CORROSION OF CONFORMITY『DELIVERANCE』(1994)
ノースキャロライナ出身のハードコア/メタルバンドCORROSION OF CONFORMITY(以下、C.O.C)が1994年秋に発表した、通算4作目(メジャー移籍1作目)のスタジオアルバム。マイク・ディーン(Vo, B)脱退後に加入した専任ボーカルのカール・エイゲルが唯一参加、そしてペッパー・キーナン(Vo, G)が初参加した前作『BLIND』(1991年)から3年ぶりの新作で、本作でマイク・ディーンが復帰。ペッパーが大半の楽曲でリードボーカルを担当しています(マイクも1曲のみボーカル担当)。
全14曲中でペッパーが単独で4曲、他メンバーとの共作で8曲とソングライティング面で大活躍。これによるものが大きいのか、前作までのハードコアとスラッジを融合させたようなサウンドが、今作ではよりレイドバック気味な方向に転換しています(とはいえ、前作の時点で今作への予兆は感じられたのですが、まさかここまで大きな舵取りをするとは当時誰も想像してなかったのではないでしょうか)。
どこかBLACK SABBATHを彷彿とさせるヘヴィロックサウンドは、良く言えば先のようにレイドバックした本格派に、悪く言えばオッサン臭くなった。ただ、この方向転換が功を奏し、バンドのキャリア上もっとも成功したアルバムとなりました。同じサバスからの影響という意味では、イギリスのCATHEDRALとの共通点もないことはないですが、そこまでの(良い意味での)“コピー感”は皆無。それよりもアメリカのバンドらしい“埃っぽさ”が全面に散りばめられているところに、このバンドの個性が感じられるのではないでしょうか。
そういう意味ではサバスほどの邪悪さや陶酔感は皆無で、カラッとしたサウンドがただひたすら気持ち良い。ストーナーロック的側面で語れば、ジョシュ・ホーミがかつて在籍したKYUSS、そしてのちに結成するQUEENS OF THE STONE AGEにも通ずるものがありますが、ペッパーの歌声のせいもあって、ブラックアルバム以降のMETALLICAとの共通点も感じられます。
そういえばC.O.Cの次作『WISEBLOOD』(1997年)にジェイムズ・ヘットフィールドがゲスト参加したり、逆にペッパーがMETALLICAの作品にゲスト参加したり、しまいにはジェイソン・ニューステッド脱退後のオーディションにベーシストとして招いたりと、METALLICAの面々にはよほど気に入られていたようですね(C.O.Cから影響を受けて、『LOAD』や『RELOAD』がああいう作風になった、なんて話もあるくらいですし)。
ハードコアとメタルのクロスオーバーサウンドが楽しめるという点においては、前作『BLIND』のほうが評価が高いのかもしれませんが、現在まで続くこのバンドのスタイルを確立させたという意味では、本作『DELIVERANCE』は非常に重要な1枚と言えるでしょう。個人的にも本作と次作『WISEBLOOD』はかなり気に入っている作品です。

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