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2017年11月23日 (木)

METALLICA『MASTER OF PUPPETS: DELUXE EDITION』(2017)

1986年春に発表された、言わずと知れたMETALLICAの出世作(3rdアルバム)。前2作はインディーズのMegaforceからのリリースでしたが、本作からメジャーのElektraに移籍しての発表となり、当時全米29位まで上昇するという、MVも作らない、ラジオでもかかりにくい一介のスラッシュメタルバンドとしては異例の大ヒットを記録しました……なんていう、本作が当時いかに画期的だったかは、2003年5月に執筆した本作のレビューをご確認ください。

また、本作との出会いや1986年11月の初来日公演体験記などのエピソードが、11月24日発売の『ヘドバン Vol.16』に掲載されているので、そちらも併せてお読みいただけると幸いです。

さて、今回ここで紹介するのは、先日リリースされた『MASTER OF PUPPETS』の公式リマスター盤(これまで国内盤独自のリマスター盤は何度か発売済み)、未発表音源を豊富に収めた3枚組デラックスエディション、そしてCD10枚組+DVD2枚組+アナログ3枚組+カセットテープからなるデラックス・ボックスセットの3形態のうち、もっとも手軽に手に入って新規の音源も楽しめる3枚組デラックスエディションを紹介したいと思います。

実は僕自身、国内制作のリマスター盤を聴いておらず、手元にあるのは1986年に発表されたCBSソニー盤CDと、数年前にリイシューされたアナログ盤のみ。アナログ盤とCDでの音質や体感の違いについてはここでは省略しますが、あくまでオリジナル盤音源と比べて、最新のリマスタリングがどうかという視点で語っていきたいと思います。

 

【DISC 1:Remastered】

最初にヘッドフォンで聴いたときは、正直「そこまで音が良くなってるのかな?」と微妙に感じましたが、確かにオリジナル盤にあったモコモコした感触は払拭され、よりクリアになってる印象。スピーカーを通して聴くと、そのへんはよりわかりやすいと思います。

とにかく、ベースの音が非常に聴き取りやすいのが良いです。当時のミックスのせいなのか、『RIDE THE LIGHTNING』(1984年)と本作ってベースがギターのザクザク感に負けていて、ところどころ聴き取りにくかったんですよね。特に楽器をやる者からすると、とても耳コピしにくい。それが、リマスター盤では「ここまで音の粒が認識できるのか!」と驚かされるわけです。

あと、「Battery」冒頭のアコギの音の粒やクリア感にも違いが感じられる。「Welcome Home (Sanitarium)」も違いが顕著かな。ラウドな曲よりも、実は繊細さを伴う楽曲のほうがそのへんの変化に気づきやすいような気がします。

ただ、オリジナル盤にあった「4つの楽器がひとつの塊になって襲ってくる感」は減ったように感じます。音の分離が良くなったせいで、そういう迫力が弱くなったのかもしれませんね。これは、先日のWHITESNAKE『WHITESNAKE』(1987年)の30周年リマスターでも感じたことですが、やっぱり“その時代の音”というのが存在するわけで、それを無理に現代的に仕切りなおそうとすると、当時のマジックが消え去ってしまうのかな。そこだけは残念です。

 

【DISC 2:Demo, Rough Mix & Interview】

アルバム『MASTER OF PUPPETS』収録曲全8曲と、アウトテイク「The Money Will Roll Right In」、次作『...AND JUSTICE FOR ALL』(1988年)の日本盤や同作からのシングルに収められたカバー「The Price」のデモバージョンが収録されています。音質的には決して良くはないですが、リハーサルスタジオであの名曲たちがどういう過程を経て完成にたどりついたのかが、よくわかると思います。

曲によってはボーカル抜きだったりしますが、例えば「Master Of Puppets」が初期は『KILL'EM ALL』(1983年)っぽいヒステリックな歌メロだったり、初期の「Welcome Home (Sanitarium)」が発表されたスタジオ版以上にプログレッシブな展開だったり、「The Prince」のベースがくっきりと聴き取れたり(笑)と、慣れ親しんだ名曲たちの違う表情に驚かされることは間違いありません。

あと、未発表曲の「The Money Will Roll Right In」は「The Thing That Should Not Be」や「For Whom The Bell Tolls」あたりに通ずるミドルヘヴィナンバー(ハードコアバンドFUNGのカバー)。歌メロが乗ってないバックトラックのみなので、途中で完成させることを諦めた1曲なのかな。正直、『...AND JUSTICE FOR ALL』に入っていたとしても不思議じゃないけど、まぁ“捨て曲”っちゃあ捨て曲ですよね。

あ、最後に『Metal Madness』誌でのクリフ・バートンのインタビューが20分近くにわたり収録されていますが、まぁオマケってことでひとつ。

 

【DISC 3:Live From“The Damage Inc. Tour”】

当時収録されたらさまざまな場所でのライブ音源がボックスセットには収められていますが、このディスクではそこから抜粋して当時のセットリストに沿って並べた“擬似ライブ”を体験できます。正直、初来日公演時は『MASTER OF PUPPETS』からの楽曲しか知らなかったので、ライブで演奏されたうち半分以上知らない曲だったし、それ以上にライブが衝撃的すぎて記憶が定かでない部分もあるのですが、こうやって聴くと「ああ、こんな感じだったかな……」とうっすら記憶がよみがえってくる部分もあったり。

まあ音質は決して褒められるものではありません。当時FM局放送用に残されたもの、ライブミキサーからライン収録されたもの、あるいはカセットテープで簡易録音されたものなど、そもそもリリースを想定して収録されたものではないですからね。今みたいに全公演ライン録音で収録して、ライブから数日後にネット配信する時代になるなんて、30年前は想像もできなかったわけですから。単にこの貴重な音源の数々を手軽に楽しめるようになった現実を素直に受け入れ、楽しむことにしましょう。

 

【総評】

まだ『MASTER OF PUPPETS』を聴いたことがない……という奇特な方は本サイト読者には少ないかと思われますが、万が一まだ聴いたことがないという場合に、今回の3枚組エディションはうってつけかもしれません。輸入盤なら、国内盤の新品を買うよりも安いですしね。あるいは、もっと安く済ませたいのなら、アルバム本編のリマスター盤のみの1枚ものを購入するのもあり。

そして、「いや、音が悪くてもオリジナルにこだわる!」という奇特な方は……中古盤でさらにお安く、2017年以前に発売されたバージョンを購入することをオススメします。それもありっちゃあありでしょう。

ということで、今夜はこの名盤を久しぶりに大音量で楽しみたいと思います。

 


▼METALLICA『MASTER OF PUPPETS: DELUXE EDITION』
(amazon:国内盤3CD / 海外盤3CD / iTunes

 

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