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2017/11/01

AEROSMITH『ROCK IN A HARD PLACE』(1982)

AEROSMITHが1982年夏に発表した通算7枚目のスタジオアルバム。前作『NIGHT IN THE RUTS』(1979年)制作途中でジョー・ペリー(G)が脱退し、さらに本作制作前にはもうひとりのギタリスト、ブラッド・ウィットフォード(G)も脱退して、オリジナルメンバーはスティーヴン・タイラー(Vo)、トム・ハミルトン(B)、ジョーイ・クレイマー(Dr)のみとなってしまいました。ジョーの後釜にはジミー・クレスポ、ブラッドの後任にはリック・デュファイを迎えて完成させたのが、この『ROCK IN A HARD PLACE』という作品です。

プロデュースには前々作『DRAW THE LINE』(1977年)までのバンドの代表作に携わったジャック・ダグラス、そしてジョン・ボン・ジョヴィ(BON JOVI)のいとこトニー・ボンジョヴィが携わり、大半の楽曲をスティーヴンとジミーの共作で完成させています。前作『NIGHT IN THE RUTS』はメンバーのドラッグ問題やジョーの制作への関与が希薄だったこともあり、3曲もカバー曲が含まれていましたが、本作は全10曲中カバーが1曲。しかもジャズのスタンダード「Cry Me A River」をセレクトするという、非常に興味深い内容となっています。

いわゆる世間の評価的には本作、あまり高くないのですが、改めて聴いてみると悪くないんですよ。むしろ前作『NIGHT IN THE RUTS』や、オリジナル編成が復活した次作『DONE WITH MIRRORS』(1985年)よりも楽曲制作面で工夫が施されているんじゃないかと思っています。起死回生を狙った攻めのファストチューン「Jailbait」は単調と言われたらそれまでですが、僕は嫌いじゃないし、続く「Lightning Strikes」もシンセを導入した非常にキャッチーな作風でなかなかの出来だと思いますし。先の「Cry Me A River」のカバーも非常に“らしく”て好印象。当時のテクノロジーを彼らなりに駆使したインタールード「Prelude To Joanie」から続く「Joanie's Butterfly」の流れも実はかなり彼ららしい仕上がりなんですよね。

そしてワイルドなタイトルトラック「Rock In A Hard Place (Cheshire Cat)」は初期のエアロを彷彿とさせるし、ヘヴィな「Jig Is Up」、ブルースハープをフィーチャーしたブルージーなバラード「Push Comes To Shove」と、昔からのファンなら絶対に響く曲が豊富なのに、結局「ジョーがいない、ブラッドがいない」という理由で正当な評価が下されない。本当に勿体ない、不遇の1枚だと思っています。

もちろん、本作を『TOYS IN THE ATTIC』(1975年)『ROCKS』(1976年)といった傑作たちと並べて「これは名作です」なんて無理矢理宣言するつもりはありません。ただ、オリメンじゃないからといってスルーするには出来が悪くないなんじゃないか、と言いたいだけ。変なレッテルに惑わされず、まずは無心で本作と接してみることをオススメします。



▼AEROSMITH『ROCK IN A HARD PLACE』
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投稿: 2017 11 01 12:00 午前 [1982年の作品, Aerosmith] | 固定リンク