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2017年10月27日 (金)

GEORGE MICHAEL『LISTEN WITHOUT PREJUDICE VOL. 1』(1990)

1990年9月にリリースされたジョージ・マイケルの2ndソロアルバム。1987年秋に発表された初のソロアルバム『FAITH』WHAM!時代の延長線上にありながらも、より大人になった彼の姿を端的に表現した鉄壁な内容で、全世界で2000万枚以上もの売り上げを記録しました。そこから3年、続いて発表された本作はより大人になって落ち着いた世界観が表現されており、“ポップスター=ジョージ・マイケル”をイメージしていたリスナーにとっては面食らうほど地味に映った1枚でした。

作風的には前作における「Father Figure」や「One More Try」「Kissing A Fool」のようにソウルフルでジャジーなアダルト路線と、「I Want Your Sex (Part. 1)」や「Monkey」でのダンサブルな路線(ただし、「Freedom! '90」や「Soul Free」で聴けるように、もっと当時に時代の流行に沿ったダンスサウンド)を軸にしている点は変わらないのですが、そこにもっとクラシカルな要素(「They Won't Go When I Go」「Mother's Pride」)やフォーキーなスタイル(「Something To Save」「Waiting For That Day」「Heal The Pain」)が加わることで、より“大人のソウル”というイメージが強化。これにより派手さがまったくなくなり(そもそも『FAITH』も言うほど派手な内容ではありませんでしたが)、いまだにWHAM!時代を引きずっているリスナーには(先に書いたように)ひたすら地味でとっつきにくい内容だったようです。事実、「あれ、ここまで地味かよ……」と当時10代だった僕も最初は若干引きましたから。

けど、これがね。クセになるんですよ。噛めば噛むほど味がじわじわ染み出してくるように。展開されるサウンドの世界観には前作以上に統一感が感じられるし、何よりもジョージの歌が心地よい。あと、地味地味言うけど、曲によってはブラスがフィーチャーされるなど派手に感じられる部分も含まれているんですよ。ちょっと全体の空気に飲まれすぎて、スルーしがちですけど。

前作からはシングルヒット連発で、全米No.1が4曲連続で飛び出しましたが、本作からはリードシングル「Praying For Time」が全米1位を獲ったのみで、「Freedom! '90」が全米8位、それ以外は「Waiting For That Day」が全米27位、「Mother's Pride」が全米46位止まり。アルバムもアメリカでは最高2位で、200万枚程度に落ち着いています(逆にイギリスでは1位に輝き、前作以上の売り上げを記録)。ちょうど時代の変わり目というのもあったんでしょうけど、いくらクオリティが高い内容でもまだまだ派手さが求められる時代だったのかなぁ、今振り返ると。

でも、だからこそアルバムタイトルどおりに“偏見なしに聴いてほしい”1枚なんですよね、本作って。そういう意味じゃ、ジョージの思いは聴衆が求めるイメージに完勝できなかったのかもしれませんが……残念です。

あ、タイトルに“VOL. 1”とありますが、実は翌1991年に続編アルバム『LISTEN WITHOUT PREJUDICE VOL. 2』のリリースが予定されていましたが、所属レーベルとの裁判沙汰により発売中止に。つい最近、発売25周年記念でリリース予定だったデラックス盤が2年遅れてようやく発売されました。残念ながらジョージが亡くなって1年近く経ってからというタイミングですが……。

なお、そのデラックス盤には1996年10月に実施された『MTV UNPLUGGED』の模様などを収めたボーナスディスク付き。こちらについては、後日改めて紹介したいと思います。



▼GEORGE MICHAEL『LISTEN WITHOUT PREJUDICE VOL. 1』
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