CHEAP TRICK『LAP OF LUXURY』(1988)
1988年春に発表された、CHEAP TRICK通算10作目のスタジオアルバム。70年代末の大ヒット以降、チャート的にもセールス的にも恵まれてこなかった彼ら。オリジナルベーシストのトム・ピーターソン脱退などのメンバーチェンジなどを経て、再びロビン・ザンダー(Vo, G)、リック・ニールセン(G)、バーニー・カルロス(Dr)、そしてトムというオリジナル編成にて制作されたのが本作『LAP OF LUXURY』です。
80年代中盤以降、彼らはいくつかのヒット映画のサウンドトラックに楽曲を提供しており(『トップ・ガン』での「Mighty Wings」や、ロビンがソロで楽曲提供した『オーバー・ザ・トップ』の「In This Country」など)、それらの楽曲では非常に“産業ハードロック”的なカラーを見せ従来のファンをがっかりさせていました。実は、本作『LAP OF LUXURY』はその延長線上にある作風で、初期の彼らをイメージして触れるとがっかりするかもしれません。
しかし、作品の完成度はなかなかのもので、THE BEATLESの影響下にあるアメリカンハードロックアルバムとしては非常に高水準といえるでしょう。それもそのはず、大半の楽曲に職業ソングライターが携わっており、全米No.1を記録した「The Flame」なんてメンバーが作詞作曲に関わっていないんですから。他にもチャーリー・セクストンがデビューアルバムに収録した「Space」や、エルヴィル・プレスリーの名曲「Don't Be Cruel」(邦題「冷たくしないで」)のカバーまで収録。レーベル側の「とにかく(当時の)HR/HMブームに直接ぶつけて、彼らのルーツであるCHEAP TRICKを復活させる!」という意思が強く感じられる内容なわけです。
ちなみに全10曲中バンドメンバーのみで書かれた楽曲は、シングルカットもされた「Never Had A Lot To Lose」のみ(ロビン&トムによるもの)。この曲が今でもひんぱんにライブで披露されるのは、そういった意図も含まれているんでしょうか。
でもね、上にも書いたようにひとつのハードロックアルバムとしてはどの曲も優れているし、濃いファン目線でも「こういうCHEAP TRICKも悪くないかな」と思える楽曲がいくつか含まれているので、これはこれでアリなんじゃないでしょうか。実際、当時は繰り返し聴きまくりましたし。逆に、この時代があったからこそ90年代に入ってから『WOKE UP WITH A MONSTER』(1994年)で“らしさ”を取り戻せたわけですしね。
ちなみに本作、アルバムとしても『DREAM POLICE』(1979年)以来のチャートTOP20入り(全米16位)、ミリオンセールスを達成。シングルでも「The Flame」(全米1位)のほか、「Don't Be Cruel」(全米4位)、「Ghost Town」(全米33位)、「Never Had A Lot To Lose」(全米75位)と複数のヒット曲を生み出しており、レーベル側の思惑は見事達成しました。
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