SEPULTURA『ARISE』(1991)
SEPULTURAが1991年春に発表した、通算4作目のスタジオアルバム。前作『BENEATH THE REMAINDS』(1989年)からRoadrunner Recordsに移籍し、プロデューサーにデスメタルシーンで名の知れたスコット・バーンズ(DEATH、OBITUARY、CANNIBAL CORPSE、DEICIDE、NAPALM DEATHなど)を迎えたことで、それまでブラックメタル寄りのデスメタル風だった彼らのサウンドスタイルやプロダクションが一気にスケールアップ。続く本作『ARISE』では初期のスタイルを軸にしつつも、より80年代のスラッシュメタル黄金期のサウンドを取り入れた疾走感ある楽曲を楽しむことができます。
オープニングの「Arise」から、もう突っ走りまくり。ギターリフはスラッシュメタルのそれというよりは、低音に頼らない単音を基調としたブラックメタル風。そのせいか若干音が薄い印象があるものの、息もつかせぬスピード感とマックス・カヴァレラ(Vo, G)のボーカルスタイルによってそれを一切感じさせない。さすがです。
続く「Dead Embryonic Cells」「Desperate City」あたりはスピードだけに頼ることなく、リフやソロを効果的に組み合わせたアレンジで「これぞスラッシュメタル」という存在感を提示。特に「Desperate City」に登場するツインリードと、その直後に訪れる転調&不穏なメロディを伴うギターソロは圧巻の一言です。正直、この3曲だけで完全に心を奪われるんじゃないでしょうか。
また、本作ではその後の作品への予兆を感じさせる「ハードコアパンク色」「インダストリアル臭」「ブラジル出身を前面に打ち出したサウンドスタイル」の3点も初登場。ハードコアスタイルはそれこそ「Arise」のストレートさや「Murder」の冒頭あたりからも存分に感じられるし、インダストリアルテイストはさまざまな楽曲のイントロに挿入されるSEがまさにそれ。そしてブラジルっぽさは、「Altered State」の冒頭でラテンパーカッションが使用されている点。以降の作品と比較すればその使い方もオマケ程度ですが、このへんがのちの彼らにとって大きなアイデンティティになるとは、まさかこの頃は想像もしていませんでした。
アルバム後半も先の「Altered State」や「Under Siege」といったトリッキーな楽曲や、ラストにふさわしいファストチューン「Infected Voice」など佳曲多し。最初から最後まであっという間に終わってしまう印象があるかな。いわゆるデスメタル/スラッシュ路線は本作が最後で、次作『CHAOS A.D.』(1993年)にて大変貌を遂げることになります。それについては同作のレビューをご覧ください。
ちなみに本作はイギリスで初のチャート40位入りを記録。アメリカでも初めてBillboardチャートにランクイン(119位)と、世界的な成功を収めます。ここ日本でも本作で認められた感があり、1992年には初来日も実現しています。
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