PAUL DRAPER『SPOOKY ACTION』(2017)
元MANSUNのフロントマン、ポール・ドレイパーの初ソロアルバム。MANSUNが2003年に解散してから10年くらいは表舞台で活動することはほとんどなかったものの、数年前から新曲を発表し、昨年2枚のEPを発表。アルバムもそろそろかなと思っていたところ、ようやくこの8月に海外でリリースされました(日本盤はボーナストラック4曲を追加し、9月6日発売)。
プロデュースを担当したのは、ポール本人とTHE ANCHORESSのステージネームで知られるキャサリン・アン・デイヴィス。キャサリンはソングライティングでもアルバムに参加しています。また、収録された楽曲はMANSUN解散後以降に書き溜められた楽曲が中心で、中にはMANSUN時代の未発表曲も含まれているようです。
オープニング曲「Don't Poke The Bear」を最初に聴いたとき、その声の変貌っぷりに驚かされたものです。まぁ、まずその前に、歌に入るまでに約3分要することにも驚かされましたが(笑)。ポールの声は想像していた以上に野太くなっており、「そりゃあずっと裏方やってたわけだし、仕方ないか……」とちょっとだけ落胆したのも事実。
が、曲が進むにつれて、“あのMANSUNの”ポール・ドレイパーが戻ってくる……つまり1曲目の歌声は曲に合わせた歌唱法だったと気付かされます。もちろん、解散から14年も経っているわけですから、多少声が変わっていてもおかしくないのですが、聴けば聴くほど「ああ、自分は今ポール・ドレイパーの新作を聴いているんだ」と納得でき、どんどん嬉しくなってくるんです。
と同時に、ポールの声がどこかデヴィッド・シルヴィアンに似ているなと。これはMANSUN時代からちょっと感じていいたことでもあるのですが、特に今作ではネチっこい節回しや影のあるメロディのせいかもあってその要素が強まっているように感じました。ああ、だから自分はMANSUNが好きだったのかな、とデビュー作を最初に聴いてから20年以上経ってそこに気づいたのでした。
サウンド的にはどこか懐かしいシンセの音色を含みつつも、“あのMANSUNの”ポール(しつこい)が鳴らしていることが頷ける煌びやかで艶やかなもの。バンドサウンドを軸にしていることから、MANSUNファンにもとっつきやすい内容だと思います。ただ、MANSUNとの大きな違いはドミニク・チャドの変態的なギタープレイがないこと。では、それによって本作が劣っているのかといえばそんなことはなく、最初から最後まで心置きなく楽しめる1枚だと思っています。
ニューウェイブ以降の流れにある現代的なプログレを好むリスナー、例えばPORCUPINE TREEやスティーヴン・ウィルソンあたりが好きな人なら絶対に気に入るアルバムだと思うんです。だって、本作のリリース元「KSCOPE」自体がスティーヴン・ウィルソンも昨年まで在籍した、“ポスト・プログレッシヴ・サウンド”を謳っているレーベルですし。日本盤にはそのスティーヴン・ウィルソンが参加した「No Ideas feat. Steven Wilson」がボーナストラックとして収録されているので(初出は昨年発売のEP)、ぜひこの機会に日本盤をチェックしてみてはいかがでしょうか。

▼PAUL DRAPER『SPOOKY ACTION』
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