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2017/08/18

THE VERVE『URBAN HYMNS』(1997)

THE VERVEが1997年9月に発表した、通算3作目のオリジナルアルバム。1995年に一度解散しながらも、1997年に4人編成→5人編成で再結成。先行シングル「Bittersweet Symphony」の大ヒット(全英2位)に続いて、アルバム自体も初の全英1位獲得。続く2ndシングル「The Drugs Don't Work」は初のシングル全英1位に輝き、アルバム12週連続1位に。イギリス本国だけでも300万枚以上、全世界でトータル1000万枚以上を売り上げる最大のヒット作になりました。

サイケデリックな色合いが強かった1stアルバム『A STORM IN HEAVEN』(1993年)、当時主流だったブリットポップの流れにありながらも初期のサイケさとのちに通ずるディープさを提示し始めた2nd『A NORTHERN SOUL』(1995年)に続く今作では、「The Rolling People」「Catching The Butterfly」のようにサイケ路線の楽曲を残しつつも、OASIS以降の流れを感じさせる歌モノバラード「Sonnet」「The Drugs Don't Work」、そして壮大なストリングス(ROLLING STONES「The Last Time」のアンドリュー・オールダムによるオケストラカバーからのサンプリング)とシンプルな打ち込みリズムからなる「Bittersweet Symphony」など、とにかく“聴かせる”“歌わせる”要素が極限まで高まった、時代に求められた1枚に仕上がっています。

「人生とは“ほろ苦い”交響曲なんだ」と冒頭で掲げ、決まりきった枠になんかはまるなと歌う「Bittersweet Symphony」は発表から20年経った今もまったく色褪せてないし、むしろ2017年という今聴いたほうが歌詞の意味に重みを感じるのではないでしょうか。リチャード・アシュクロフト(Vo)がいろんな障害にぶつかりながらもまっすぐ歩き続けるMVは、まさにそのまんまの内容ですね。

「Bittersweet Symphony」のみならず、自身のドラッグ体験だけでなく実父が薬を使って延命したものの結局治ることなく死んでしまった経験などを綴った(と、当時のインタビューなどを読んで解釈しています)「The Drugs Don't Work」、リチャードが生きる上での信条が伺える「Lucky Man」など、曲の美しさ以上に歌詞にもこのバンドの哲学が至るところから感じられ、そこも彼らが単なる“流行りのブリットポップ”とは一線を画するバンドだったことが理解できるのではないでしょうか。

彼らは1999年に二度目の解散をし、2000年代後半にオリジナルメンバー4人で再々結成。2008年夏に4thアルバム『FORTH』を発表し、それと前後するように『SUMMER SONIC』で、最初で最後の来日公演が実現しました。そして2009年には3度目の解散。現在はリチャードがソロアーティストとして活動しており、昨年も久しぶりに来日公演を行ったばかりです。

何度聴いても、「Bittersweet Symphony」「Sonnet」の冒頭2曲で泣きそうになってしまうのは、20年前このアルバムを聴いていたタイミングに経験した負の出来事を思い出してしまうからでしょうか。音楽にはそういう力があるといいますが、と同時に音楽にはそういった悲しみを癒してくれる力もあるはず。最初こそ涙腺が緩むものの、アルバムを聴き終えた頃にはすっきりした気持ちになっている。“都会の賛美歌”を意味する『URBAN HYMNS』は自分にとってそういう1枚です。

なお、今年9月には本作のリリース20周年を記念したスペシャルエディションが発売に。アルバム本編がリマスタリングされるほか、当時の貴重なライブ音源をまとめたボーナスディスク付き2枚組仕様や、シングルB面曲など貴重な音源とMVやレア映像をまとめたボックスセットなどもリリースされるようです。これから購入を考えているという人は、そちらをチェックしてみてはいかがでしょう。



▼THE VERVE『URBAN HYMNS』
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投稿: 2017 08 18 12:00 午前 [1997年の作品, Verve, The] | 固定リンク