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2017/11/27

EVANESCENCE『SYNTHESIS』(2017)

EVANESCENCEの、2011年発売3rdアルバム『EVANESCENCE』から実に6年ぶりとなる新作は、なんと新曲+過去曲のオーケストラリアレンジバージョンからなる『SYNTHESIS』。しかもオーケストレーションはかのデヴィッド・キャンベル(あのベックの実父)が担当。これを純粋な新作と呼ぶには多少抵抗がありますが、バンド的には一応4thアルバムと銘打っているようなので、こちら側としてもそのつもりで接したいと思います。

デビューアルバム『FALLEN』(2003年)はエイミー・リー(Vo)と、ベン・ムーディー(G)やデヴィッド・ホッジス(Key)といった制作中および同作のツアー中に脱退したメンバーとの共作曲が大半で、それゆえに「次作がエイミーにとって正真正銘の勝負作」と言われてきましたが、2ndアルバム『THE OPEN DOOR』(2006年)も3rdアルバム『EVANESCENCE』もともに全米1位を記録。後者は時代柄か50万枚にも達しませんでしたが、前者は200万枚を超える成功を収めています。

で、本作なのですが、全16曲中インタールードやピアノインストを除けば13曲が歌モノ。内2曲が新曲で、ほかの11曲が過去曲のリメイクとなるわけです。内訳は『FALLEN』から3曲、『THE OPEN DOOR』から3曲、『EVANESCENCE』から5曲と、その大半が“エイミーとその仲間たち”体制になってからのものなんですね。なので、俗に言う「大ヒットした1stアルバムの遺産を食いつぶしやがって」的物言いは実は的外れなんじゃないかと。確かに「Bring Me To Life」や「My Immortal」といった大ヒット曲もピックアップされているものの、それはあくまで“ファンサービス”程度で、本当は『EVANESCENCE』で展開された世界観をより深化させたかったのではないでしょうか。

もちろん、『FALLEN』で作り上げられた世界観がその後の作品にも反映されているわけで、そういう意味では間違いなく遺産は食いつぶしています。が、本作はそういったヒット曲“だけ”に頼った内容ではないことも明らか。もし本気でそっちに走るなら、ありきたりに「通常のバンドサウンド+オーケストラ」なアレンジにしたはず。でも、そうならなかった、そうしなかったのは、間違いなく前作『EVANESCENCE』からの延長で「デジタル+オーケストラ」というテイストにチャレンジしたかったから。そういう意味では、本作は“バンド・EVANESCENCE”の新作ではなく“エイミー・リー featuring デヴィッド・キャンベル”のオリジナルアルバムと呼んだほうが正しいのかもしれません。

まあ6年待たされて新曲はたった2曲、しかもロックでもメタルでもない。そりゃあ肩透かしと思われても仕方ありません。が、このバンドのこういう側面に特化した作品もいつか聴いてみたいと一瞬でも考えたことがあるリスナーには、ある種理想に近い1枚なのでは。オーケストラの内側に存在する軸をあえてバンドサウンドにせずデジタルサウンドをしたのも、個人的にはアリ。頻繁に引っ張り出して聴く作品ではないかもしれませんが、深夜に若干ボリューム抑えめで、リラックスしながら聴きたいアルバムです。



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投稿: 2017 11 27 12:00 午前 [2017年の作品, Evanescence] | 固定リンク