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2017年10月14日 (土)

METAL CHURCH『THE HUMAN FACTOR』(1991)

1991年春にリリースされたMETAL CHURCH通算4作目のスタジオアルバム。前作『BLESSING IN DISGUISE』(1989年)からボーカルがマイク・ハウに代わり新編成となって2作目、レーベルも新たに「Epic Records」に移籍して発表された気合いの1枚です(結局、Epicからは本作のみでしたが)。

聴いてもらえばわかるように、どこをどう切り取っても“ザ・ヘヴィメタル”なアルバム。いわゆるスラッシュメタル界隈から登場したバンドですし、初期のアルバムはその延長線上にあるサウンドでしたが、前作あたりで示した新境地(大作志向など)が本作で一気に開花。また、新たな挑戦も至るところに散りばめられており、とにかく聴きごたえのある作品に仕上げられています。

オープニングの「The Human Factor」や3曲目「The Final Word」にような疾走感のあるメタルチューンには、スラッシュというよりもパワーメタルと呼ぶにふさわしい貫禄が漂ってますし、「In Mourning」「In Harm's Way」のようなバラードタイプの楽曲も深みを増している。しかし、本作でもっとも注目すべきなのはリード曲としてMVも制作された「Date With Poverty」の存在でしょう。

ヘヴィだけど非常にグルーヴィーなリズムは、本作から半年後に発表されるMETALLICAブラックアルバムにも通ずるものがあり、その後の流行を先取りした1曲と言えるでしょう。しかし、スラッシュメタルの延長線上から登場した彼らがこういった楽曲をプレイすることに対し、当時は賛否あったのも事実。「メタルバンドのリズムがハネてどうするんだよ!」というごもっともな意見をよく耳にしましたし、実際この年を境にメタル勢の人気はグランジ勢やRED HOT CHILI PEPPERSなどに取って代わられるわけですから、見方によっては寝返ったと思われちゃうのかなと(でも、そういったバンドのブレイク作より早く、本作はリリースされたわけですが)。

とはいえ、メタルファン的には劇的な展開の「Agent Green」やスラッシーな「Flee From Reality」「The Fight Song」、ヘヴィなミドルチューン「Betrayed」など、とにかく聴きどころの多い1枚であり、本作をMETAL CHURCHの代表作に挙げる人も少なくないようです(もっとも、デヴィッド・ウェイン時代こそ真のMETAL CHURCHというリスナーにはマイク・ハウ時代は認められないのかもしれませんし、このバンドの本質を考えたら1986年の2nd『THE DARK』こそが名盤という声も理解できるのですが)。

本作リリース後、彼らはJUDAS PRIESTアリス・クーパーMOTORHEAD、DANGEROUS TOYSと『OPERATION ROCK 'N' ROLL TOUR』というパッケージツアーに参加するのですが、湾岸戦争のあおりを受けてツアーは失敗。ブラックアルバム発表後のMETALLICAのツアーにもサポート参加するのですが、うまく起動させることができずインディー落ちしてしまいます。ホント、時代に翻弄されまくり。勿体ないですね。



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投稿: 2017 10 14 12:00 午前 [1991年の作品, Metal Church] | 固定リンク