U2『THE JOSHUA TREE』(1987)
1987年3月にリリースされた、U2通算5作目のスタジオアルバムにして最大のヒット作。もう30年も前の話なんですね。前々作『WAR』(1983年)、前作『THE UNFORGETTABLE FIRE』(1984年)がともに全米12位、マルチプラチナム獲得とアメリカでの成功を手にした彼らでしたが、このアルバムではアメリカで初の1位を獲得。本作からのシングルも「With Or Without You」「I Still Haven't Found What I'm Looking For」の2曲が全米1位に輝き、気づけばアルバムは1000万枚を超えるメガヒット作となりました。
デビュー作『BOY』(1980年)から3rdアルバム『WAR』までを“アイルランド3部作(あるいはヨーロッパ3部作)”と呼ぶならば、4th『THE UNFORGETTABLE FIRE』、本作『THE JOSHUA TREE』、そして6th『RATTLE AND HUM』(1988年)はソウルやゴスペル、ブルースといったアメリカ音楽へと接近していく“アメリカ3部作”と呼ぶことができるかと思います。『THE UNFORGETTABLE FIRE』ではまだまだ序の口だった(というかサウンド的にはまだヨーロッパのバンド特有の湿り気が残っていた)ルーツミュージックへの接近も、本作で一気に本格化。「I Still Haven't Found What I'm Looking For」や「Running To Stand Still」などはまさにそのスタイルを極めた楽曲と言えるでしょう。
かと思えば、アメリカンロック的なスケール感の大きさを兼ね備えた「Where The Streets Have No Name」や「With Or Without You」みたいな曲もあるし、“いかにもU2”な疾走感を持つ「In God's Country」、ヘヴィさを極めた「Bullet The Blue Sky」「Exit」もある。さらに歌詞に目を向けると、彼らの宗教観であったりアメリカ社会に対する警告(政治や戦争に対する批判)が綴られている。アルバム全体を通して聴くと穏やかさが目立つ1枚かもしれませんが、深く知れば知るほど実はものすごくシリアスで“攻め”のアルバムなんだということが理解できるかと思います。
正直、この時期(80年代後半)のU2はイメージ的には地味そのものです。ボノ(Vo)がロンゲになって後ろ縛りにしたり、ジ・エッジ(G)の風貌はアメリカの片田舎にいそうなオッサンみたいだし。等身大のままバンドが大きくなっていった初期3作の頃と比べると、そりゃあ地味です。が、バンドの人気やセールスが過去最大級に肥大していく中で、彼ら自身がそういった現実と折り合いをつけるため、バランスをとるためだったとしたら……90年代の奇行(笑)を考えれば、なんとなく納得できる気がするんですよね。
ちょっと余談になってしまいましたが、とにかくアルバム自体は本当に素晴らしいし、これ以上書くことがないくらいに完璧な1枚だと思います。できることなら、ぜひ歌詞・対訳を手にしながら浸ってほしい作品です。

▼U2『THE JOSHUA TREE』
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