GENE SIMMONS『ASSHOLE』(2004)
KISSのジーン・シモンズが2004年に発表した通算2作目のソロアルバム。前作『GENE SIMMONS』(1978年)は当時のKISSのメンバー4人が同時にソロアルバムを発表するという、いわば企画チックな側面がありましたが、本作はフルメイクKISSが復活して以降、枠にハマったサウンドスタイルでの活動に対するある種の捌け口として制作された、完全にジーンの(良くも悪くも)自己満足的アルバムです。だって、このタイトルですもの……(苦笑)。
……と、言い切ってしまっていいものかアレですけど、その理由は聴いてもらえば理解していただけるんじゃないかと。とにかく、内容が“ごった煮”なんです。90年代前半のKISSが見せたラウド&オルタナティヴ路線を軸にしつつも、70年代のKISSらしい豪快なハードロックあり、ダンスあり、ヒップホップあり、AOR的歌モノあり、シンフォニック風変わりなポップソングあり、ベックにも通ずるダウナーなオルタナフォークあり……ね? これだけ聞いたらカテゴライズ不能でしょ? そもそも、ジーン・シモンズという策士はそういう奴ですからね。頭が良い(商才に長けている)んですよ。
けど、それがときには仇となることもある。それがまさに、このアルバムなんじゃないでしょうか。ぶっちゃけ、ジーン・シモンズというラベルがなければこんなアルバム、“焦点ずれまくりのオナニー的作品”と切り捨てられるのが関の山でしょうし。けど、“あの”ジーン・シモンズが26年ぶりにソロアルバムを作りました、と知らされてから聴けばなんとなく納得できてしまう……気がする。うん、不思議です。
KISS的なハードロック“のみ”を求める人には、本作はところどころ厳しい1枚かもしれません。が、KISSでジーンが書く/歌う曲が好きという人、1枚目のソロアルバムも気に入っているという人なら問題なく楽しめるんじゃないかと。確かにTHE PRODIGY「Firestarter」のカバーやら、ボブ・ディランやフランク・ザッパとの共作曲やらトリッキーな楽曲も含まれていますが、全体的にはヘヴィな曲よりもフォーキーでポップな楽曲のほうが印象に残るという、そんな“いかにもな”ソロアルバムです。思えばこの人、KISSの前身バンド・WICKED LESTERでもフォーキーな音楽をやってましたしね。
また、先の「Firestarter」ではデイヴ・ナヴァロ(JANE'S ADDICTION)がギターを弾いていたり、他にも現KISSのエリック・シンガー(Dr)、元KISSのブルース・キューリック(G)や、リッチー・コッツェン(G)、ドゥイージル・ザッパ(G)など興味深いゲストプレイヤーも多数参加しているので、プレイ面も問題なく楽しめるはず。
ちなみに、『LOUD PARK 2017』にGENE SIMMONS BAND名義で出演するジーン。残念ながら直近のツアーでは本作からの楽曲は1曲も披露されていないようで、KISSの楽曲が中心とのこと。ソロ曲は1枚目から「Radioactive」のみみたいですね。だったらそっちを取り上げたらよかった……と全部書き終えてから後悔しているところですが、本作は本作で言うほど悪くないので、チャンスがあったらぜひ聴いてみてください。珍味らしい味わい深さ満載なので。
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