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2017/09/24

DREAM THEATER『IMAGES AND WORDS』(1992)

1992年初夏にリリースされた、DREAM THEATER通算2作目のフルアルバム。デビュー作『WHEN DREAM AND DAY UNITE』(1989年)はここ日本でも一部マニアの間で話題となりましたが、ボーカル脱退などもありその後しばらくは話題になることはありませんでした。

が、“正統派メタル冬の時代”に突入した1992年、突然変異と言われてもおかしくない形で復活。ジェイムズ・ラブリエ(Vo)という“ちゃんと歌える”メタルシンガーを迎えたことで、QUEENSRYCHEの成功以降いくつも誕生した“プログレッシヴメタル”中でも頭ひとつ抜けた存在へと成長します。

ギターやベース、キーボードのテクニカルなユニゾンプレイ、長尺で起承転結のしっかりした楽曲(全8曲で57分。最長はラストの「Learning To Live」の11分半)、ボーカルパートよりもインストパートのほうがはるかに長いなど、プログレ特有のカラーは確かに強いものの、今聴くとこのアルバムってヘヴィメタル以外の何ものでもないんですよね。

時代背景を考えると、グランジ全盛でメタルといえばMETALLICAブラックアルバムPANTERAHELMETをはじめとするヘヴィでグルーヴィーなバンドがトレンドの時期。いわゆる様式美を軸にした正統派ヘヴィメタルや華やかに着飾ったファッションメタル、テクニック至上主義のバンドは“時代遅れ”だったわけです。実際この時期を境に、それまでメインストリームにいたHR/HMバンドはどんどんグランジやグルーヴメタル系からの影響をあからさまに見せた作品を出して、次々と失敗していく。なのに、DREAM THEATERはこんなにも“ど真ん中”なアルバムを、メジャーレーベルから堂々とリリースしたのですから、驚くのを通り越して「何考えてるんだよ!?」と言いたくなってしまうわけですよ。

思えば制作自体はグランジだグルーヴメタルだと騒がれる前には始まっているわけで、良い意味でそういったトレンドに影響を受けていない。ただ自分たちの信じた道をまっすぐ進んだら、世の中的に“突然変異”と受け取られるような作品を完成させた。これが真実なんでしょうね。

また、彼らがここまでど直球にヘヴィメタルと向き合ったのも、きっと本作が最初で最後なんじゃないでしょうか。もちろん本作以降のアルバムもすべてヘヴィメタルアルバムには違いないのですが、続く『AWAKE』(1994年)以降の作品では、DREAM THEATER自身もトレンドから影響を受け、低音を効かせたヘヴィロック路線へと移行しているんですから。そういう意味でも本作は奇跡であり、やっぱり異色なんですよね。

楽曲単位では本当にどれも素晴らしいので、ここで何か解説するよりもまずは聴いてもらうのが一番かなと。ちなみに、先日の来日公演で本作の完全再現ライブが披露されましたが、そこで改めて感じたのは、自分はアルバムB面(「Metropolis Part I: The Miracle And The Sleeper」「Under A Glass Moon」「Wait For Sleep」「Learning To Live」)が本当に好きだということ。これらの名曲を現在のテクニックで再現されるなんて、最高以外の何ものでもないですよね。



▼DREAM THEATER『IMAGES AND WORDS』
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投稿: 2017 09 24 12:00 午前 [1992年の作品, Dream Theater] | 固定リンク