い難い1枚でした。もちろん、復帰作としては十分な内容だったし、特に3rdアルバム『COMING UP』(1996年)以降の彼らが好きという人なら間違いなく気に入ったはずです。

が、初期愛好家(苦笑)としては、やはり1st『SUEDE』(1993年)や2nd『DOG MAN STAR』(1994年)のカラー……あの耽美さがないとどうにも居心地の悪さを感じてしまうのも、また事実。確かに『COMING UP』も、続く『HEAD MUSIC』(1999年)もお気に入りだけど、“なぜ自分がSUEDEというバンドを好きになったか?”という原点に立ち返ると、どうしても初期にあったいかがわしさや耽美さを求めてしまうわけです。

で、この『NIGHT THOUGHTS』というアルバム。まずタイトルがお耽美。だって邦題が「夜の瞑想」ですよ? 悪いわけがない。もうこの時点でハードルクリア(安いな自分)。

しかもイギリスの詩人エドワード・ヤングの詩集『夜想詩』からインスパイアされた本作は、完全なるコンセプトアルバム。1曲目「When You Are Young」からラストの「The Fur & The Feathers」まで、ほぼ曲間なしで展開されていく構成は圧巻の一言です。楽曲自体も『DOG MAN STAR』と『COMING UP』の中間、いや、若干『DOG MAN STAR』側に寄った、作り手やリスナーの心のダークサイドをえぐるような力強さ、優しさ、儚さ、悲しさが凝縮されている。耽美な曲やひたすら耽美に、パワフルなロックチューンはひたすらパワフルに。いろんな意味で振り切れた、まさに「これぞSUEDE!」と宣言したくなる1枚なのです。

正直、再結成を遂げたバンドが全盛期を超える、あるいはそこに匹敵するような作品を作ることは、今や誰も望んでいないというか、なかば諦めているんじゃないかと思うんです。「いいよいいよ、君たちはそこにいてくれるだけで。ちゃんとライブさえやってくれたらいいんだよ」と、どこか新作発表から逃げているところはあるはずなんです。でも、SUEDEは「どうせ復活したんだから」と、好き放題やった。しかも、その好き放題が我々が望むベクトルと見事に一致した。こんなに素晴らしい結果はないんじゃないでしょうか。

ブレット・アンダーソン(Vo)の歌声もマッチョ化した後期のそれとは異なり、曲によっては初期の艶やかな声を聞かせてくれるし、リチャード・オークス(G)のプレイもどこか前任バーナード・バトラーのそれと重なる瞬間がある。これまでは完全に別モノとして捉えていたけど、ここまでシンクロするなんて、ただただ驚きです。

これからSUEDEを聴いてみようという人にもまっ先にオススメできる1枚。ぜひ初期3作と一緒にこの最新作も聴いてほしいと思います。



▼SUEDE『NIGHT THOUGHTS』
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投稿: 2017 08 28 12:00 午前 [2016年の作品, Suede] | 固定リンク