NIGHT RANGER『7 WISHES』(1985)
1985年春に発表されたNIGHT RANGERの3rdアルバム。前作『MIDNIGHT MADNESS』(1983年)が全米15位のヒット作となり、また同作から「Sister Christian」(全米5位)、「When You Close Your Eyes」(全米14位)とバラード/ミディアムナンバーのヒットシングルが誕生したこともあり、続く本作もその傾向を踏まえた作風に仕上げられています。
オープニングを飾る「Seven Wishes」のずっしりしたリズムとギタープレイは本当にお気に入りで、中高生の頃何十回、何百回と聴き返したことか。かと思えば「This Boy Needs To Rock」みたいな疾走ハードロックもあるし、ちょっとダークな「I Need A Woman」もある。ブラッド・ギルス(G)とジェフ・ワトソン(G)の派手なギタープレイはもちろんなんだけど、本作をカラフルに彩っているアラン・フィッツジェラルド(Key)のシンセも聴き逃せない。ギター一辺倒のヘヴィな作風になってもおかしくないところを、シンセが乗ることで適度にソフィスティケイトしてくれているんですよね。そこが良くも、そして人によっては悪くも“NIGHT RANGERらしい”わけですが。
そういったハードな曲もありつつ、ポップなミディアムチューン「Four In The Morning」(全米19位)やドラマチックなバラード「Sentimental Street」(全米8位)、「Goodbye」(全米17位)もある。実は本作からシングルカットされたのはこの3曲のみで、いわゆるハードロックサイドの楽曲(前作までで言えば「(You Can Still) Rock In America」「Don't Tell Me You Love Me」タイプ)のシングルカットが皆無だったんですね。シングルカットはある程度レコード会社側の思惑が働いているでしょうから、バンドの意思が100%反映されたものではないとはいえ、これはないですよね。だって、“ハードポップ”バンドじゃなくて“ハードロック”バンドなんですから。
結局、こういったシングルの傾向が彼らに“バラードバンド”というレッテルを貼ることになってしまい、80年代半ば以降の一大HR/HMブームに乗ることができず、89年に解散してしまうわけです。
とはいえ本作、キャリア中唯一の全米トップ10入り(10位)を果たしており、ミリオンセールスも記録しています。先月の来日公演で久しぶりに彼らのライブを観ましたが(東京公演2日目)、いきなり「This Boy Needs To Rock」「Seven Wishes」の2連発で始まり、同作から計5曲も披露してくれたのは嬉しかったなあ。以来、このアルバムを20年ぶりくらいに聴きまくってました。
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