SONS OF APOLLO『PSYCHOTIC SYMPHONY』(2017)
ヘヴィメタルが世界的に大きなヒットを飛ばした80年代後半になると、“スーパーグループ”と呼ばれるような組み合わせの新バンドがいくつか結成され話題になりました。MR. BIGなんてまさにそれでしょうし、BLUR MURDERやBAD ENGLISHもそう呼べるでしょう。90年代に入りメタルシーンが低迷し始めると、解散したバンドのメンバーが集まって新しいバンドを組み始める。必然的にそれらは“スーパーバンド”と呼ばれても不思議じゃないメンツになっており、もはや「“スーパー”とは?」とスーパー感がごく当たり前になってしまったことで有り難みが薄れてしまった。それは2017年になった現在、より強まっているのではないでしょうか。
しかし、そんな自分ですら「そうきたか!」と思わせられた最新の“スーパーバンド”が、今回紹介するSONS OF APOLLO。マイク・ポートノイ(Dr)、デレク・シェリニアン(Key)、ロン・“バンブルフット”・サール(G)、ビリー・シーン(B)、ジェフ・スコット・ソート(Vo)という80〜90年代のHR/HMファンなら誰もが一度は名前を耳にしたことがあるであろう面々ばかり。マイクとデレクは90年代後半にDREAM THEATERで一緒だったし、ビリーは現在MR. BIGのみならずTHE WINERY DOGSではマイクと活動をともにしている。バンブルフットは元GUNS N' ROSESで現在はART OF ANARCHYのメンバーだし、ジェフは初期YNGWIE MALMSTEEN'S RISING FORCEのシンガーで、一時はJOURNEYにも在籍していた。過去に在籍したバンドをカードに勝負することがあったら、間違いなく“勝てる”組み合わせです。
そんな彼らが組んだSONS OF APOLLOのデビューアルバム『PSYCHOTIC SYMPHONY』は、このメンツから想像できる音=プロヴレッシヴメタルが展開されています。DREAM THEATER的でもあり、昨今のヘヴィ/ラウドロック的でもある。ボーカルがジェフという時点でDREAM THEATERに似ないことはわかっていましたが、ここまでオリジナリティに満ちあふれた存在感を打ち出すかと、一聴して驚かされました。
80年代以降のDEEP PURPLE的な側面もあり、90年代以降のプログレメタルのカラーもしっかり受け継いでいる。それでいて現代にも通用するラウド感を持ち合わせているんだから、強いったらありゃしない。
楽曲もいきなり11分超の大作「God Of The Sun」から始まり、中盤に9分超えの「Labyrinth」を配置しながら、ラストは11分近いインストナンバー「Opus Maximus」で幕を降ろす。その間には4分前後のコンパクトな楽曲が配置されており(それでも十分に“プログレ”してるんですが)、とにかく情報量と聴きどころ詰め込みすぎな印象。すべてを理解するには、3回、4回と何度も聴き込む必要があります。
けど、最近のアルバムって数回聴いて「しばらくいいか」と思ってしまうようなものも少なくないので、こういう密度が高くて「もっと理解したい!」と思わせてくれる力作との出会いは正直嬉しくもあるんですよね。
5人の個性と技術が克明に打ち出されたこのデビュー作をもって、彼らは2018年に本格的なツアーを行うそうです。これ、ライブで観たら本当にどうなっちゃうんだろう……今からドキドキとワクワクが止まらない、そう久しぶりに感じさせてくれた1枚です。
▼SONS OF APOLLO『PSYCHOTIC SYMPHONY』
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