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2017/09/30

2017年9月のお仕事

2017年9月に公開されたお仕事の、ほんの一例です。随時更新していきます。
(※9月30日更新)


[紙] 9月30日発売「BUBKA」2017年11月号にて、欅坂46今泉佑唯インタビューを担当・執筆しました。(Amazon

[WEB] 9月29日、「リアルサウンド」にてThe Idol Formerly Known As LADYBABYインタビュー「The Idol Formerly Known As LADYBABYが語る、成長の軌跡「今歌えるものを歌っておきたい」」が公開されました。

[WEB] 9月29日、「リアルサウンド」にてLittle Glee Monsterインタビュー「Little Glee Monsterが明かす、初の作詞曲で挑んだ“新境地”「シンプルこそ難しいと改めて思う」」が公開されました。

[WEB] 9月26日、「リアルサウンド」にD'ERLANGERのトリビュートアルバム評「D'ERLANGERがシーンに与えた影響は? トリビュート盤に見る“ジャンルで括れない”個性」が公開されました。

[紙] 9月22日公開の映画「ヘドバン Vol.15」にて、劇場で販売されるパンフレットの制作に携わりました。メンバーや出演者、監督へのインタビューのほか、撮影密着レポートなどを執筆しております。

[紙] 9月下旬発行、ダイナースクラブカード会報誌「SIGNATURE」10月号にて、井上陽水のライブについて執筆しました。5月11日の昭和女子大学人見記念講堂でのライブについても触れています。

[紙] 9月21日発売「ヘドバン Vol.15」にてコラム「FOO FIGHTERSはハード・ロックである」、FOO FIGHTERS新作クロスレビュー、FOO FIGHTERS旧譜レビュー、巻末カセット企画を執筆しました。(Amazon

[WEB] 9月20日、「リアルサウンド」にてNoGoDインタビュー「NoGoDが語る、10年の歩みとバンドの真価「人前に立つ以上メッセージを届けないといけない」」が公開されました。

[WEB] 9月20日、「リアルサウンド」にDREAM THEATERのライブ評「Dream Theater『Images And Words』は奇跡の1枚だった 現在と原点を見せた日本武道館公演」が公開されました。

[紙] 9月20日発売「TV Bros.」2017年9月23日号にて、スカート『20/20』、JAKE BUGG『HEARTS THAT STRAIN』アルバムレビューを執筆しました。

[WEB] 9月16日、「リアルサウンド」にaikoのライブ評「aikoのライブは常にスペシャルだーー攻めの姿勢と愛に溢れたツアー『Love Like Rock vol.8』」が公開されました。

[紙] 9月12日発売「ぴあMovie Special 2017 Autumn」にて、乃木坂46桜井玲香・西野七瀬・松村沙友理、富田望生インタビューを担当・執筆。(Amazon

[WEB] 9月9日、「リアルサウンド」にてシド インタビュー「シドが“3年半ぶりのアルバム”でも新鮮さを失わない理由 「不安を感じることも刺激になる」」が公開されました。

[紙] 9月6日発売「TV Bros.」2017年9月9日号にて、INORAN『INTENSE / MELLOW』アルバムレビューを執筆しました。

[WEB] 9月4日、ポニーキャニオン公式ニュースにてSuGライブレポート「SuG、活動休止。初の日本武道館公演で「10年間ありがとうございました!」」が公開されました。

[紙] 9月4日発売「日経エンタテインメント!」2017年10月号にて、「最新ヒットキーワード100」特集・蔦谷好位置インタビュー、乃木坂46伊藤万理華・桜井玲香・白石麻衣・松村沙友理インタビュー、北野日奈子・渡辺みり愛インタビュー、「アンダーライブの歴史」研究記事、および特別付録「乃木坂46 3期生パーフェクトガイド」内の乃木坂46大園桃子・向井葉月・山下美月・与田祐希インタビューを担当・執筆しました。(Amazon

投稿: 2017 09 30 12:00 午後 [「仕事紹介」] | 固定リンク

MARILYN MANSON『THE PALE EMPEROR』(2015)

2015年1月に発表された、MARILYN MANSON通算9作目のスタジオフルアルバム。今作から新たなパートナーとして、映画音楽(特にアクションやホラー)を中心に手がけてきたアーティスト、タイラー・ベイツを迎えて制作。全作曲とドラム以外の大半の楽器を彼が手がけ、ドラマーはTHE DILLINGER ESCAPE PLANなどで活躍したギル・シャロンが担当しています。つまり、“永遠の相棒”ことトゥイギー・ラミレズ(B)が本作には不参加なのです(彼は本作制作時、別の活動で忙しかったんだとか)。

正直、最初に聴いたときの感想は「非常に地味」。これはマンソン自身が作曲にノータッチというのも大きいのでしょうが、楽曲自体が過去のマンソンの作品と比べて非常にブルーステイストが強いというのも大きいのかもしれません。

そのシンプルさが、例えば90年代のもっとも派手だった時期の作品と比べて違和感を生み出しているのは確か。では、本作が駄作なのかと言われると、それもちょっと違う。落ち着いた印象だけど、これも間違いなくMARILYN MANSONの作品なんですよね。

マンソンはかつて『EAT ME, DRINK ME』(2007年)というアルバムを発表していますが、同作はそれまでの彼の作品の中でももっとも“ソロアルバム”的趣向が強かったもの。ジョン・5という片腕的スーパーギタリストが抜けたあとの作品というのもあって、やはり地味というイメージが強い1枚でした。

で、今作『THE PALE EMPEROR』はその『EAT ME, DRINK ME』を聴いたときの印象に、非常に似ているのです。もちろんあの頃と状況はまったく別ですし、やろうとしていることも異なるはず。なのに、こんなにもイメージが近いのは、きっとマンソン自身が現在進もうと考えている方向が、『EAT ME, DRINK ME』のときと似ているのかも……なんて思ったりして。考えすぎでしょうかね。

マンソンが初組み合わせのソングライター、しかも映画音楽を手がける作曲家が書いた楽曲を歌うという企画。それ自体は非常に面白い試みです。もし本作が、何か架空の映画やショートムービーのサウンドトラック、あるいはイメージソング集として制作されていたら、また評価は変わったかもしれません。けど、そんな妄想を抜きにしても本作は“意外とクセになる”良盤だと思います。

デラックス盤にはボーナストラックが3曲追加されており、それぞれアルバム本編に収録された「Third Day Of A Seven Day Binge」「The Mephistopheles Of Los Angeles」「Odds of Even」のアコースティックバージョンになります。こっちを聴くと、実はマンソンはこれがやりたくて本作を作ったんじゃ……なんてことを邪推したくなりました。それくらい、オマケにしておくには勿体ない仕上がりかなと。

それと、本作のオープニングトラック「Killing Strangers」は昨年秋にNHK BSプレミアで放送されたドラマ『獄門島』のテーマソングとして使用されました。僕もこの番組は観ましたが、リメイクされた『獄門島』の世界観にぴったりだったと思います。歌詞のテーマ的にも、あの物語に合うものがあるんですよね。



▼MARILYN MANSON『THE PALE EMPEROR』
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投稿: 2017 09 30 12:00 午前 [2015年の作品, Marilyn Manson] | 固定リンク

2017/09/29

NEUROTIC OUTSIDERS『NEUROTIC OUTSIDERS』(1996)

SEX PISTOLSのスティーヴ・ジョーンズ、DURAN DURANのジョン・テイラー、GUNS N' ROSESのダフ・マッケイガン&マット・ソーラム(当時)が90年代半ばに結成したスーパーグループ、NEUROTIC OUTSIDERSが1996年に発表した唯一のアルバム。もともとはチャリティイベントのために結成したお遊びバンドで、気づけばアルバムを作ってツアーをするまでになっていたという。

このバンドではスティーヴとジョン、ダフの3人がボーカルを担当。ジョンとダフはもともとベーシストですが、ジョンはギターにスイッチしています。アルバムのプロデューサーは元TALKING HEADSのジェリー・ハリスン。大半の楽曲をスティーヴが担当し、ジョンのソロ名義が2曲、スティーヴとジョンの共作が1曲、ダフとスティーヴの共作が1曲、そしてTHE CLASH「Janie Jones」のカバーという全12曲が収められています。

DURAN DURANの中でもアンディ・テイラーに次いでロック/パンクのイメージが強いジョン、そのアンディと1987年に『THUNDER』というアルバムで共演したスティーヴ、1993年にガンズで『THE SPAGHETTI INCIDENT?』というパンクカバーアルバムを発表した直後のダフ&マット。音楽的につながってないようで、実はいろいろつながっている4人なんですよね。

アルバム自体は、この4人から想像できる、適度にハードでパンキッシュ、それでいて歌メロはしっかりポップなロックが展開されています。ピストルズでのスティーヴ、そしてパンクカバーを通過したガンズが好きって人は否応無しに楽しめる1枚だと思います。ただ、パンクやハードロックを通過してないDURAN DURANのファンには多少キツいかな? THE POWER STATIONでの彼とも全然違いますしね。

思えばDURAN DURANって「SEX PISTOLSとCHICのミックス」をイメージして結成されたバンドなわけで、後者はDURAN DURAN本家やTHE POWER STATIONで強めに表現していたので、前者をこちらのバンドで表現した……ってことなんでしょうね。にしては、それぞれのオリジネイターと共演することでそれを具現化するっていう、安直さはアレなんですが。

ガンズもDURAN DURANも大好きだった自分からしたら、確かに夢の組み合わせなんですよね。なのに、リリース当時はまったく惹かれなくて……ぶっちゃけ、このレビュー書くために10数年ぶりにこのアルバム、引っ張り出したくらいですから。

時代的に、この頃はGREEN DAYあたりがブレイクしたタイミングだったと思いますが、そういったポップパンク勢よりもハードロック色が強いのは、間違いなくスティーヴのカラーとマットのドラムによるものが大きいわけで。そこでの差別化はしっかりできていますが、だからなのかチャート的にもセールス的にもそこまで成功を収めることはありませんでした。まあもともと遊びで始まったバンドなので、それでいいのかもしれないけど。じゃなきゃ、このメンツで「Janie Jones」なんてやりませんて(これがなかなか良いんです)。

“これ!”といった突出した1曲はないものの、アルバム通して気楽に聴ける1枚。傑作ではないけど、忘れた頃に再生してみると「あ、意外と良いじゃん」と素直に思える作品集なんじゃないでしょうか。事実、久しぶりに聴いてみたらリリース当時よりも楽しめたので。



▼NEUROTIC OUTSIDERS『NEUROTIC OUTSIDERS』
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投稿: 2017 09 29 12:00 午前 [1996年の作品, Duran Duran, Guns N' Roses, Neurotic Outsiders, Sex Pistols] | 固定リンク

2017/09/28

ANDY TAYLOR『THUNDER』(1987)

DURAN DURANのギタリスト、アンディ・テイラーがバンド脱退後の1987年春に発表した初のソロアルバム。アンディは本作の前に2枚のソロシングル(「Take It Easy」「When The Rain Comes Down」。ともに1986年リリース)を、映画やテレビドラマのサウンドトラック絡みで発表していますが、アルバムには未収録。時期的にバンドを脱退後の発表だったのかな。ちょっと記憶が曖昧ですが。

アルバムはSEX PISTOLSのギタリスト、スティーヴ・ジョーンズをプロデューサー&ギタリストに迎えて制作。と聞くとパンキッシュな作風になるのかなと勝手に想像してしまいますが、THE POWER STATIONでのアンディのプレイから想像できるような、非常にハードロック寄りのアルバムに仕上げられています。

先の2枚のソロシングルが、どちらかというと陽気なアメリカンロックというイメージだったし、THE POWER STATIONもブラックミュージックの影響下にあるアメリカンロックという印象だったから、絶対にその路線だと思いますよね? でもアルバムのオープニング曲「I Might Lie」は、マイナーコードの疾走ハードロック。泣きメロといいギタープレイといい、ちょっと成長したアンディのボーカルといい、すべてが気持ち良く響く1曲です。そこから過去シングルの路線をよりワイルドにした「Don't Let Me Die Young」へと流れていく構成も、さすがの一言。さらにミディアムバラード「Life Goes On」へと続くのですから、この頭3曲で完全に心をわし摑みにされてしまうわけです。

全9曲中8曲がアンディ&スティーヴの共作。思えばスティーヴも“こっち”寄りの人だったよな、ってことはピストルズの1stアルバムやのちの復活ライブで十分納得できるのですが、本作リリース当時高校生だった自分はそんなこともわからぬまま、「これはこれでカッコいいよ!」とアホみたいにリピートしていたのでした。

で、あれから30年経った今聴いてもカッコいいんですよね。サウンドプロダクション的に時代を感じる部分は多々あるものの、楽曲的にはどれも悪くない。アンディやスティーヴのギタープレイ、その2人を支えるミッキー・カーリー(Dr)&パトリック・オハーン(B)という、わかる人にはわかるリズム隊の仕事ぶりもさすがの一言だし。のちにデヴィッド・リー・ロスのバンドに加わるブレット・タグル(Key)も参加してるしね。

どれか1曲選べといわれたら、やっぱり冒頭の「I Might Lie」なんだけど、イントロのギターリフにピストルズを重ねてしまう豪快なアメリカンロック「Thunder」も悪くない。あと「Life Goes On」「Bringin' Me Down」といった泣バラードや「Night Trai」みたいなきメロナンバーも良いんですよね。全体的に(なんとなくですけど)マイケル・モンロー『NOT FAKIN' IT』(1989年)と重なる部分も多いので、あのへんの作風が好きな人にはオススメです。

P.S.
アナログやCDで当時発表されたオリジナル版と、現在iTunesやSpotifyで配信されているバージョンは、収録曲は一緒ですが曲順が異なるのでご注意を。現行の配信版の曲順もこれはこれで好きですが。



▼ANDY TAYLOR『THUNDER』
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投稿: 2017 09 28 12:00 午前 [1987年の作品, Andy Taylor, Duran Duran, Power Station, The, Sex Pistols] | 固定リンク

2017/09/27

DURAN DURAN『ARENA』(1984)

1984年末にリリースされた、DURAN DURAN初のライブアルバム。『DURAN DURAN』(1981年)、『RIO』(1982年)、『SEVEN AND THE RAGGED TIGER』(1983年)という初期3作(どれも英米で大ヒット)を総括するような、当時のベスト選曲的な内容になっており、初心者が取っ付きやすい1枚といえます。

MTVからブレイク、ルックスと曲の良さで人気みたいなところがあった彼ら。実際の演奏はどうなの?という声が当時多かったように記憶していますが、ここで聴ける彼らの演奏およびライブスタイルは完全にロックバンドそのもの。原曲をよりワイルドかつダイナミックにしたアレンジ、演奏は正直スタジオアルバムよりもカッコ良いんじゃないかと思うほどで、リリース時中学生だった自分はしばらくこのアルバムばかり聴いていた記憶があります。

あ……で、「あ、バンドやりたい。DURAN DURANのコピーバンドやりたい」って思ったんだった。そんなこと、すっかり忘れてたわ(苦笑)。

スタジオ作品での作り込まれたイメージが強い彼らかもしれませんが、ライブでバンドを引っ張っているのは、当然ながらニック・ローズのシンセであり、忘れてはならないアンディ・テイラーのギター。もちろんサイモン・ル・ボンの、ライブならではの荒々しい歌声も悪くないし、意外としっかり弾いてる(弾けてる)ジョン・テイラーのベース、地味だけど安定したプレイでバンドを支えるロジャー・テイラーのドラミング、そのすべてが必要不可欠ですが、“ライブバンド・DURAN DURAN”に関して言えばニックとアンディなのかなと。

ぶっちゃけ、「Hungry Like The Wolf」や「New Religion」「Careless Memories」あたりのロックナンバーはライブテイクのほうが抜群にカッコ良いし、「Save A Prayer」「The Seventh Stranger」「The Chauffeur」みたいなスローナンバーも生々しさが加わることでより輝きを増している。ぶっちゃけ、ハズレなしです。確かに「Rio」や「Girls On Film」「The Reflex」みたいな代表曲が未収録なのは惜しいところですが(リマスター再発版には前者2曲を追加収録)。いつかこの“一番脂が乗った”時期のフルライブ映像&音源も(もちろん画質&音質が最良な状態で)がっつり楽しみたいところです。

そうだ。忘れてはならないのが「The Wild Boys」の存在。本作には全10曲(再発後のボートラ除く)中1曲だけ、スタジオ音源が含まれています。それが、当時の最新シングル「The Wild Boys」。「The Reflex」のリミックスシングルが大ヒット(初の全米No.1)したことを受け、この「The Wild Boys」もCHICのナイル・ロジャースがプロデュースしているのですが、こちらはダンストラックというよりはハードロックテイストに仕上げられています。ロック色の強いライブアルバムの中にこの曲が入っても違和感がないのは、そういうわけですね。MVに時代を感じてしまいますが(笑)、うん、嫌いじゃない。

本作リリース後、DURAN DURANはバンドとしての活動を一時中断し、ジョン&アンディはTHE POWER STATIONを、サイモン、ニック、ロジャーはARCADIAをそれぞれ結成。合間(1985年)には『LIVE AID』出演や映画『007 美しき獲物たち』の主題歌「A View To A Kill」(全米1位、全英2位)リリースなどもありましたが、アンディがソロシングル発表などを経てバンドを脱退。続いてロジャーも抜けて、サイモン、ジョン、ニックの3人体制で1986年末にアルバム『NOTORIOUS』で本格再始動するのでした。そういう意味では、5人体制での最後の本格的なアルバムはしばらくこれが最後となるのでした(まさか2000年代に再集結するなんて、当時は思ってもみなかったけど)。



▼DURAN DURAN『ARENA』
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投稿: 2017 09 27 12:00 午前 [1984年の作品, Duran Duran] | 固定リンク

2017/09/26

KXM『SCATTERBRAIN』(2017)

DOKKEN、現LYNCH MOBのジョージ・リンチ(G)、KING'S Xのダグ・ピニック(Vo, B)、KORNのレイ・ルジアー(Dr)が2013年に結成したトリオバンドKXM(「K」はKORN、「X」はKING'S X、「M」はLYNCH MOBからそれぞれ取ってるんだとか)の2ndアルバム。2014年にセルフタイトルの1stアルバムをリリースしており、僕も発売当時購入して聴いている……はずなのですが、実はどんな曲があったかまったく思い出せず。改めて引っ張り出して聴いてみたら、確か当時も「KING'S Xのファンはまあまあ気に入るかもしれないけど、ジョージ・リンチ=DOKKENな人には受け付けないだろうな」なんて感じたことを思い出しました。

悪くないんだけど、どこか退屈。突き抜けるようなサウンド/スタイルでもないので、それは仕方ないにしても、せめて“これ!”という1曲があればなと思ったのでした。

で、あれから3年経った忘れた頃に2枚目です。懲りずに続けるんですね。

期待せずにこの新作も聴いてみたのですが……1曲目「Scatterbrain」が……あれ……意外と良くないか、これ。確かに作風は前作の延長線上にあるんだけど、たぶんこの3人に求められていることがガッチリとハマってる。スリリングなプレイと浮遊感の強い歌メロ、うん、気持ち良い。決して強力な“これ!”ではないかもしれないけど、限りなく“これ!”に近い1曲だと思います。ジョージのギターも非常にモダンで、どこかジェフ・ベックっぽいし。まあ結局のところ、ジョージ・リンチ=DOKKENな人には今回もダメなんでしょうね。

そんなことを考えながらアルバムを聴き進めていくと……あれ、退屈……? 2曲目「Breakout」、3曲目「Big Sky County」と同じテンポで、抑揚があまりない楽曲が続くから余計にそう感じてしまうんですよね(「Breakout」はそこまで悪くないんだけど、「Big Sky County」がちょっとだけ退屈だからそう感じてしまうのか)。ただ、4曲目「Calypso」みたいにパーカッシヴなリズムで遊んでいたり、5曲目「Not A Single Word」みたいにアップテンポなパートを含む楽曲があると、変化が感じられて素直に楽しめるんですけど。BLACK SABBATHみたいな「Obsession」、サイケデリックな「Noises In The Sky」あたりでまたミディアムテンポ(しかも比較的同テンポ)に戻ってしまい(しかも連発)、ちょっとつらくなるという。

とにかくこのアルバム、曲順が悪い。曲調が似たり寄ったりなのは今に始まったことじゃないし(ただ、1曲1曲の質は前作よりも上がってるように感じました)、たくさん聴かせたい(全13曲入り)という意思は尊重してあげたいんだけど、やっぱりトータル66分は長いよ。せめてミディアムテンポの曲を3曲減らして10曲入りにして50分前後に収めてくれたら、もうちょっと聴きやすかったんだろうなあ。キラリと光る楽曲が散見されるだけに、今のままだったら非常に勿体ないと思うんです。普通に通して聴いたらみんな最後までたどり着けないって。

後半にもファンキーな「It's Never Enough」とか、リフで変化を付けてる「True Decievers」「Stand」、ツーバス全開でちょっとKING CRIMSONチックな「Together」とか魅力的に感じられる楽曲があっただけに、もうちょっと前半〜中盤の構成を考えてくれたらなぁ。そういう意味でも、非常に惜しい1枚です。



▼KXM『SCATTERBRAIN』
(amazon:海外盤CD / MP3

投稿: 2017 09 26 12:00 午前 [2017年の作品, King's X, Korn, KXM, Lynch Mob] | 固定リンク

2017/09/25

LIVING COLOUR『SHADE』(2017)

2017年9月にリリースされた、LIVING COLOUR通算6枚目のオリジナルアルバム。再結成後3作目、前作『THE CHAIR IN THE DOORWAY』からは実に8年ぶりの新作となります。

ヴァーノン・リード(G)は本作について「ブルースのパイオニア、ロバート・ジョンソンのスピリットから影響を受けている。ブルースとメタルのブレンドが新しい方向性への指針となった」、コリー・グローヴァー(Vo)も「『SHADE』は最終的な結果として、ブルースを解釈したのではなく解体したものとなった」とそれぞれ語っています。

確かにブルースの影響下にあるコード進行、テイストを持った楽曲も多いですが、そこはメンバーが言うとおり、あくまで“LIVING COLOURとしてブルースを独自の解釈で表現したら、結果として今までの自分たちらしいハードロックもありつつ、これまでになかったタイプの楽曲も生まれた”といった程度の影響というのが正しいでしょう。ブルースの一言でちょっと後ずさりして聴き逃してしまったとしたら、非常にもったいない1枚ですよ、これは。

冒頭の「Freedom Of Expression (F.O.X.)」を聴けば、本作がいつもどおりのLIVING COLOURだとご理解いただけるはず。ブラックテイストをまぶした豪快なハードロックは、彼らのイメージそのままですしね。それは続く「Preachin' Blues」もしかり。たしかにブルースの影響下にある楽曲ですが、この流れで聴けば何ら違和感ないし、逆にLIVING COLOURがこういうテイストの楽曲をやるんだ、とちょっと新鮮に感じられるんじゃないでしょうか。

ところが、リードトラックとなっている3曲目「Come On」には少し驚かされるかもしれません。RED HOT CHILI PEPPERSあたりがやりそうなこの曲、途中でエレクトロっぽいテイストも飛び出すのですから。ただ、これも味付け程度で、前面に打ち出すことはないのでご安心を。

以降はファンク、ブルース、ハードロック、そしてときどきヒップホップが入り乱れたLIVING COLOURらしい展開が続きます。クリストファー・ウォレス「Who Shot Ya?」のカバーや、マーヴィン・ゲイ「Inner City Blues」のカバーも、両方とも原曲のテイストを残しつつ、しっかりLIVING COLOUR色に染め上げられており、好印象。“泣きのブルース”を彼ら流に仕上げたラストナンバー「Two Sides」もグッとくる仕上がりで(この曲のみ、ロバート・ジョンソンというよりもジミヘンのイメージが強いかも)、アルバムとして非常によくまとまった1枚だと思います。

正直、再結成後のアルバムはこれ1枚として聴いてなかったので不安があったのですが、そんな心配無用でした。80〜90年代の彼らが気に入っているリスナー、そして初期〜中期のレッチリが好きな人なら間違いなくツボに入りまくりの力作ではないでしょうか。



▼LIVING COLOUR『SHADE』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

投稿: 2017 09 25 12:00 午前 [2017年の作品, Living Colour] | 固定リンク

2017/09/24

DREAM THEATER『IMAGES AND WORDS』(1992)

1992年初夏にリリースされた、DREAM THEATER通算2作目のフルアルバム。デビュー作『WHEN DREAM AND DAY UNITE』(1989年)はここ日本でも一部マニアの間で話題となりましたが、ボーカル脱退などもありその後しばらくは話題になることはありませんでした。

が、“正統派メタル冬の時代”に突入した1992年、突然変異と言われてもおかしくない形で復活。ジェイムズ・ラブリエ(Vo)という“ちゃんと歌える”メタルシンガーを迎えたことで、QUEENSRYCHEの成功以降いくつも誕生した“プログレッシヴメタル”中でも頭ひとつ抜けた存在へと成長します。

ギターやベース、キーボードのテクニカルなユニゾンプレイ、長尺で起承転結のしっかりした楽曲(全8曲で57分。最長はラストの「Learning To Live」の11分半)、ボーカルパートよりもインストパートのほうがはるかに長いなど、プログレ特有のカラーは確かに強いものの、今聴くとこのアルバムってヘヴィメタル以外の何ものでもないんですよね。

時代背景を考えると、グランジ全盛でメタルといえばMETALLICAブラックアルバムPANTERAHELMETをはじめとするヘヴィでグルーヴィーなバンドがトレンドの時期。いわゆる様式美を軸にした正統派ヘヴィメタルや華やかに着飾ったファッションメタル、テクニック至上主義のバンドは“時代遅れ”だったわけです。実際この時期を境に、それまでメインストリームにいたHR/HMバンドはどんどんグランジやグルーヴメタル系からの影響をあからさまに見せた作品を出して、次々と失敗していく。なのに、DREAM THEATERはこんなにも“ど真ん中”なアルバムを、メジャーレーベルから堂々とリリースしたのですから、驚くのを通り越して「何考えてるんだよ!?」と言いたくなってしまうわけですよ。

思えば制作自体はグランジだグルーヴメタルだと騒がれる前には始まっているわけで、良い意味でそういったトレンドに影響を受けていない。ただ自分たちの信じた道をまっすぐ進んだら、世の中的に“突然変異”と受け取られるような作品を完成させた。これが真実なんでしょうね。

また、彼らがここまでど直球にヘヴィメタルと向き合ったのも、きっと本作が最初で最後なんじゃないでしょうか。もちろん本作以降のアルバムもすべてヘヴィメタルアルバムには違いないのですが、続く『AWAKE』(1994年)以降の作品では、DREAM THEATER自身もトレンドから影響を受け、低音を効かせたヘヴィロック路線へと移行しているんですから。そういう意味でも本作は奇跡であり、やっぱり異色なんですよね。

楽曲単位では本当にどれも素晴らしいので、ここで何か解説するよりもまずは聴いてもらうのが一番かなと。ちなみに、先日の来日公演で本作の完全再現ライブが披露されましたが、そこで改めて感じたのは、自分はアルバムB面(「Metropolis Part I: The Miracle And The Sleeper」「Under A Glass Moon」「Wait For Sleep」「Learning To Live」)が本当に好きだということ。これらの名曲を現在のテクニックで再現されるなんて、最高以外の何ものでもないですよね。



▼DREAM THEATER『IMAGES AND WORDS』
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投稿: 2017 09 24 12:00 午前 [1992年の作品, Dream Theater] | 固定リンク

2017/09/23

PEARL JAM『VS.』(1993)

1993年秋に発表された、PEARL JAMの2ndアルバム。デビュー作『TEN』(1991年)が想像を超えるメガヒットを記録したこともあり、本作はBillboard 200で初登場1位を獲得。しかも発売1週で100万枚近いセールスに達する、その後10年近く塗り替えられることのない大記録を達成するのでした。売り上げ的にも、1000万枚を突破したデビューアルバムに次いで700万枚というバンド史上2番目に売れた作品となりました。

デビュー作があれだけ売れて、実際バンドは相当なプレッシャーを感じていたことかと思います。しかし、PEARL JAMは前作を踏襲しつつも、攻めに転じたロックアルバムを完成させます。

リック・パラシャーをプロデューサーに迎えた前作は、全体的に“どこか作り込まれた”感のあるサウンドプロダクションでしたが、今作ではその後タッグが続くことになるブレンダン・オブライエン(AEROSMITHRED HOT CHILI PEPPERSなど)をプロデューサーに、より生々しくて尖った質感のサウンドへと変化。実際、このプロダクションのおかげでオープニングのアップチューン「Go」の攻めっぷりや、ワイルドなミディアムチューン「Animal」のダイナミックさから「前作までとは違うロックバンド感」が伝わるはずです。

楽曲的には「Daughter」や「Dissident」「Leesh」など『TEN』での大陸的アメリカンハードロック路線を引き継ぎつつ、前のめりな「Go」や「Blood」、アルペジオ調リフを用いた「Rearviewmirror」、軽やかな「Glorified G」、うねるベースラインが印象的な「Rats」など音楽性の広がりが感じられます。

バカ売れした作品の次だけにかなり苦労したことが見え隠れする内容ですが、そのプレッシャーをはね退け、前作でファンになったリスナー、そして純粋にアメリカンロックが好きなリスナー双方にアピールする力作を仕上げたんじゃないかと思っています。

ですが、歌メロなどの強さでいうと、前作のほうがちょっとだけ勝るかな。そういう意味では、アルバム全体の流れや雰囲気で勝負する作品なのかなと思いました。そう言いながらも、リリース当時はアホみたいに聴きまくった1枚なんですけどね。

ちなみに、本作ではミュージックビデオが1本も制作されていません。メジャーレーベルにいながら、こういったアンチメジャー、アンチプロモーション的な姿勢はここからしばらく続きます。



▼PEARL JAM『VS.』
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投稿: 2017 09 23 12:00 午前 [1993年の作品, Pearl Jam] | 固定リンク

2017/09/22

THE CULT『ELECTRIC』(1987)

ゴシックロックやポストパンクの流れにあった前作『LOVE』(1985年)が本国イギリスで最高4位まで上昇。アメリカでもTOP100内(87位)に入るヒット作となり、続く3rdアルバムで世界的な大ブレイクが期待されるわけです。ここでTHE CULTは前作同様にスティーヴ・ブラウンをプロデューサーに迎え次作『PEACE』の制作に突入するのですが、出来上がった作品はバンド側が満足するような内容ではありませんでした。

そしてバンドは新たにリック・ルービンをプロデューサーに迎え、アルバムを作り直します。そんな紆余曲折を経て完成したのが、1987年春に発表された『ELECTRIC』です。

SLAYERBEASTIE BOYSなどのプロデューサーとして知られていたリックですが、本作ではオールドスクールなハードロックサウンドを展開。どこかAC/DCみたいで、無駄をそぎ落とした隙間だらけのサウンドは、ビッグプロダクションが当たり前だった当時のHR/HMと比較するとチープに聞こえたかもしれません。しかし、本作発売から数ヶ月後にGUNS N' ROSESがデビューすることで、その印象は一変するわけです。時代がTHE CULTに追いつくわけですね。

ポストパンクとかニューウェイブ、ゴシックロックとは一体何だったのか?と、前作までのTHE CULTを好んでいたファンからすれば、ここで完全に別モノになってしまったわけですから、そりゃあショックですよね。だってオープニングの「Wild Flower」からして、ギターリフ一発ですべてが決まるような、シンプルなR&Rなわけですから。しかもLED ZEPPELIN的な展開を含む「Love Removal Machine」があったり、ツーバス全開のファストチューン「Bad Fun」があったり、挙げ句の果てにSTEPPENWOLFの名曲カバー「Born To Be Wild」まであるんだから。それ以前のファンからしたら「誰だよお前ら!」ってツッコミたくなりますわな。

とはいえ、当時高校生だった自分は『LOVE』以前の彼らを知らず、本作からTHE CULTに入っていったので、当然彼らは普通にハードロックをやってきたバンドだと思っていたし、そこから『LOVE』にさかのぼって唖然とするわけですが。今となってはそれもいい思い出ですけどね。

そんな一大革命を起こした本作、イギリスでは前作と同じく4位まで上昇し、アメリカでも最高38位にランクイン。100万枚を超えるヒット作となり、続く4thアルバム『SONIC TEMPLE』(1989年)と並ぶ代表作として現在まで多くのリスナーに愛され続けています。



▼THE CULT『ELECTRIC』
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投稿: 2017 09 22 12:00 午前 [1987年の作品, Cult, The] | 固定リンク

2017/09/21

Spotifyでプレイリストを作ってみました

先月からレビューページにSpotifyのリンクを貼り付けているのですが、せっかくなので何か面白いことできないかと思い、このサイトならではのプレイリストを作ってみることにしました。

まずは、8月に当サイトで紹介したアルバム(Spotifyで配信している作品のみ)から各2曲程度ピックアップして、50〜60曲程度のプレイリストを制作しました。題して『TMQ-WEB Radio 1708』。一応曲の流れなんかも考慮しつつ曲順を考えておりますので、レビューを読む際のBGMにするもよし、何も考えずにダダ流しするもよし。おヒマなときに聴いていただけると嬉しいです。

今後も毎月、1ヶ月のまとめ的なプレイリストを作っていけたらと思います。

あるいは、こういうプレイリストがあったらもっと面白いんじゃないか?みたいな企画も、その都度思いついたら作っていきたいな。例えば、毎年1月にやってる成人企画とか、ちょっと前に書いた職業ライターまとめ企画とか。

で、上の『TMQ-WEB Radio』を作る前に、遊びで昨日のDURAN DURANの日本武道館公演のセットリストに沿ったプレイリストも作っております。大阪公演に行くって人は、こちらで雰囲気を掴んでもらえたら嬉しいです。

以上、珍しく告知エントリーでした。

投稿: 2017 09 21 10:00 午前 [2017年の作品, 「音楽配信」] | 固定リンク

DANZIG『DANZIG』(1988)

グレン・ダンジグ(元MISFITS、元SAMHAIN)が1987年に決ししたバンド、DANZIGが1988年夏に発表したデビューアルバム。当時リック・ルービンが新たに設立した「Def American」(のちの「American Recordings」)第1弾作品としてリリースされました。

MISFITSというアクの強いパンクバンドを経てSAMHAINを結成するも、短命で終わってしまう。そんな中、新たに結成されたDANZIGはその名からも“あのグレン・ダンジグのリーダーバンド”であることが一目瞭然。きっと当時のロックファンはMISFITSの幻影を彼に求め、そしてそんな音を期待してDANZIGに臨んだのではないでしょうか。

当時高校生だった僕はMISFITSの音はまだ聴いたことがなく、あのルックスやアートワークしか知らない程度。そんな状態でまず、本作のリードトラック「Mother」と接するわけですが……あれ、カッコいいじゃんか!と普通に感じてしまったのです。

リック・ルービンがプロデュースしたこともあってか、どこかTHE CULT『ELECTRIC』(1987年)に通ずる世界観と質感があの曲の中にはあった。で、実際アルバムを通して聴いてみても、その直感は間違っていなかった。ブルースをベースにした、オールドスクールなハードロックが全体を通して貫かれている。そりゃあ問答無用で食いつきますよね。

ただ、今なら当時MISFITSの幻影を求めていたファンの気持ち、理解できますよ。そりゃあこれ聴いたら卒倒しますよね。

どこかジム・モリソン(THE DOORS)を彷彿とさせるボーカルスタイルは、ただただカッコいいの一言(そのへんもTHE CULTとの共通点だったりもするのですが)。そこに音数の少ない、隙間作りまくりのサウンドプロダクションと、非常にシンプルなブルースベースのハードロックが加わることで、より男臭さが増す。例えばそれは初期BLACK SABBATHに通ずるものがあったり、まだハードロックと呼ばれていた頃のJUDAS PRIESTっぽかったりもする。男らしいグレンのボーカルのせいで、そう感じないかもしれませんが、やってること自体はそのへんと共通するものがあるんじゃないでしょうか。

あるいは、アルバート・キングでおなじみのブルースの古典「The Hunter」のカバーをやっていることから、GREAT WHITEとの共通点もあったりする。ボーカルスタイルがまったく異なるので「いやいや、違うでしょ!」と思うかもしれませんが、僕はそのラインと同じ感覚で本作に接しています。

それにしても、「Mother」は今聴いても色褪せない名曲ですね。誰かカバーしてほしいなぁ。



▼DANZIG『DANZIG』
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投稿: 2017 09 21 12:00 午前 [1988年の作品, Danzig] | 固定リンク

2017/09/20

CATHEDRAL『STATIK MAJIK』(1994)

1994年に発表された、CATHEDRALの4曲入りEP。直近の最新アルバム『THE ETHEREAL MIRROR』(1993年)からの代表曲「Midnight Mountain」をリードトラックに、未発表の新曲3曲を加えた構成なのですが、これがEPとかミニアルバムとは呼べないようなボリュームでして……4曲で40分超の、フルアルバム並みの内容なんです。

「Midnight Mountain」は今さら言うまでもなく、ダンサブルなビートを用いることで、CATHEDRALが単なるBLACK SABBATHフォロワーではないオリジナルな存在へと導くことに成功した1曲。発売から24年経った今聴いても、やっぱりカッコイイですもんね。

で、残り3曲が本作で初公開の新曲になるわけですが、「Hypnos 164」「Cosmic Funeral」は『THE ETHEREAL MIRROR』に収録されていても不思議じゃない、ドゥーミーなハードロック。1曲の中にいくつもの展開が用意されており、リー・ドリアン(Vo)のヘタウマボーカルが曲に合った安定感を放ち始めているから不思議です。特に「Cosmic Funeral」は途中で挿入される鍵盤(オルガン?)の音色が70年代の香りを醸し出しており、そこから突入する2本のギターバトルがハンパなくカッコイイ。1stアルバム『FOREST OF EQUILIBRIUM』(1991年)でのダークでドゥーミーで超低速な世界観がまるで嘘のように感じられるほどに。

ここまで1曲5分前後。「Cosmic Funeral」のみ7分もありますが、トータルでも17、8分です。ということは……そうです、ラストの「The Voyage Of The Homeless Sapien」が約23分もある超大作なのです!(笑)

序盤のヘヴィでダークで超スローな展開は、まさしく彼らが『FOREST OF EQUILIBRIUM』で表現していたスタイル。これをデス声ではなくヘタウマボーカルで表現することにより、『FOREST OF EQUILIBRIUM』とはまた異なる世界観が構築されていくのです。

しかもこの曲、単なるドゥームメタルではなく、曲が進むにつれてさまざまな展開を見せていく。もはやプログレッシヴロックのそれに匹敵する世界観なのです。アナログ時代でいえば、A面でシングルカットできそうな5分程度の楽曲を数曲並べておいて、B面で組曲風の超大作を入れる。世が世なら本作こそ『THE ETHEREAL MIRROR』に続く3rdアルバムになっていたかもしれません。

しかし、そこはリー・ドリアンとギャリー・ジェニングス(G。本作ではBも担当)のこと。ここで試したことはあくまで実験の一環で、あれこれ試した結果、次作『THE CARNIVAL BIZARRE』(1995年)はよりストレートで王道のハードロック路線を選ぶわけです。

アメリカでグランジ/グルーヴメタルが流行っていた中、イギリスからはCATHEDRALみたいな突然変異的バンドが登場していた。決して主流にはなれなかった音ではなるものの、当時の時代背景を考えると当時CATHEDRALが残した作品群は非常に興味深いものがあります。ぜひ「The Voyage Of The Homeless Sapien」1曲だけでもいいんで、聴いてもらいたいものです。

ちなみに、日本盤はさらにボーナストラック(日本未発売だった以前のEP収録曲など)を追加した、全9曲・70分超の大作となっております(笑)。



▼CATHEDRAL『STATIK MAJIK』
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投稿: 2017 09 20 12:00 午前 [1994年の作品, Cathedral] | 固定リンク

2017/09/19

CORROSION OF CONFORMITY『DELIVERANCE』(1994)

ノースキャロライナ出身のハードコア/メタルバンドCORROSION OF CONFORMITY(以下、C.O.C)が1994年秋に発表した、通算4作目(メジャー移籍1作目)のスタジオアルバム。マイク・ディーン(Vo, B)脱退後に加入した専任ボーカルのカール・エイゲルが唯一参加、そしてペッパー・キーナン(Vo, G)が初参加した前作『BLIND』(1991年)から3年ぶりの新作で、本作でマイク・ディーンが復帰。ペッパーが大半の楽曲でリードボーカルを担当しています(マイクも1曲のみボーカル担当)。

全14曲中でペッパーが単独で4曲、他メンバーとの共作で8曲とソングライティング面で大活躍。これによるものが大きいのか、前作までのハードコアとスラッジを融合させたようなサウンドが、今作ではよりレイドバック気味な方向に転換しています(とはいえ、前作の時点で今作への予兆は感じられたのですが、まさかここまで大きな舵取りをするとは当時誰も想像してなかったのではないでしょうか)。

どこかBLACK SABBATHを彷彿とさせるヘヴィロックサウンドは、良く言えば先のようにレイドバックした本格派に、悪く言えばオッサン臭くなった。ただ、この方向転換が功を奏し、バンドのキャリア上もっとも成功したアルバムとなりました。同じサバスからの影響という意味では、イギリスのCATHEDRALとの共通点もないことはないですが、そこまでの(良い意味での)“コピー感”は皆無。それよりもアメリカのバンドらしい“埃っぽさ”が全面に散りばめられているところに、このバンドの個性が感じられるのではないでしょうか。

そういう意味ではサバスほどの邪悪さや陶酔感は皆無で、カラッとしたサウンドがただひたすら気持ち良い。ストーナーロック的側面で語れば、ジョシュ・ホーミがかつて在籍したKYUSS、そしてのちに結成するQUEENS OF THE STONE AGEにも通ずるものがありますが、ペッパーの歌声のせいもあって、ブラックアルバム以降のMETALLICAとの共通点も感じられます。

そういえばC.O.Cの次作『WISEBLOOD』(1997年)にジェイムズ・ヘットフィールドがゲスト参加したり、逆にペッパーがMETALLICAの作品にゲスト参加したり、しまいにはジェイソン・ニューステッド脱退後のオーディションにベーシストとして招いたりと、METALLICAの面々にはよほど気に入られていたようですね(C.O.Cから影響を受けて、『LOAD』『RELOAD』がああいう作風になった、なんて話もあるくらいですし)。

ハードコアとメタルのクロスオーバーサウンドが楽しめるという点においては、前作『BLIND』のほうが評価が高いのかもしれませんが、現在まで続くこのバンドのスタイルを確立させたという意味では、本作『DELIVERANCE』は非常に重要な1枚と言えるでしょう。個人的にも本作と次作『WISEBLOOD』はかなり気に入っている作品です。



▼CORROSION OF CONFORMITY『DELIVERANCE』
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投稿: 2017 09 19 12:00 午前 [1994年の作品, Corrosion of Conformity] | 固定リンク

2017/09/18

PRONG『CLEANSING』(1994)

ニューヨーク出身のクロスオーバー(懐かしい響き……)/スラッシュメタルバンドPRONGが1994年初頭に発表した、通算4作目(メジャー3作目)のスタジオアルバム。前作までのマーク・ドッドソン(ANTHRAXSUICIDAL TENDENCIESMETAL CHURCHなど)から代わり、今作ではテリー・デイト(SOUNDGARDENPANTERADEFTONESなど)にプロデューサー変更。さらにベーシストが元KILLING JOKEのポール・レイヴンに替わったほか、新たにキーボーディストが加わり4人編成に。

とはいえ、スラッシュメタルを軸にしつつもどこか無機質でインダストリアル調のヘヴィサウンドは健在です。ヘヴィなリフとグルーヴィーなリズムが織り成す気持ち良さが最高なオープニング曲「Another Wordly Device」からスラッシーなファストチューン「Cut-Rate」まで、頭4曲の構成は圧巻の一言。そこからヒップホップの影響すら感じさせるミディアムテンポの「Broken Peace」、“もしBLACK SABBATHがインダストリアル調になったら”な表現がぴったりな「One Outnumbered」など、とにかく聴きどころの多い1枚です。

トミー・ヴィクター(Vo, G)のダミ声ボーカルは、PANTERAというよりもHELMETのそれに近く、スラッシュメタルのカラーを残しつつグルーヴ感を強調した作風からもHELMETと比較されることが当時は多かったように記憶しています。

しかし、こうやって今聴いてみると新加入のポール・レイヴンのカラーなのか、どこかKILLING JOKEにも通ずる点も多いんですよね。そういう意味では、最新のテイストを取り入れつつもバンドの原点へと接近していった“原点回帰にして新境地に突入した”意欲作と呼べるでしょう。本作があったから続く次作『RUDE AWAKENING』(1996年)にたどり着けたわけですしね。

PANTERAの大ブレイク以降HR/HMシーンの主流となりつつあった“モダンヘヴィネス”の流れを汲む、非常に気持ち良いノリと重さを兼ね備えた好盤にも関わらず、ここ日本ではさほど高い評価を得ることがなかった。HELMETのほうが先に成功を収めたしまったため、またメタル上がりだったことからPRONGは本国アメリカでもこれといった大成功を収められませんでした。とはいえ、本作は本国でもっとも成功したアルバムなんですよね(全米126位ながらも30万枚以上のセールスを記録)。バンドは『RUDE AWAKENING』リリース後に解散してしまいますが、2002年には早くも再結成。ここ数年は毎年のように新作をリリースしているので、興味を持った人は本作と『RUDE AWAKENING』あたりからぜひ手に取ってみてはどうでしょう。



▼PRONG『CLEANSING』
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投稿: 2017 09 18 12:00 午前 [1994年の作品, Killing Joke, Prong] | 固定リンク

2017/09/17

THERAPY?『NURSE』(1992)

北アイルランド・ベルファスト出身のトリオバンドTHERAPY?による、1992年秋発売のメジャー1stアルバム。1991年後半と1992年前半にそれぞれミニアルバム『BABYTEETH』『PLEASURE DEATH』をインディーズから発表し、のちにメジャーのA&Mと契約し、リリースされたのがこの『NURSE』というフルアルバムになります(『BABYTEETH』『PLEASURE DEATH』の2作品に収録された全楽曲は、のちに北米地区で『CAUCASIAN PSYCHOSIS』と題したコンピレーションアルバムとしてリリース)。

『BABYTEETH』や『PLEASURE DEATH』で展開された「オルタナインディロックとインダストリアルメタルをミックスしたサウンド」「カンカン鳴るメロタムの音と反復するパーカッシブなリズム、それに合わせてシークエンスされるギターリフ」「無機質だけど、どこかエモーショナルなメロディ」といった要素が、本作ではより強まっており、それが早くもこのバンドの個性として確立されつつあることが伺えます。オープニングを飾る「Nausea」はもちろんのこと、続くシングルヒット曲「Teethgrinder」はまさにそのもっともたる1曲と言えるでしょう。

かと思えば、次作『TROUBLEGUM』(1994年)以降その色合いがより強まっていく、ダークでひんやりとしたミディアム/スローのエモーショナルな要素が「Gone」あたりから感じられ、メジャーデビュー作の時点で“今後の大変貌の予兆”が散りばめられています。特にチェロを導入した叙情的な「Gone」、ダブのテイストを取り入れつつもどこかダークな「Deep Sleep」あたりはJOY DIVISIONに通ずるカラーがあり、このバンドがどこから生まれ、どこに向かっていこうとしているかが何となく理解できるのではないでしょうか。

ヘヴィなギターリフなメタリックな曲調が一部混在していることから、どうしてもHR/HMの流れを組むバンドと認識されそうですが、どちらかと言えば同時代にアメリカで勃発したグランジムーブメントに対するヨーロッパからの返答だったのでは……なんて言ってしまっては大袈裟でしょうか。残念ながら、彼らに続くような個性的なバンドがそこまでおらず、時代はもっと肉感的なダンスミュージック(マッドチェスターなど)へと接近。続くブリットポップにもかすらなかったものの(だからMANIC STREET PREACHERSTHE WiLDHEARTSといったバンドと共闘したのも頷ける話)、次作『TROUBLEGUM』を機にチャート的にも成功を収めるので、まぁよかったのかなと。



▼THERAPY?『NURSE』
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投稿: 2017 09 17 12:00 午前 [1992年の作品, Therapy?] | 固定リンク

2017/09/16

FOO FIGHTERS『CONCRETE AND GOLD』(2017)

FOO FIGHTERS待望のニューアルバムが昨日リリースされました。本作は2014年11月発売の8thアルバム『SONIC HIGHWAYS』から3年ぶりに発表される新作で、THE BIRD AND THE BEEのメンバーにして、シーアやアデル、P!NK、リリー・アレンなどポップス系プロデューサーとしても知られるグレッグ・カースティンと共同制作したもの。それ自体がすでに実験なのに、本作は事前に“MOTORHEAD meets『SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND』”などと比喩されていたもんですから、そりゃあ期待が高まるってものですよ。

かなり早い段階で本作からの先行シングル「Run」が公開されていましたが、この1曲のみではその真偽は確認できず。で、リリースに先駆けて雑誌レビュー用にこのアルバムを聴くことができたので、今日はその際のメモを元に全曲解説をしていけたらと思います。


M1. T-Shirt
ギター弾き語りかと思いきや、大袈裟でスケールの大きなバラードへと変化。1分半程度の短い曲で、どこかQUEENのアルバムを彷彿とさせる。

M2. Run

1曲目から間髪入れずに突入。じわじわと盛り上がる構成と、ヘヴィかつグルーヴィーなサウンド&アレンジに新たな可能性も。とにかくスケールが大きい1曲。

M3. Make It Right [ジャスティン・ティンバーレイク参加曲]
「Run」同様グルーヴィーな楽曲だが、こちらはリズムの1音1音がとにかく重い。コーラスの入れ方が非常にポップで、単なるハードロック/ヘヴィロックバンドにはできない取り組みでは? リズムの抜け感、エフェクトのかけ方もインパクトが強く個性的。

M4. The Sky Is A Neighborhood [アリソン・モスハート参加曲]

“ヘヴィロック版ジョン・レノン”みたいな、強いサイケ感を持つミディアムヘヴィナンバー。ストリングスの入り方、コーラスの重ね方が非常にキャッチー。と同時に、音の抜き方、空白の使い方などアレンジが絶妙。

M5. La Dee Da [アリソン・モスハート参加曲]
歪みまくったベースによるイントロが、どこかQUEENS OF THE STONE AGEっぽい。ヘヴィなガレージロックかと思いきや、ピアノの音色やキャッチーなメロディが合わさることで気持ちよさ急増。拍の取り方が倍になる(テンポが速くなる)と、一気にハードコア感が増す。ここまで実験的要素が強く、ひたすらヘヴィなのにしっかりポップさが保たれているのがFOO FIGHTERSらしいのか、それとも今作のプロデューサーの手腕によるものなのか。

M6. Dirty Water [イナラ・ジョーンズ参加曲]
いきなり爽やかな曲調に(笑)。どこかボッサ調でもあり、ファルセット+オクターブ下の地声で歌う優しい声が耳に残る。複数のコーラスが重なることで生まれるハーモニーの心地よさに驚かされる瞬間も。FOO FIGHTERSらしいのに今までにないような感触もあり……と思ったら、後半でしっかり激しくなる攻めの1曲。女性コーラスが入る(M4〜6)ので、歌の豊かさはこれまで以上では。

M7. Arrows
メロディの流れ、コードの使い方に80年代ハードロック的カラーが。すごくストレートなメロディアスHR。が、どこかビートルズ的でもあり。5thアルバム『IN YOUR HONOR』(2005年)で試した実験の延長線上?

M8. Happy Ever After (Zero Hour)
後期ビートルズ(主にポール・マッカートニー)がやっていたようなアコースティックナンバーのFOO FIGHTERS的解釈。攻めまくりのアルバム前半と、この曲以降の流れのコントラストが素敵すぎ。

M9. Sunday Rain [ポール・マッカートニー参加曲]
完全にビートルズ(笑)。ジョンぽくもありポールぽくもあり、でもジョージぽくもある(笑)。そんな1曲でポール本人がドラムを叩くのも興味深い。テイラー・ホーキンスのボーカルもどこかポールに似てる(意識して真似てる?)。

M10. The Line

前曲のアウトロ?この曲のイントロ?のジャジーなピアノからダークな歌い出し。が、全体を覆うアンセム感がさすがの一言。どんなにアンダーグラウンドな方向に進もうとしても、デイヴ・グロール持ち前のポップネストプロデューサーの仕事ぶりでうまく調和されてしまうのは、もはやこのバンド最高の強みでは。

M11. Concrete And Gold [ショーン・ストックマン参加曲]
ダウナーなヘヴィバラード。どこかNIRVANA時代を思い浮かべてしまう1曲。かと思えば壮大なコーラス&ハーモニーがかぶさり、まるでQUEENの現代的解釈のようでもある。NIRVANAっぽいとはいえ、どこかポジティブさに満ちている気も。これこそデイヴの人柄そのものなのでは。ある種、このアルバムにおける究極の1曲。


以上となります。

確かに本作には“MOTORHEAD meets『SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND』”的なカラーが満載でした。が、個人的には“LED ZEPPELIN+MOTORHEAD×『SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND』”が正解なのではないかと思います。単なるハードコア(MOTORHEAD)で終わらず、しっかり大衆性を持った王道ハードロック(LED ZEPPELIN)のカラーも維持しながら、新たな実験にも挑んでいる(『SGT. PEPPER'S〜』)。実験要素は足し算ではなく、今回は掛け算なのかなと思いこういう表現をしてみました。

と同時に、これは矛盾するかもしれませんが……本作は“引き算のアルバム”でもあるなと感じました。それはプロデュース方法によるものが大きいのかもしれませんが、音数が多いにも関わらず、しっかり“抜き”の技術が多用されている。そのバランス感が本当に絶妙で、過去のFOO FIGHTERSのアルバムにはなかったものじゃないかと思うのです(これまでも“抜き”はあったけど、それは0か100かくらい大きなものとして使用されていたように思います)。

発売後改めて何度か聴いてみて思ったのは、もしかしたらFOO FIGHTERSは80年代以降のQUEENみたいな存在になろうとしているのではないか、あるいはそうなれるのではないかということ。それくらい大衆性とアーティスティックな実験要素を両立させながら、どんどん大きくなっているんだから。今、周りを見渡してもこんな“ハードロック”バンドなかなかいませんよ。

デイヴのソロプロジェクトから始まったこのバンドが、スタートから20数年でここに到達するとは……ただただ驚きです。そして、こんなアルバムだからこそロック低迷の今、バカ売れしてほしいと願っております。



▼FOO FIGHTERS『CONCRETE AND GOLD』
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投稿: 2017 09 16 12:00 午前 [2017年の作品, Foo Fighters, Paul McCartney] | 固定リンク

2017/09/15

R.E.M.『AUTOMATIC FOR THE PEOPLE』(1992)

1992年秋発表の、R.E.M.通算8枚目のスタジオアルバム。前年春にリリースした前作『OUT OF TIME』が初の全米1位を獲得し、ノリにノッている状況で1年半という短いスパンで発表された本作。『OUT OF TIME』がポップな作風だったこともあり、当初次作ではロック色の強い作品を想定して、前作完成からすぐにセッションに取り掛かったそうですが、実際に完成したものは一聴すると非常に内向的なもの。先行シングルにしてオープニングトラックの「Drive」を最初に聴いたときは、正直「……暗っ!」と若干引いたことを覚えています。

そう、“暗いアルバム”というのが『AUTOMATIC FOR THE PEOPLE』に対する第一印象。ロック色の強い作品は2年後の『MONSTER』(1994年)まで待つことになりますが、本作は本作で表層的には暗いんだけど、実は非常に優しくて温かいアルバムなんですよね。

アメリカの音楽シーンはちょうど1年前にNIRVANAPEARL JAMがメジャーデビューを果たし、数ヶ月後に大ヒット。すでに本作がリリースされる頃にはグランジが一大ブームとなっていた時期でした。また情勢的にも湾岸戦争以降の不況、アメリカ大統領選挙(1992年)など時代の変わり目でもあったわけです。

そんな中でR.E.M.がこのアルバムでテーマとして選んだのが「死」や「絶望」といった一見ネガティブなもの。しかし、彼らはそのテーマを最終的に非常に前向きで、「生」へとつないでいくわけです。ポジティブに背中を押す楽曲もあれば、逆説的に生の尊さを伝えようとする楽曲もある。傷つきながらも現実から目をそらさず、希望を捨てず、生きることを諦めない。ラストナンバー「Fined The River」にたどり着く頃には、その答えが聴き手の心の中にそれぞれ見つかるんじゃないかと思います。

だからこそ、「Everbody Hurts」という曲の歌詞がより強く響く。楽曲単位でも素晴らしいナンバーですが、このアルバムのテーマに沿って聴くことで、その意味はより深いものに感じられるはずです。そして終盤……「Man On The Moon」「Nightswimming」「Find The River」の流れは圧巻の一言。この時代だったからこそ成し遂げることができた、珠玉の楽曲構成ではないでしょうか。

アコースティック楽器を多用していたり、ストリングスを全面的に導入したり(ジョン・ポール・ジョーンズがオーケストラアレンジを担当)とソフトな面が印象に残る作品ですが、実はものすごく“力強い”アルバムだと思っています。R.E.M.のアルバム中もっとも好きな1枚です。



▼R.E.M.『AUTOMATIC FOR THE PEOPLE』
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投稿: 2017 09 15 12:00 午前 [1992年の作品, Led Zeppelin, R.E.M.] | 固定リンク

2017/09/14

ESKIMO CALLBOY『THE SCENE』(2017)

ドイツ出身のスクリーモ/エレクトロニコアバンドの4thアルバム。2014年発売の2ndアルバム『WE ARE THE MESS』は聴いていたのですが、続く3rdアルバム『CRYSTALS』(2015年)の未聴のままで今作に触れてみました。

まず、本作ではサウンド/楽曲が非常に整理されているなという印象が強い。以前の彼らが持っていたハチャメチャな雰囲気が一掃され、全体的にシリアスな空気が漂っている。どこかBRING ME THE HORIZONの最新作『THAT'S THE SPIRT』(2015年)の空気感に通ずるものがあり、あの作品の成功に影響を受けたのは明白かと思います。

また、もろもろ整理されたことで非常に聴きやすくなったのも本作の特徴。どの曲もキャッチーだし、耳障りの良いメロディとシンガロングしたくなるサビメロを持ち合わせている。アクセントとしてしっかりEDMの要素も取り入れているものの、そのへんは以前ほど濃いものではない。例えば4曲目「Banshee」でのゴリゴリしたサウンドに、色付け程度でシンセのシーケンスサウンドが乗る程度。正直、このくらいの取り入れ方だったら同じようなバンドは他にもたくさんいるよね、と。

そう、このバンドならではの“絶対的な個性”が本作ではメロディセンス以外に感じられないんですよね。もちろん、そこが強いバンドが最終的に生き残るとは思うんですが、サウンドメイキングに関しては“絶対的な個性”は薄まっているんじゃないかなと。そこがすごく勿体ない気がするんですが、これってこの手のバンドが必ず通る鬼門なのかもしれないですね。

曲単位でも『THAT'S THE SPIRT』を意識したナンバーがいくつか見受けられるのは、微笑ましいといえばそれまでだけど、もうあのアルバムも2年前のヒット作であり、BMTH自身も次に進むべき道を現在模索してる最中だと思うんですよ。うん、そういう意味では本作でやっていることは、少なくともあと1年早くやるべきでしたよね。全体的な出来が良いだけに、非常に勿体ない。本当にその一言です。

なんて否定的なことばかり書いてますが、基本的にアルバムとしての出来は素晴らしいです。平均以上の仕上がり。80点以上あげてもいいとさえ思ってる。けど、90点の壁を超えられないのは、先に触れた“絶対的な個性”の部分ね。もしかしたら次のアルバムでさらに化けるのかも……と期待しておきます。



▼ESKIMO CALLBOY『THE SCENE』
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投稿: 2017 09 14 12:00 午前 [2017年の作品, Eskimo Callboy] | 固定リンク

2017/09/13

SEPULTURA『CHAOS A.D.』(1993)

1993年秋に発表された、ブラジルのヘヴィメタルバンドSEPULTURAの5thアルバム。前作『ARISE』(1991年)で世界的に認知され始め、ここ日本でも初来日公演が実現したほか、アメリカではBillboard 200に初めてランクイン(最高119位)。また『ARISE』での成功を受けて、アメリカでは次作がメジャーのEpic Recordsから配給されることも決定。今作が勝負作になることは明白でした。

ですが、オールドスクールのスラッシュメタルを武器とした『ARISE』から一変、本作では“PANTERA以降”のモダンヘヴィネスサウンドに様変わり。プロデューサーもスラッシュ/デスメタルを得意とするスコット・バーンズから、モダンなバンドばかりを手がけるアンディ・ウォレスに替え、ミドルテンポ主体のグルーヴ感に満ち溢れた楽曲に挑戦しています。

確かにこの時期、METALLICAがブラックアルバム(1991年)で成功したのを機に、MEGADETHANTHRAXもテンポを落として重さを重視したサウンドに移行しており、これが流行りであり主流と言ってしまえばそれまでかもしれません。事実、シーン中心にはNIRVANAPEARL JAMなどのグランジ勢が君臨し、旧来のメタルはオールドスクール呼ばわりされて敬遠されていたのですから。そんな中メガヒットを遂げたMETALLICAや、メタル界の新星として人気を獲得したPANTERAの恩恵を受けようとするのは、致し方ないのかもしれません。

SEPULTURAの変化も確実にこの流れにあるものと思われますが、彼らがその他のバンドと一緒くたにされずに済んだのは、SEPULTURAというバンドがブラジル出身だという事実。例えば本作には「Kaiowas」というブラジルの民族音楽から影響を受けたインストゥルメンタルナンバーは、他のメタルバンドには真似できない武器であり、この実験が次作『ROOTS』(1996年)で開花するわけです。

もちろんそれ以外の楽曲も単なる“フォロワーの真似事”で終わっておらず、このバンドらしいパーカッシヴなドラミングをフィーチャーした「Refuse/Resist」「Terriory」は今聴いても最高だし、ブルドーザーが突進してくるかのような重量感をみせる「Slave New World」「Propaganda」、狂気すら感じさせる攻撃的な「Biotech Is Godzilla」はもちろん、本作において唯一メロディアスなカバー曲「The Hunt」(原曲はNEW MODEL ARMY)が良いアクセントになっていたりと、とにかく聴きどころ多し。下手なメタルもどきを聴くぐらいなら、ずっとこの音に浸っていたい。そう思わせるぐらいの気持ち良さが本作にはあると思います。

この10月(国内盤は11月)には本作と『ROOTS』の最新リマスター&ボーナスディスク付き仕様も発売。ぜひこの機会に、マックス・カヴァレラ(Vo, G)在籍時のSEPULTURAを振り返ってみてはいかがでしょう。



▼SEPULTURA『CHAOS A.D.』
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投稿: 2017 09 13 12:00 午前 [1993年の作品, Sepultura] | 固定リンク

2017/09/12

JIMMY PAGE & THE BLACK CROWES『LIVE AT THE GREEK』(2000)

2000年に発表されたジミー・ペイジTHE BLACK CROWESによる共演ライブアルバム。1999年10月にロサンゼルスのTHE GREEK THEATERで行われたライブを収めたもので、全曲カバー。メインとなるのはペイジが在籍したLED ZEPPELINの楽曲で、そのほかにツェッペリン界隈(B.B.キング、YARDBIRDS、ジミー・ロジャース、ウィリー・ディクソン、FLEETWOOD MAC、エルモア・ジェイムズ)のカバーも含まれています。

ちょうどこのライブが行われる数ヶ月前、THE BLACK CROWESがフジロックに出演した際、本作でも取り上げられている「In My Time Of Dying」を完コピしてビックリした記憶があるのですが、あとから考えたらあのカバーは本作への序章だったのですね。フジロックで観たとき「クリス・ロビンソン(Vo)ってロバート・プラントみたいに歌えるんだね」と、なんの違和感もなく楽しめたのをよく覚えています。

ピックアップされたツェッペリンナンバーですが、敢えて「Rock And Roll」や「Stairway To Heaven」「Immigrant Song」「Communication Breakdown」のようにベタなハードロックナンバーは選ばず、基本はブルースを軸にした楽曲ばかり。さすがに『IN THROUGH THE OUT DOOR』(1979年)からの楽曲はありませんが、そのほかのスタジオアルバムから万遍なくセレクトされています。「Hey, Hey, What Can I Do」(シングル「Immigrant Song」のB面。アルバム未収録)あたりを選ぶところにも、こだわりが感じられるというか……あ、ジミー・ペイジの趣味かもね。

ギターの振り分けですが、おそらく中央にジミーのギター。左右にTHE BLACK CROWESの2人(リッチ・ロビンソン&オードリー・フリード)が振り分けられてるんじゃないかと。ヘッドホンで聴けば、それぞれの持ち味がしっかり把握できるはずです。誰ですか、中央のギターが下手くそとか言ってる人は?

THE BLACK CROWESファンとしては、ジャムセッションの延長で下手に曲が間延びすることなく、比較的オリジナルに忠実な形で演奏されていることから素直に楽しめると思うし、ツェッペリン曲以外のブルースナンバーのカバーに彼らの真髄が感じられるのではないでしょうか。特に彼らのデビュー作『SHAKE YOUR MONEY MAKER』(1990年)にタイトルを引用したであろうエルモア・ジェイムスの「Shake Your Money Maker」が聴けちゃうのも良いところでは。

また、ジミー・ペイジ側の視点ではデヴィッド・カヴァーデイルとのCOVERDALE・PAGEロバート・プラントとのPAGE / PLANT以降パーマネントのバンドを持たないペイジがこうやって若いミュージシャンと一緒に何かをやることは悪いことじゃないし、しかもツェッペリンナンバーはこれでもか!?と言わんばかりに演奏してくれるのもありがたい。本当に最適な相手を見つけましたねと、褒めてあげたい気分です。実際、ペイジのギターも思っていた以上に生き生きしてますしね。

最高の“お遊び”をこうやって記録として残してくれたのは、双方のファンのみならずロックリスナーにとっても嬉しいかぎり。余計なことを考えずに、素直に楽しみたいライブアルバムです。



▼JIMMY PAGE & THE BLACK CROWES『LIVE AT THE GREEK』
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2017/09/11

FOO FIGHTERS『THERE IS NOTHING LEFT TO LOSE』(1999)

前作『THE COLOUR AND THE SHAPE』(1997年)完成後にテイラー・ホーキンス(Dr)が加入、さらにツアー途中でパット・スメア(G)が脱退したFOO FIGHTERS。デイヴ・グロール(Vo, G)の旧友フランツ・スタール(G)が途中参加するものの、すぐに脱退してしまい、来たる3rdアルバムのレコーディングはデイヴ、テイラー、ネイト・メンデル(B)の3人で突入することに。こうして1999年秋に発表されのが、本作『THERE IS NOTHING LEFT TO LOSE』です。

しかし、ツアーで苦楽を共にした3人で制作したことが大きく影響したのが、本作にはバンドとしての一体感が前作以上に強く感じられる作風です。思えば前作は途中からデイヴがドラムを叩くことになってしまい、完全なるバンドとは言えなかったかもしれません。そのぶん、今作ではテイラーがしっかりリズムの屋台骨を支えていることもあって、全体的に安定感のあるバンドアンサンブルが楽しめます。

また、サウンド的にも前作までに残っていたグランジ、ポスト・グランジ色が払拭され、より王道ハードロック、スタジアムロックとしての強さが表面に表れ始めています。冒頭2曲(「Stacked Actors」「Breakout」)の力強さとハードさ、そして「Learn To Fly」の歌モノハードロックとしての強度は、すでに完成の域に達しつつあります。

「Gimme Stitches」「Live-In Skin」のパワフルなビート、「Generator」の軽快さ、「Aurora」「Headwires」の浮遊感、「Next Year」「Ain't It The Life」のポップさからは過去2作での経験を踏まえつつ、より進化したバンドの姿が感じられるし、アルバムを締めくくる「M.I.A.」の壮大さからは、もはやこのバンドを「NIRVANAの亡霊」みたいな目で見ちゃいけないんだということが感じられる。つまり本作は、ようやくFOO FIGHTERSが“本当のバンド”になったんだなということを高らかに宣言するアルバムなのかもしれません。

ところが、続く4thアルバム『ONE BY ONE』(2002年)でFOO FIGHTERSは“本当のバンド”から“ホンモノのバンド”へとバージョンアップすることになるのですが、それはまた次回語ることにしましょう。

今聴いても良曲が多い1枚なのですが、最近のライブでは「Learn To Fly」と「Breakout」ぐらいしか披露される機会がないのが残念でなりません(最新ツアーではたまに「Aurora」や「Generator」も披露されているようですが)。まぁそれだけ4thアルバム以降“ライブでマストな代表曲”が増えたってことでしょうし、仕方ないのかもしれませんが。



▼FOO FIGHTERS『THERE IS NOTHING LEFT TO LOSE』
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2017/09/10

HANOI ROCKS『SELF DESTRUCTION BLUES』(1982)

海外では1982年夏にリリースされた、HANOI ROCKS通算3作目のスタジオアルバム……ということになってますが、正確には1980〜82年にシングルのみで発表された楽曲を寄せ集めたコンピレーションアルバム。とはいえ、正式なスタジオアルバムと言われても納得してしまうほど、このバンドらしさに満ち溢れた1枚と言えるかもしれません。

例えば1stアルバム『BANGKOK SHOCKS, SAIGON SHAKES, HANOI ROCKS』(1981年)よりも前に発表された事実上のデビューシングル「I Want You」(1980年)や「Desperados」(1981年)、「Dead By X-Mas」(同年)のほか、当時の最新シングル「Love's An Injection」といった楽曲が含まれているほか、シングルのB面(カップリング)曲として発表されたもののライブではすでに人気の高かった「Taxi Driver」「Beer And A Cigarette」「Problem Child」など意外と重要な曲も収録されており、ファンならずとも聴き逃せない作品集となっています。

音楽的にもバラエティに富んでおり、ストレートなパンクチューン「Problem Child」やピアノを効果的に用いたポップな「Love's An Injection」「Café Avenue」「Dead By X-Mas」、ディスコビートを導入したパーカッシブな「Kill City」、のちにマイケル・モンロー(Vo)のソロ作や再結成HANOI ROCKSなどで何度かセルフカバーされる表題曲「Self Destruction Blues」、シンセの導入によりどこかニューウェイブ色が感じられる「Whisper In The Dark」、レゲエテイストの「Desperados」など、とにかく一筋縄でいかないこのバンドの個性がもっとも強く表れた内容ではないでしょうか。

ライブバンドとしては非常に“真っ直ぐ”なイメージの強い彼らですが、実は音楽的にはここまで雑多なロックバンドだということを知る上で、本作は非常に重要な作品集だと思います。特に解散後はこういったコンピレーション盤がいくつもリリースされましたが、このバンドをよく知る上では本作のほか、後期シングルにのみ収録されたレア曲とラズル(Dr)急逝後に制作されたデモ音源を含む『LEAN ON ME』(1992年)はぜひとも聴いておきたいところです。

そういう意味ではこのアルバムは、初期HANOI ROCKSの“裏ベスト”とも言えるのではないでしょうか。個人的には非常にお気に入りの1枚です。



▼HANOI ROCKS『SELF DESTRUCTION BLUES』
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2017/09/09

MICHAEL MONROE『NIGHTS ARE SO LONG』(1987)

マイケル・モンローがソロ活動を開始してから、今年で30周年とのこと。この夏にはソロキャリアを総括した2枚組ベストアルバム『THE BEST』が発売され、12月には来日公演も控えています。そんなタイミングに、改めて彼のソロキャリアの原点を振り返ってみようということで、1987年リリースのソロ1作目『NIGHTS ARE SO LONG』を紹介します。

1985年のHANOI ROCKS解散を経て、マイケルはひとり渡米して音楽活動を模索します。そこで元THE DEAD BOYSのスティーヴ・ベイターズやE. STREET BANDのリトル・スティーヴンスとの出会いに刺激され、1987年にようやく初のソロレコードを完成させるわけです。

が、いざ蓋を開けてみると全10曲中オリジナル曲は3曲のみ(「Can't Go Home Again」「Too Rich To be Good」「Keep it Up」)。そのほかは次作『NOT FAKIN' IT』(1989年)でも再び取り上げるHEAVY METAL KIDS「She's No Angel」を筆頭に、THE DEAD BOYS、FLAMIN' GROOVIES、MC5、ジョニー・サンダースなどマイケルお気に入りのロックンロール/パンクナンバーがカバーされています。

ちなみに本作は、HANOI ROCKS時代のマネージャーが新たに設立したレーベルからのリリース。さらにレコーディングにはイアン・ハンター(Piano)などが参加しており、気心しれた面々のバックアップによってなんとかソロを軌道に乗せようとしていた節が感じられます。この時点ではまだいろいろと引きずるものもあったんでしょうね。

実際、その音も『NOT FAKIN' IT』以降と比べると非常にユルいもので、どこか初期〜中期のHANOI ROCKSにも通ずるものが。とはいえ、当時は「マイケル・モンロー、ついに復活!」ぐらいの勢いで飛びついたことを記憶しています。けど、そのユルさに(しかも世の中は世紀のメタルブームでしたし)ちょっとだけ落胆したっけ。

けど、今聴くとそのユルさ(=肩の力が入りすぎてない加減)が非常に心地よくて、これくらいのテンションでパンクの隠れた名曲たちをカバーしてくれると気軽に聴くことができるのもある。『NOT FAKIN' IT』が隙のない無敵さを誇る1枚だけに、両極端といえばそれまでですが、これもマイケル・モンローの持ち味なんだよな、とあれから30年経った今は非常に納得できるわけです。



▼MICHAEL MONROE『NIGHTS ARE SO LONG』
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2017/09/08

OZZY OSBOURNE『NO MORE TEARS』(1991)

1991年秋に発表された、オジー・オズボーン通算6作目のスタジオアルバム。前作『NO REST FOR THE WICKED』(1988年)から参加したザック・ワイルド(G)の才能が遺憾なく発揮された、オジー史上もっともバラエティに富んだ作品です。セールス的にも全米だけで400万枚を売り上げ、ソロデビュー作『BLIZZARD OF OZZ』(1980年)に匹敵するヒット作となりました。

前作では従来のオジーらしさや「BLACK SABBATHのオジー・オズボーン」のイメージを踏襲した、ハードエッジなギターを前面に打ち出した攻めの1枚でしたが、本作ではハードさはそのままに、曲によっては非常にポップでキャッチーな作風を打ち出したり、ザックの持ち味であるアメリカ南部テイストと取り入れたバラード、さらにはLED ZEPPELINの香りすらするサイケデリックな大作など、とにかく1曲1曲の個性が際立っており、まるで“おもちゃ箱をひっくり返したかのような”作品集に仕上がっております。

興味深いのは、MOTORHEADのレミーが制作に加わった楽曲が多数含まれて居ること。のちにMOTORHEAD自身もセルフカバーする「Hellraiser」のほか、今やライブの定番曲となった「I Don't Want To Change The World」、シングルヒット(全米28位)も果たしたパワーバラード「Mama, I'm Coming Home」、前作の流れを汲むハードな「Desire」の4曲で、レミーは作詞面で協力したと言われています。

また、アルバム完成後にバンドに加わるマイク・アイネズ(B/のちにALICE IN CHAINSに加入)のアイデアが生かされたアルバムタイトル曲「No More Tears」は、その後のオジーにとって大きな転機となった1曲。もちろんソングライターとしてのザックの才能によるところも大きいのですが、こういった曲を自然にやれるようになったことで、オジーは自身のルーツにあるTHE BEATLESテイストを次作『OZZMOSIS』(1995年)以降もストレートに出していくことになります。

全11曲で57分というCDを意識した大作ですが、1曲1曲の出来が優れているだけにまったく飽きないし、そういう点においてはDEF LEPPARD『HYSTERIA』(1987年)などにも通ずる魅力があるのではないでしょうか。ただ、現行のCDには日本盤初版に収録されていたボーナストラック2曲「Don't Blame Me」「Party With The Animals」が世界共通ボートラとして追加され、計66分とさらに長くなっています。2曲ともあくまで“ボーナストラック”なので、完成度はアルバム本編と比べて若干落ちますので、普段聴くぶんには11曲目「Road To Nowhere」でキレイに締めくくったほうがいいかもしれませんね。

ちなみにオジーは本作発表後、同作を携えたワールドツアー終了を持ってライブから引退することを発表。しばし隠居生活に入りますが、結局1995年にはザックを呼び戻して『OZZMOSIS』で復活宣言。ツアーにはジョー・ホルムスが参加してライブ活動を再開させるのでした。



▼OZZY OSBOURNE『NO MORE TEARS』
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投稿: 2017 09 08 12:00 午前 [1991年の作品, Ozzy Osbourne, Zakk Wylde] | 固定リンク

2017/09/07

MOTORHEAD『UNDER COVER』(2017)

MOTORHEADが遺したカバー曲を1枚にまとめたコンピレーションアルバム。それぞれ録音時期もプロデューサーも異なるものの、ご機嫌なロックンロールクラシックをレミーの歌とMOTORHEADのダーティーな演奏で楽しむことができる企画盤です。

全11曲中、もっとも古い作品は1992年発表の「Cat Scratch Fever」(オリジナルはテッド・ニュージェント)と「Hellraiser」(オリジナルはオジー・オズボーン)の2曲(アルバム『MARCH OR DIE』収録)。もっとも「Hellraiser」はレミー(Vo, B)も作曲クレジットに加わっており、カバーというよりは作者が同時期に同じ曲を発表したという認識なんですけどね(オジー版は1991年秋発売のアルバム『NO MORE TEARS』収録)。

また、本作には2015年のラストアルバム『BAD MAGIC』制作時に録音された未発表音源「Heroes」(原曲はデヴィッド・ボウイ)が収録されており、そこに関してはポイントは高いかなと。ほぼ原曲どおりのアレンジですが、それでもMOTORHEADが演奏するだけでこんなにも変わるんだと、驚かされるよりも笑ってしまう1曲。他にもROLLING STONESのカバーが2曲もあったり、RAINBOWのカバー「Starstruck」ではSAXONのビフ・バイフォードとデュエットしてたり、最後にMETALLICA「Whiplash」で締めくくったりと、なかなかツッコミどころ満載の1枚です。フォロワーの曲をルーツになった本家がカバーするって、面白い試みですよね。

レミー亡き今、きっと今後も未発表音源が小出しにリリースされるのかもしれませんが、その先駆けとなった本作は企画や意図的には面白かったと思います。だってレミーの死後、孤高の存在と妙にリスペクトされ始めたMOTORHEADというバンドが、実は節操ない存在だったことがこの1枚で証明されるようなもんですから(笑)。僕はそれは決していけないことだとは思ってないし、だからこそ彼らは非常に身近な存在に感じられたんですけどね。



▼MOTORHEAD『UNDER COVER』
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投稿: 2017 09 07 12:00 午前 [2017年の作品, Motorhead] | 固定リンク

2017/09/06

PAUL DRAPER『SPOOKY ACTION』(2017)

MANSUNのフロントマン、ポール・ドレイパーの初ソロアルバム。MANSUNが2003年に解散してから10年くらいは表舞台で活動することはほとんどなかったものの、数年前から新曲を発表し、昨年2枚のEPを発表。アルバムもそろそろかなと思っていたところ、ようやくこの8月に海外でリリースされました(日本盤はボーナストラック4曲を追加し、9月6日発売)。

オープニング曲「Don't Poke The Bear」を最初に聴いたとき、その声の変貌っぷりに驚かされたものです。まぁ、まずその前に、歌に入るまでに約3分要することにも驚かされましたが(笑)。ポールの声は想像していた以上に野太くなっており、「そりゃあずっと裏方やってたわけだし、仕方ないか……」とちょっとだけ落胆したのも事実。

が、曲が進むにつれて、“あのMANSUNの”ポール・ドレイパーが戻ってくる……つまり1曲目の歌声は曲に合わせた歌唱法だったと気付かされます。もちろん、解散から14年も経っているわけですから、多少声が変わっていてもおかしくないのですが、聴けば聴くほど「ああ、自分は今ポール・ドレイパーの新作を聴いているんだ」と納得でき、どんどん嬉しくなってくるんです。

と同時に、ポールの声がどこかデヴィッド・シルヴィアンに似ているなと。これはMANSUN時代からちょっと感じていいたことでもあるのですが、特に今作ではネチっこい節回しや影のあるメロディのせいかもあってその要素が強まっているように感じました。ああ、だから自分はMANSUNが好きだったのかな、とデビュー作を最初に聴いてから20年以上経ってそこに気づいたのでした。

サウンド的にはどこか懐かしいシンセの音色を含みつつも、“あのMANSUNの”ポール(しつこい)が鳴らしていることが頷ける煌びやかで艶やかなもの。バンドサウンドを軸にしていることから、MANSUNファンにもとっつきやすい内容だと思います。ただ、MANSUNとの大きな違いはドミニク・チャドの変態的なギタープレイがないこと。では、それによって本作が劣っているのかといえばそんなことはなく、最初から最後まで心置きなく楽しめる1枚だと思っています。

ニューウェイブ以降の流れにある現代的なプログレを好むリスナー、例えばPORCUPINE TREEやスティーヴン・ウィルソンあたりが好きな人なら絶対に気に入るアルバムだと思うんです。だって、本作のリリース元「KSCOPE」自体がスティーヴン・ウィルソンも昨年まで在籍した、“ポスト・プログレッシヴ・サウンド”を謳っているレーベルですし。日本盤にはそのスティーヴン・ウィルソンが参加した「No Ideas feat. Steven Wilson」がボーナストラックとして収録されているので(初出は昨年発売のEP)、ぜひこの機会に日本盤をチェックしてみてはいかがでしょうか。



▼PAUL DRAPER『SPOOKY ACTION』
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投稿: 2017 09 06 12:00 午前 [2017年の作品, Mansun, Paul Draper] | 固定リンク

2017/09/05

U2『THE JOSHUA TREE』(1987)

1987年3月にリリースされた、U2通算5作目のスタジオアルバムにして最大のヒット作。もう30年も前の話なんですね。前々作『WAR』(1983年)、前作『THE UNFORGETTABLE FIRE』(1984年)がともに全米12位、マルチプラチナム獲得とアメリカでの成功を手にした彼らでしたが、このアルバムではアメリカで初の1位を獲得。本作からのシングルも「With Or Without You」「I Still Haven't Found What I'm Looking For」の2曲が全米1位に輝き、気づけばアルバムは1000万枚を超えるメガヒット作となりました。

デビュー作『BOY』(1980年)から3rdアルバム『WAR』までを“アイルランド3部作(あるいはヨーロッパ3部作)”と呼ぶならば、4th『THE UNFORGETTABLE FIRE』、本作『THE JOSHUA TREE』、そして6th『RATTLE AND HUM』(1988年)はソウルやゴスペル、ブルースといったアメリカ音楽へと接近していく“アメリカ3部作”と呼ぶことができるかと思います。『THE UNFORGETTABLE FIRE』ではまだまだ序の口だった(というかサウンド的にはまだヨーロッパのバンド特有の湿り気が残っていた)ルーツミュージックへの接近も、本作で一気に本格化。「I Still Haven't Found What I'm Looking For」や「Running To Stand Still」などはまさにそのスタイルを極めた楽曲と言えるでしょう。

かと思えば、アメリカンロック的なスケール感の大きさを兼ね備えた「Where The Streets Have No Name」や「With Or Without You」みたいな曲もあるし、“いかにもU2”な疾走感を持つ「In God's Country」、ヘヴィさを極めた「Bullet The Blue Sky」「Exit」もある。さらに歌詞に目を向けると、彼らの宗教観であったりアメリカ社会に対する警告(政治や戦争に対する批判)が綴られている。アルバム全体を通して聴くと穏やかさが目立つ1枚かもしれませんが、深く知れば知るほど実はものすごくシリアスで“攻め”のアルバムなんだということが理解できるかと思います。

正直、この時期(80年代後半)のU2はイメージ的には地味そのものです。ボノ(Vo)がロンゲになって後ろ縛りにしたり、ジ・エッジ(G)の風貌はアメリカの片田舎にいそうなオッサンみたいだし。等身大のままバンドが大きくなっていった初期3作の頃と比べると、そりゃあ地味です。が、バンドの人気やセールスが過去最大級に肥大していく中で、彼ら自身がそういった現実と折り合いをつけるため、バランスをとるためだったとしたら……90年代の奇行(笑)を考えれば、なんとなく納得できる気がするんですよね。

ちょっと余談になってしまいましたが、とにかくアルバム自体は本当に素晴らしいし、これ以上書くことがないくらいに完璧な1枚だと思います。できることなら、ぜひ歌詞・対訳を手にしながら浸ってほしい作品です。



▼U2『THE JOSHUA TREE』
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投稿: 2017 09 05 12:00 午前 [1987年の作品, U2] | 固定リンク

2017/09/04

THE BLACK CROWES『THE SOUTHERN HARMONY AND MUSICAL COMPANION』(1992)

デビューアルバム『SHAKE YOUR MONEY MAKER』(1990年)の大ヒットを受け、1992年春に発表されたTHE BLACK CROWESの2ndアルバム。本作発表前にはジェフ・シーズ(G)が脱退し、元BURNING TREEのマーク・フォード(G)が加入。さらにエディ・ハーシュ(Key)も加わり、6人編成で本作『THE SOUTHERN HARMONY AND MUSICAL COMPANION』を制作します。

デビュー作で提示した「ROLLIN STONESからの影響を感じさせつつも、適度にハードで、それでいてサザンロックの香りも漂わせる土着的ロックンロール」路線はここでも踏襲されていますが、本作ではよりサザンロック色を強めています。曲作りの時点でジャムセッション度が高まっていることもあってか、コンパクトな楽曲が少なくなり、全10曲中6分を超える楽曲が3曲もあることに驚かされます。

ですが、それぞれの楽曲を決して長いとは感じることがないのは、1曲1曲がしっかり練りこまれているから。ジャムをもとに制作されているものの、歌メロがキャッチーでアレンジもある程度固められている(軸だけしっかり固め、あとは自由)。さらに、女性ゴスペルコーラスが加わることで、音の厚み、温かみがより増している。

デビュー作のレビューで「サザンロックってちょっと敷居が高いとかとっつきにくいという印象がある」と書きましたが、少なくともこの2ndアルバムの時点まではTHE BLACK CROWESに対してそういう印象はまったくないんですよね。その傾向が強まるのは、次作『AMORICA』(1994年)以降からなので(笑)。そういう点においては、サザンロック入門編としては非常にとっつきやすい1枚かもしれません。クリス・ロビンソン(Vo)も艶やかだし、リッチ・ロビンソン(G)もただひたすらカッコ良く、意外とHR/HMファンにも入っていきやすい作品なんじゃないかな。

アップテンポの楽曲はオープニングの「String Me」と後半一発目の「Hotel Illness」程度。あとはミディアムテンポのグルーヴィーな楽曲とスローナンバーが中心で、そこも聴きやすさにつながっているのかも。さらに「Remedy」や「Black Moon Creeping」「No Speak No Slave」みたいにヘヴィな楽曲も気持ちよく聴ける。ラストには恒例のカバー曲「Time Will Tell」(今回はボブ・マーリー)も収録。ボーナストラックとして「Sting Me」のスローバージョンやカバー曲「99 lbs.」も含まれておりますが(現行盤にはこの2曲は未収録なのかな?)、そこまで含めた60分近い内容でも決して長すぎるとは感じない、濃厚なロックンロールアルバムだと断言できます。

にしてもHR/HMがチャート上で死滅し始め、グランジが勢力を拡大し始めた1992年前半に本作は全米1位を獲得しているという事実はすごいことだと思います。本作を携えた初来日公演も非常に記憶に残っていますし、ファン的にも印象深い1枚なのではないでしょうか。個人的には彼らのアルバムでもっともお気に入りの作品です。



▼THE BLACK CROWES『THE SOUTHERN HARMONY AND MUSICAL COMPANION』
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投稿: 2017 09 04 12:00 午前 [1992年の作品, Black Crowes, The] | 固定リンク

2017/09/03

BLACK SABBATH『BLACK SABBATH』(1970)

DEEP PURPLEが『IN ROCK』でハードロック化計画に突入するちょっと前、1970年2月13日(金)……そう、“13日の金曜日”にリリースされたのが、オジー・オズボーンが在籍するハードロックバンドBLACK SABBATHのデビューアルバム。『黒い安息日』と邦題が付けられた本作でシーンに現れた彼らは、パープルやLED ZEPPELINとともに70年代以降のHR/HMにとって礎的存在としてリスペクトされ続けています。特にサバスの場合、HR/HMシーンのみならず90年代に登場したグランジバンド(NIRVANASOUNDGARDEN、MELVINS、ALICE IN CHAINSなど)からもリスペクトされた、数少ないハードロックバンドのひとつです。

サバスというと「Paranoid」や「Iron Man」などキャッチーな曲がパブリックイメージとしてあったり、「Paranoid」「War Pigs」など名曲目白押しの2ndアルバム『PARANOID』(1970年)を名盤として挙げがちですが、この1stアルバムだってそれに負けないくらい強力な魅力が詰め込まれているわけです。まあ言ってしまえば、サバスは1stから3rdアルバム『MASTER OF REALITY』(1971年)までは本当にハズレなしなので、どれが一番かはその人の好みによって変わってくると思います。

で、このアルバム。オープニングの「Black Sabbath」のダウナーさ加減にまずは驚かされるわけですが、今やドゥームメタルやストーナーロックなどさらにダークでヘヴィでスローなメタルが多い時代なのでちょっとやそっとでは驚きません。ただ、この曲を初めて高校時代に聴いたときは、さすがに衝撃が走ったことを今でもよく覚えています。80年代育ちの僕らの世代にとって、オジーといえばあのキャラクターありきで、しかも曲調はもっとソフトでメロディアスなハードロックという印象。ライブでは「Paranoid」や「Iron Man」はやるけど、さすがにこういったダウナーな曲は当時やってませんでしたしね(サバス曲を掘り始めるのはザック・ワイルド加入以降のことですから)。

かと思えばブルースハープをフィーチャーしたブルージーな「The Wizard」、独特のグルーヴ感を持つ「Behind The Wall Of Sleep」、キャッチーなメロディの「N.I.B.」と、アナログでいうA面だけですでにおなかいっぱい状態。カバー曲の「Evil Woman」はさておき、不穏でもの哀しげな序盤からハードに展開する「Sleeping Village」、10分超の大作「Warning」、ジャズからの影響すら感じられるスリリングな「Wicked World」と、とにかく聴きどころの多い1枚となっています。

すでに1stアルバムの時点でこのバンドのスタイルが完璧に出来上がっているのが恐ろしいというか。あとはその個性をどうソリッドに研ぎ澄ますか。それが次作、次々作で完璧なまでに表現されてしまうのですから、ドラックの力ってすごいですね(たぶん間違ってると思う)。



▼BLACK SABBATH『BLACK SABBATH』
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投稿: 2017 09 03 12:00 午前 [1970年の作品, Black Sabbath, Ozzy Osbourne] | 固定リンク

2017/09/02

DEEP PURPLE『DEEP PURPLE IN ROCK』(1970)

DEEP PURPLEが1970年に発表した4枚目のスタジオアルバム。当時の編成はイアン・ギラン(Vo)、リッチー・ブラックモア(G)、ジョン・ロード(Key)、ロジャー・グローヴァー(B)、イアン・ペイス(Dr)の第2期と呼ばれる5人で、ギラン&グローヴァー加入後初のスタジオアルバムとなります。

それ以前のパープルは「Hush」のシングルヒット(アメリカのみ)があったものの、アルバムはからっきし売れず(特にイギリスではチャートインせず)という状態。そんな中、LED ZEPPELINが独自のハードロックサウンドで世界的に大ヒット。ここからヒントを得たリッチーが「これだ!」と言わんばかりに、それまでのオルガン中心の音作りからギターを軸にした豪快なハードロックへと移行した……という話です。

実際、オープニングの「Speed King」からギターが爆発せんばかりのワイルドぶりを見せています。ジミー・ペイジというよりもジミヘンからの影響が強いんでしょうかね。特にソロパートではギターとオルガンが即興バトルを繰り広げる感じは、確かにツェッペリン以上かもしれません。

さらに、新加入のギランのボーカルもこのバンドのハードロック化に一役買っています。ロバート・プラントのようなハイトーンとは異なるタイプではあるものの、ヒステリックなシャウトなどは後続たちに大きな影響を与えたことは間違いなし。特に「Child In Time」での強弱の付け方は、ツェッペリンの長尺曲のそれとは違った魅力が感じられる、本作におけるハイライトと言えるでしょう。

パープルというと「Highway Star」や「Smoke On The Water」が収められた『MACHINE HEAD』(1972年)のほうが名盤に選ばれがちですし、実際「パープルで最初に聴いたアルバムは『MACHINE HEAD』」という人も多いでしょう。事実、筆者もそうでしたし(当時『PERFECT STRANGERS』で再結成した頃でしたが、新作よりも先に『MACHINE HEAD』を聴きました)。しかし、『MACHINE HEAD』は“パープルHR化”から3作目にしてたどり着いたひとつの終着点。あわせてこの『IN ROCK』も楽しむと、より第2期パープルのことを深く知れると思いますよ。



▼DEEP PURPLE『DEEP PURPLE IN ROCK』
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投稿: 2017 09 02 12:00 午前 [1970年の作品, Deep Purple] | 固定リンク

2017/09/01

CREAM『FRESH CREAM』(1966)

ジャック・ブルース(Vo, B)、エリック・クラプトン(G, Vo)、ジンジャー・ベイカー(Dr, Vo)による伝説的スーパートリオCREAMが1966年に発表した記念すべきデビューアルバム。気づけばもう51年も前の作品なんですね……古典も古典だろ。そりゃ自分も年取るわけだ。

自分が洋楽ロックを聴き始めた頃はすでにクラプトンがソロキャリアを謳歌している時期で、CREAMをちゃんと聴くようになったのは20歳を過ぎてからしばらく経って。それ以前はクラプトンのライブアルバム『24 NIGHTS』(1991年)で「Sunshine Of Your Love」「White Room」を聴いていたので、あとからCREAMを聴いたときはそれらの代表曲をジャック・ブルースが歌っていた事実に驚かされ、しばらく違和感が残ったものです。

もっと言えば、80年代育ちの自分にはやはり60年代録音のハードなロックというのはどうにも馴染めず、CREAMや THE WHOの初期音源になれるまでにはちょっと時間がかかったものです。

そんな余談はさておき。本作はオリジナル曲とブルースのカバー曲が半々といった内容。すでに「Spoonful」「Rollin' And Tumblin'」などといった代表的カバーがここで登場しており、この2曲だけ聴いても彼らが何をやろうとしているのかが理解できるはずです。

逆に、現行の仕様だと1曲目にシングル曲「I Feel Free」が追加されたことで、なんとなくバンドがやりたいことがぼやけてしまうような。この曲はこの曲で嫌いではないので、ちょっと勿体ないと思うのです。

あと、このバンドはやっぱりライブでこそ力量を発揮するバンドであって、1曲2〜3分という当時の7インチアナログやラジオを意識した長さでは良さをすべて表現しきれないのではないかとも思いました。だって、自分がCREAMを聴くときってスタジオアルバムよりもライブ作品を聴く頻度が高いですし。まぁそういった先人たちの苦労があったからこそ、70年前後に誕生したLED ZEPPELINやハードロック化したDEEP PURPLEはそこを乗り越えたスタジオ作品にたどり着けたわけですものね。

オリジナル曲も悪くないんだけど、個人的にはカバー曲でのアレンジの仕方や演奏に耳が行ってしまうアルバム。もしくはアルバムラストのインスト「Toad」とかね。飛び抜けた曲という意味では、次作で誕生する「Sunshine Of Your Love」まで待たなくちゃいけないのかな。そういうところもツェッペリンに似ているような(いや逆。ツェッペリンががCREAMに似てるのか)。



▼CREAM『FRESH CREAM』
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投稿: 2017 09 01 12:00 午前 [1966年の作品, Cream, Eric Clapton] | 固定リンク