MARILYN MANSON『HEAVEN UPSIDE DOWN』(2017)
前作『THE PALE EMPEROR』(2015年)から約2年10ヶ月ぶりに発表された、MARILYN MANSON通算10作目のオリジナルフルアルバム。プロデュースは前作からバンドに携わるようになった、映画音楽をメインに手がけるタイラー・ベイツが担当しており、曲作りも前作同様にタイラーがすべてを手掛けております。残念ながら、トゥイギー・ラミレズ(B)は今作も制作には携わっていないようです。
今回はマンソンの名を良くも悪くも一躍有名にした名盤『ANTICHRIST SUPERSTAR』(1996年)と『MECHANICAL ANIMALS』(1998年)をミックスしたような、ヘヴィかつグラマラスな内容。前作が地味で落ち着いていて、どこかデヴィッド・ボウイ的なソロアルバムテイストだったこともあり、このある種の原点回帰は喜ばしい限り。とはいえ、完全に過去2作を踏襲したものかと言われると……ニュアンス的なものといいましょうか、サウンドの方向性や質感が過去2作のそれを踏まえたもの、という言い方が正しいのかもしれません。
どの曲もダークで攻撃的ではあるものの、基本となるのはミディアム〜スローナンバー。ダークの質感は90年代のものというより、現代的と呼んだほうがいいのかな。そしてメロディは非常にキャッチーで、そのへんは『ANTICHRIST SUPERSTAR』というよりは『MECHANICAL ANIMALS』に近い……んだけど、あそこまで作り込まれたポップ感はないかも。どこか突き放した感の強いメロディという点では、前作の延長線上にあると思います。
とはいえ、近年でもっともわかりやすい内容だし、我々がイメージするMARILYN MANSON像にもっとも近い1枚かな。ヘヴィでグラマラスでゴシック、そしてポップ。思えばあれから20年経ってるんだもの、マンソンだってあと2年もすれば50代に突入ですよ。そこも踏まえつつ、本作は時代が求める音と真正面から向き合きながら、自身の加齢ともしっかり向き合った意欲作なんじゃないかと思います。
あと、個人的には今後の彼に「Saturnalia」みたいなBAUHAUS路線(路線っつうか、まんまですが。笑)にもどんどんトライしてもらいたいな。今のテイストとすごく合ってると思うので、下手に過去の遺産を引っ張り出すよりも、こっち側で極端に地味でダークな作品にトライするのもありかと。
最近はライブ中、事故に遭遇したりと踏んだり蹴ったりのマンソン先生。このアルバムを携えて、また元気に竹馬に乗る姿を日本のファンにも見せてほしいところです。
P.S.
……なんてことを書いた数時間後に、トゥイギー・ラミレズ解雇というニュースが。理由が理由だけに……嗚呼。
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