EMPEROR『ANTHEMS TO THE WELKIN AT DUSK』(1997)
先ごろ『LOUD PARK 17』で二度目の来日が実現したEMPERORが、1997年に発表した2ndアルバム。『LOUD PARK 17』では本作発売20周年を祝して、本作『ANTHEMS TO THE WELKIN AT DUSK』完全再現ライブが披露され、好評を博しました。
僕自身、EMPERORのアルバムに触れたのは彼らが解散してかなり時間が経ってから。いわゆるメロディックデスメタルには興味を持っていたものの、ブラックメタルまで行ってしまうとエクストリームすぎ、一部の“飛び道具”的存在以外には触れてきませんでした。そんな自分が本格的に彼らに興味を持ったのは3年前、EMPERORの1stアルバム『IN THE NIGHTSIDE ECLIPSE』(1994年)がリリース20周年を記念してスペシャルエディションで再発されたとき。ちょうどこの年には彼らの初来日も実現したタイミングでした。ここで過去作をすべて聴きあさり、特に2nd〜4th(ラスト)アルバム『PROMETHEUS: THE DISCIPLINE OF FIRE AND DEMISE』(2001年)をよく聴きました。
ホント、その程度のライトリスナーであることを先に告白してから、先に進みたいと思います。
今回の再来日に際して、久しぶりにこの『ANTHEMS TO THE WELKIN AT DUSK』を何度も聴き返したのですが、自分的にこんなにも“どんずば”だったんだということを再確認できました。ブラックメタルならではのブラストビートやトレモロリフ、個性的なダミ声ボーカルが登場するものの、本作はそれだけでは終わらない、もっとプログレッシヴな作風です。
またクラシックの要素がかなり強調されており、ボーカルも強弱を表現するかのように時にデスボイス、時にクリーントーンと巧みに使い分けられている。シンセも効果的に用いられ、パートによってはヘヴィメタルならではのドラマチックな展開や、王道中の王道ヘヴィリフ、またそれらを見事に組み合わせた聴きごたえのあるアレンジで、聴き手を飽きさせません。この手のバンドの楽曲は意外と単調になりがちで、そういった楽曲が連なることでアルバムをまるまる1枚聴くのは厳しかったりもするのですが、本作に関しては(いや、特にEMPERORに関しては)そんなことはまったくなく、この緩急に富んだ作品をじっくりと楽しむことができるはずです。
また、ブラックメタルというと“あえて”酷い録音状態で作品を残す傾向がありますが、このアルバムに関しては「できることなら、もっとクリアな音でも聴いてみたい!」と思ったのも本音。現状リマスター盤が流通していますが、もっとクリアにできたんじゃないの……と思ってしまいます。が、それだともはやブラックメタルではなくなってしまうんじゃないか、とも思うわけで、実はこれくらいのバランスが正解なのかなという気も。難しいところですね。
アルバム本編は全8曲で44分程度、現在はボーナストラック3曲が追加されていますが、まずはボートラなしで8曲を一気に聴いてみることをオススメします。メロデスに耐性があって、クラシカルでドラマチックなエクストリームメタルもイケるという人にはうってつけの1枚だと思います。

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