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2017/08/10

UFO『WALK ON WATER』(1995)

70年代から活躍する(途中二度の解散はありましたが)イギリスのハードロックバンド、UFOが1995年に発表した通算14枚目のスタジオアルバム。1978年に脱退したマイケル・シェンカー(G)が復帰し、フィル・モグ(Vo)、ピート・ウェイ(B)、アンディ・パーカー(Dr)、ポール・レイモンド(G, Key)、そしてマイケルという黄金期のメンバーが再集結して制作された1枚です。

プロデューサーは『LIGHTS OUT』(1977年)、『OBSESSION』(1978年)、ライブアルバム『STRANGERS IN THE NIGHT』(1979年)を手がけたロン・ネヴィソン。気心知れた布陣での制作、しかも1994年に実施したジャパンツアーの手応えなどもあり、比較的ポジティブな雰囲気の中制作されたことは、本作を聴けばご理解いただけるかと思います。

本作発表時点でフィルは47歳、ピートが43歳、マイケルも40歳と肉体的に全盛期を過ぎたと言われてもおかしくない年齢。もはや派手で前のめりなハードロックは期待できない……前年の来日公演を観ている自分ですら、そう感じていたのですから、古くからのファンなら本作にことをもっと期待してなかったんじゃないかと思います。

しかし、実際に完成したアルバムは……確かに若さは感じられないし、落ち着きまくった作風の1枚です。が、がっちりとタイトなリズムの上にフィルの味わい深い独特のボーカルと、ついこないだまでアコースティック路線を突き進んでいたとは思えないほどに攻めまくりなマイケルのギターワークがしっかりフィーチャーされている。古き良き時代の、地味だけどジワジワと客居さが伝わってくる王道ブリティッシュハードロックが全編にわたり展開されているのです。

もちろん、当時のマイケルらしくアコギを取り入れた楽曲もいくつか見受けられますが、それがメインになることはなく、あくまで楽曲の味付け程度で収まっている。これを「大人になったUFO」と捉えるか「枯れて日和ったUFO」と捉えるかで、本作の評価は大きく分かれるかもしれません。

1995年という時代のせいか、どこかヘヴィでグランジ寄りなオープニング曲「A Self Made Man」にはギョッとさせられるものの、続く哀愁のミディアムチューン「Venus」やアップテンポの「Pushed To The Limit」、ファンキーさと泣きメロが融合された「Running On Empty」など聴きどころ多数。

オリジナル新曲8曲のあとに、アルバム本編を締めくくるのが往年の名曲「Doctor, Doctor」の再録バージョンというのもまた泣かせるし、日本盤はさらに「Lights Out」再録バージョンも収録。この手の再録はほとんどがヌルくなるケースが多いですが、ここで聴ける2曲はあの頃のカッコよさはそのままに、渋みが加わった説得力の強いテイクに仕上がっています。新曲群と並んでも違和感なく楽しめるので、これはこれでアリだと思います。

残念ながら本作、現在は国内盤も海外盤(日本盤とはジャケ違い)も廃盤状態。すでにマイケルも脱退し、ピートも引退状態ですが、現在のUFOを語る上ではとても重要な1枚だと思っているので、ぜひとも再発していただきたいものです。



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投稿: 2017 08 10 12:00 午前 [1995年の作品, Michael Schenker, UFO] | 固定リンク