ANTHRAX『AMONG THE LIVING』(1987)
1987年3月発表の、ANTHRAX通算3作目のスタジオアルバム。前作『SPREADING THE DISEASE』(1985年)でジョーイ・ベラドナ(Vo)を含む体制になってから2作目となり、初のBillboardトップ100入り(62位)を記録する出世作となりました。
基本的には前作『SPREADING THE DISEASE』での路線を踏襲しているのですが、アレンジ的にはより複雑でプログレッシヴになり、直線的なスラッシュメタルというよりは同時期のMETALLICAやMEGADETHに近い印象を受けます。また、それに伴い1曲1曲の長さも、前作での4〜5分台から若干長くなった印象も。基本的にどの曲も5分前後で、多くは6分近いもの、中には8分近いもの(「A.D.I. / Horror Of It All」)まで存在します。
とはいえ、そういった複雑な展開を多く含むアレンジながらも聴き手のテンションを一切落とすことなく、逆に強弱の付け方が巧みだからこそ盛り上がりもより一層加速する。代表曲「Indians」のイントロから本編への入り方、中盤ソロパートでの“War Dance”などはまさにその好例でしょう。
オープニング曲「Among The Living」なんてまさに“これぞスラッシュメタル!”と断言したくなるほどの、起承転結がしっかりした1曲ですし、続く「Caught In A Mosh」や「I Am The Law」もさすがの一言。イントロのツインリードがカッコいい「Efilnikufesin (N.F.L.)」から「A Skeleton In The Closet」への流れも文句なし。
アナログB面のトップを飾る「Indians」から「One World」、そして先の「A.D.I. / Horror Of It All」やラストにふさわしい「Imitation Of Life」と、とにかく無駄のない構成だと思います。トータルで50分というのも聴きやすさに拍車をかけており、なぜ本作がファンから「ANTHRAXのベストアルバム」と呼ばれているかも納得です。
……なんてこと書いてますが、実は僕、10〜20代の頃はこのアルバムをそこまで好きではなくて。曲単位では好きなものが多いのですが、アルバム単位ではその後の作品のほうが好きだったんですよね。ところが、昨年の『KNOTFEST JAPAN』や今年5月のMEGADETHとの来日公演で本作の楽曲を生でたっぷり聴いたことで、かなり考えを改めました。もちろん今でも最高傑作は次々作『PERSISTENCE OF TIME』(1990年)だという思いは譲れないのですが、『AMONG THE LIVING』自体はこれはこれとして「80年代後半のスラッシュメタルシーンを代表する1枚」なのは間違いないなと。『PERSISTENCE OF TIME』を“ヘヴィメタルの名盤”とするなら、『AMONG THE LIVING』は“スラッシュメタル”という枠に限定しての名盤だと思うようになったのです。かなり偏ってますけどね、僕の趣味趣向も。
ただひとつ言えるのは、本作がなければ『PERSISTENCE OF TIME』は完成しなかったということ。そういう意味では、『AMONG THE LIVING』はのちに続くANTHRAXのスタイルを確立させた原点と言えるでしょう。
あと、この時期に「I'm The Man」というラップチューンを完成させたことも、当時のANTHRAXにとっては非常に大きかったなと。同曲が『AMONG THE LIVING』に入っていたらまた違った解釈をされそうですが(逆にここまで評価は高くならなかったかも)、そういった意味でも1987年はバンドにとって大きなターニングポイントだったのは間違いありません。
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